ペット防災のお話Part2 行動・トレーニング編

前回のPart1では、避難場所の確認やマイクロチップなどについてお話しました。

今回はPart2としてご家族の行動とペットのトレーニング、災害時の実例についてお話します。

 

☆災害への備え ご家族の行動

ご近所のご家族同士で助け合うことはとても大切です。ご家族同士のコミュニティや災害時の避難についての情報などを共有しておくのもよいでしょう。

市区町村ごとに災害時のペットへの対応などは異なりますので、必ず確認しておきましょう。

予防ができるものはしっかりと予防薬を使用することも非常に重要です。

災害時は心身的な負担も大きく、体調を崩しやすい状態です。アレルギーや持病をお持ちの方もいらっしゃいます。また、多くの理由で予防接種や予防薬が使用できない動物もいます。予防がされていない動物も一緒に避難することもあります。

狂犬病ワクチン、混合ワクチン、フィラリア症予防、ノミダニ予防など予防ができるものは日ごろからしっかりと予防しましょう。

☆災害への備え ペットのしつけ・トレーニング

ペットのしつけは日常生活だけでなく災害時も必ず役に立ちます。災害時は混乱の中、人も動物も不安でいっぱいです。周りの方への思いやりもとても大切ですので、以下に挙げるものはぜひできるようにチャレンジしてみましょう!

☆災害時の実例

ここからは、ペットがいる家庭での災害の実例をご紹介します。筆者や友人の体験談や知人から聞いた内容です。

2011年3月11日の東日本大震災でのお話です。

・ペットだけが家にいた

東日本大震災が起きた日、家族は仕事や学校でペットはお留守番中でした。この家には犬が2頭おり、ケージに隣同士に並んで1頭ずつ入っています。

14時46分、地震が起き、もちろんこれまで体験したことのないかなりの揺れと大きな不安がありました。何とか家に着くと、家の中はぐちゃぐちゃです。

すぐに犬のもとに駆け寄り様子を確認しました。ケージが壊れていたりすることはなく奇跡的に無事でした。

ケージから見える景色は言葉では言い表せないかなりの衝撃だったことと思います。本当によく頑張ってくれました。

家の中は靴を履いたままでないと歩くのが困難な危ない状況でした。洋服ダンスは倒れ、台所の食器は割れて床に散らばり、ライフラインはストップ。

短時間に余震が何度も続く状況でした。各都道府県の方々からのご支援もあり、応急給水などを行っていただきました。

また、家族はキャンプや釣りなどのアウトドアが趣味で、ランプやコンロ、ラジオを持っていたため役立ちました。

ライフラインが完全に復旧したのは震災から13日後であり、その後も余震は続きました。

被害は大きく、駅の天井は剥がれ落ち、倒壊した建物や曲がった線路、深く地割れを起こした公園、津波により岸に乗り上げた漁船などの光景がありました。

2頭のうち1頭は、震災を経験してから地震速報などの警告音を怖がるようになりました。どんな状況でもその音が鳴れば必ず吠え、震えるようになりました。

 

10年前、ペット同行避難を行っている地域はまだ少ない状況でした。

先ほどご紹介した体験談はほんの一部です。他にもこんな事例もありました。

・ペットを置いて避難せざるを得なかった

・ペットは避難所に入ることができなかった

・避難時は車の中でペットと一緒に過ごした

・保護団体やボランティア団体の方に預かってもらった

・犬や猫を見つけても逃げてしまい保護することが難しいと聞いた

・少しだが支援物資を送った

・ペットが行方不明になった

・ペットが亡くなった

・家族が亡くなった

 

残念ながら災害を完全になくすことはできません。いざという時、人間と動物が一緒に生き延びることができるように備えておくことが必要なのです。

 

災害による被害に遭われた多くの方々に、お見舞いとお悔やみを申し上げます。

この記事を書いた人

藤咲 舞(愛玩動物看護師)
当院の看護主任として日々奮闘中。責任感が強く真面目な性格と自負しており、ご家族からも頼られることが多い。小学校などで子供たちと犬との触れ合いの場を設ける動物介在教育にも力を入れており、休日には愛犬とともに参加している。ご家族やペットのお名前を覚えるのが得意で、スタッフからも「人間カルテ」と言われる記憶力が自慢。