犬や猫の床ずれ(褥瘡)はどうしたらいい?なぜなるの?疑問にお答えします
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褥瘡とは
褥瘡(じょくそう)は一般的に床ずれとも呼ばれ、高齢になって寝たきりになる、疾患によって身動きが取れなくなるなど長時間同じ姿勢でいることにより血管が圧迫され、血流が滞ることで皮膚組織がただれたり傷になったりする状態のことをいいます。
進行すると皮膚が剥がれ、表面から体液が出てジュクジュクとした状態になり感染を起こしやすくなります。
特に室外飼育では傷口を放っておくと周囲が汚染されハエの幼虫(ウジ)がわいてしまう可能性もあります。
褥瘡はなぜできる?
・原因
長時間一定の場所に体重による圧(体圧)がかかると血管が圧迫され血行不良となり、皮膚組織が壊死してしまいます。
他にもおむつなどの体に触れているものが擦れる、栄養不足による削痩で体が骨ばっている、皮膚に栄養が足りないことも原因として挙げられます。
中型以上の犬や皮膚が薄く骨が当たる「頬・肩・肘・手根部・腰・足根部」で褥瘡が起こりやすくなります。
また、褥瘡は高齢の犬や猫で発症するイメージがあると思いますが、高齢に限らず怪我や疾患の影響により自分自身で体位変換できなくなった寝たきり状態の犬や猫でも同様の症状が起こります。
対策
褥瘡にならないための対策をいくつかご紹介いたします。予防が大切になりますので是非実践してみてください。
・体位変換
長時間一定の場所に圧がかかることで血流が滞ってしまうため2~3時間おきに体位変換をする必要があります。体の向きを変えることで体圧が分散されます。
注意点としては体位変換するときは背中が上になるように回転させましょう。お腹が上になると吐き戻しや誤嚥、内臓へ負担がかかることがあるので注意しましょう。
・介護マット(褥瘡予防グッズ)
寝たきりの犬猫には体圧の分散が非常に重要となります。その手助けをしてくれるのが介護マットです。
サイズは寝返りをうたせることが出来るよう動物よりも一回り大きいサイズが良いでしょう。硬さは程よく体の沈み込みがあることがポイントです。衛生面から通気性がよく、手入れが簡単な製品を選びましょう!
・マッサージ
血流をよくするために軽いマッサージをしましょう。体や手足を激しく動かすマッサージや褥瘡ができた部分を触ることは犬や猫の負担になるため避けましょう。体をさする、手足の曲げ伸ばしだけでも固まった筋肉がほぐれるのでおすすめです。
・好発部位の保護
褥瘡の好発部位や骨が出っ張っている箇所をあらかじめタオルやクッションで保護することで褥瘡を防ぐことができます。
・清潔に保つ
排便や排尿、食べかすなどによって被毛や皮膚が汚れたままになっていると不衛生になり褥瘡ができやすくなってしまいます。汚れた部位は早めに洗浄し、体を常に清潔な状態に保ちましょう!
・リハビリ(筋肉量維持)
寝たきりの状態にならないために筋肉量を維持することも大切になります。
座る・立つの動作を繰り返す、お散歩の時間を長くする、体をさする・手足の曲げ伸ばすマッサージも効果的です。
当院でリハビリテーションを実施しておりますので、筋肉量が落ちてきたと感じる場合は是非ご検討ください。(リハビリテーションの実施は犬のみとなります)
介護の準備や方法についてはこちらもあわせてご覧ください。
治療
褥瘡ができた部分を清潔に保つために周辺の毛刈りと洗浄を実施します。また、屋外で飼育している場合は屋内管理にしましょう。
傷口の状態によって抗生剤の使用、壊死組織や感染した組織を取り除く(デブリードメント)などの外科的な処置を実施する場合があります。
また、傷口は乾燥してしまうと傷を治すための滲出液が乾いてしまい、治りが遅くなってしまうのでドレッシング材等を使用します。
寝たきりの犬や猫がいるご家族の方は動物の体を観察していただき、少しでも皮膚に赤みや傷がみられた場合には早めに動物病院を受診しましょう!悪化する前に治療をすることで症状の改善が早くなります。
近年はペットの高齢化により介護をするご家族も増えています。
犬や猫は言葉が話せないため不快感があっても伝えることが得意ではありません。一番近くにいるご家族の介護がとても大切になります。
介護で疲れてしまうこともあるかと思いますが便利な介護グッズや動物病院の獣医師、愛玩動物看護師をぜひ頼ってください。
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