皮膚の検査

皮膚科の一般的な検査には、皮膚押捺塗沫検査、皮膚掻爬検査、毛検査、ウッド灯検査があります。

皮膚表面の異常をこれら検査で検出し、原因を調べます。しかしこれらの検査だけでは原因がわからず、皮膚表面だけの問題でないこともあり、全身的な検査が必要になることもあります。

皮膚押捺塗沫検査

皮膚表面の細菌やマラセチアなどの存在を調べます。ガラスの板を皮膚に押し付け、特殊な染色液で染色し、顕微鏡で観察します。

小さい点のようなものが細菌で、細菌を白血球が攻撃しています。

皮膚掻爬検査

皮膚表面を削り、ダニやカビの存在を調べます。

毛検査

毛を数本引き抜き、毛の状態やダニの存在を調べます。

毛についている毛包虫という種類の寄生虫です。

ウッド灯検査

紫外線を照射することにより発光する真菌(カビ)の存在を調べます。

白く光っている部分が真菌が感染している箇所です。

細菌培養・薬剤感受性検査

細菌の有無を確認・同定し、その細菌に有効な抗生物質の選択に用います。近年は薬剤耐性菌が問題になってきており、抗生物質の使用歴がある場合には必要な検査となります。

真菌培養検査

皮膚に感染した真菌(カビ)を特殊な培地に置き、培養します。真菌の存在の有無や真菌の種類の特定に使用します。

赤くなっている部分が真菌が増殖している部分です。

アレルギー検査

アレルギー物質の特定に使用する血液検査の一種です。現在どの物質に体が反応しているのかがわかります。

皮膚生検・皮膚病理検査

皮膚病変の一部を切り取って採取し、顕微鏡で組織・細胞を観察します。局所麻酔で行うことが多いですが、性格や病気の場所によっては全身麻酔をかけることもあります。

血液検査

内臓疾患やホルモン疾患により皮膚トラブルにつながることがあり、原因の特定に用います。

画像診断検査

レントゲン検査や超音波検査を用い、内臓疾患やホルモン疾患の特定に役立てます。大きさや形態など視覚的に臓器を評価し、皮膚トラブルの原因を見つけます。

 

これらの検査を実施する事により皮膚トラブルの原因を絞り込みますが、原因はひとつとは限らず、複合していることも多くあります。

皮膚トラブルは様々な要因により発症する可能性があり、これらの検査を組み合わせて行うことが重要です。

この記事を書いた人

石井 秀延(ALL動物病院行徳院長 皮膚科学会認定医)
皮膚疾患に悩むご家族をはじめ、ご来院のみなさまにご相談していただきやすいような雰囲気づくりに努め二人三脚での治療をしています。2児の父で特に好きな犬種はプードル。日頃の運動不足解消のため暑さ寒さに負けず自転車通勤している。