皮膚の症状 ~腫瘤~

動物を触っている時、皮膚のしこりやできものに気づいたことはありますか?
このしこりやできものは皮膚腫瘤と呼ばれ、その詳細は脂肪や炎症や腫瘍などがあり、「皮膚腫瘤=腫瘍(がん)」というわけではありません。
皮膚腫瘤を見つけた場合にはまず病院を受診し、診察を受けていただくことが大事です。

 

 

 

種類により、治療をするもの、経過を観察するものと治療方針も様々であり、それを決定するには細胞診検査が必要となります。

簡単に言いますと、内容物を顕微鏡で確認することです。
内容物から既に液体が出てきている場合にはその液体を採取し、顕微鏡で観察します。
出てきていない場合には細い針を皮膚腫瘤に刺し、内容物である細胞を採取することが可能です。
細い針で細胞を採取する方法は必ずしも細胞が取れてくるわけではないため複数回検査を要することもあります。
その細胞を観察し、内容物が何であるのかを見極めます。

顕微鏡で観察された肥満細胞

内容物が脂肪だった場合、部位や大きさにもよりますが、すぐに摘出手術をするのではなく、経過を観察することも少なくありません。しかし、大きさが明らかに拡大傾向であったり、関節部にできてしまい動物が不自由を感じているなどの問題がある場合には積極的に手術をすることもあります。
また、内容物が炎症だった場合には薬で治療し、小さくなるかを確認したり、切開を加えて炎症物を取り除いたりします。
腫瘍であった場合は良性か悪性かにもよりますが、経過を観察しながら手術での摘出が多く行われます。すべてが手術というわけではなく、腫瘍の種類によっては経過を観察することで自然に退縮する腫瘍もありますし、抗癌剤がよく効く腫瘍なども存在しますので、一概に腫瘍には手術が必要というわけではありません。
このように、皮膚腫瘤は種類や治療方針が多岐に渡ります。
見た目は同じような皮膚腫瘤に見えても、中身はそれぞれ違うものであったりもしますので、大きくなってしまう前に受診を心がけましょう。

この記事を書いた人

石井 秀延(ALL動物病院行徳院長 皮膚科学会認定医)
皮膚疾患に悩むご家族をはじめ、ご来院のみなさまにご相談していただきやすいような雰囲気づくりに努め二人三脚での治療をしています。2児の父で特に好きな犬種はプードル。日頃の運動不足解消のため暑さ寒さに負けず自転車通勤している。