犬や猫が食べたものってどのようにして便になるのかな?

便は食べたものや消化器の状態を反映することから、「健康のバロメーター(指標)」とも言われています。

では、その指標となる便とはどのようにできているのでしょうか。

今回は便の組成や排泄までの過程、ご自宅でのチェックポイントをご紹介します。

 

まずは便の組成を見てみましょう。

便は主に消化・吸収されなかった食べもののカス、脱落した腸粘膜や細胞、腸内細菌の死骸、そして水分で構成されています。

しっかりと消化吸収されると便の量は少なく、反対に消化しにくい物を食べたりすると便の量は多くなります。

また、水分が十分吸収できていれば正常な便、不十分だと軟便・下痢になります。

 

では、食べたものはどのようにして便になるのでしょうか。

食べたものは体の中の消化管を通って、便となり外へ排泄されます。「消化管」とは主に口、食道、胃、小腸、大腸、肛門で構成されています。

また、肝臓・胆のう・膵臓など付随する臓器も含めて「消化器」と呼ばれています。

消化とは消化器のなかで食物を分解し血液中に吸収されやすいかたちに変える作用のことをいいます。

それでは、便が作られるまでのそれぞれ消化器のはたらきを解説していきます。

●口から食道

口から入った食べものは唾液と混ざり、飲み込まれて食道を通り、胃に運ばれていきます。

人間の場合は唾液にアミラーゼという消化酵素が存在しているので咀嚼して食べものを細かくし、唾液と混ぜ合わせることで消化を開始していきます。

私たちがお米を噛んでいるうちに甘く感じるようになるのは、この消化酵素のはたらきによるものです。

一方で犬や猫の場合は唾液に消化酵素は存在していません。また歯自体が咀嚼よりも、肉を引き裂く、ものを咥えるといったことに向いた構造をしています。

ご自宅でも味わうように咀嚼することはなく、丸飲みして食べる様子がよくみられるのではないでしょうか。

●胃

運ばれてきた食べ物はぜん動運動(うねるような動き)によって細かくされ、胃液と混ぜ合わされます。

胃液には塩酸によって活性化されたペプシンといった消化酵素が含まれていて、この胃液によって栄養を吸収しやすい状態に消化が進められていきます。また塩酸により運ばれた食べものは殺菌されています。

●小腸(十二指腸、空腸、回腸)

胃から十二指腸へ運ばれると膵臓から分泌された膵液、胆のうから分泌された胆汁と混ざりあって更に消化が進みます。膵液にはトリプシンやリパーゼといった消化酵素が含まれ、胆汁にはリパーゼの働きを助ける胆汁酸が含まれています。

また、小腸粘膜から分泌されるマルターゼなどの消化酵素によって、より吸収されやすいものへと消化・分解されていきます。

栄養素は十二指腸に続く空腸から回腸でそのほとんどが吸収され血液中へと取り込まれています。また、水分の80%程度が小腸で吸収されています。

●大腸(盲腸、結腸、直腸)から肛門

小腸を通過した後の残りの水分を吸収し、便を固形化します。結腸や直腸では便の一時的な貯蔵の役割をも担っています。こうして一定量に溜まった便が肛門から外へ排泄されているのです。

●消化にかかる時間

食べたものやその量、年齢や健康状態といった要因で個体差がありますが消化にかかる時間は通常胃でおよそ2時間、小腸でおよそ1時間です。

そして大腸でゆっくりと水分が吸収され、食べてから便として排泄されるまで12~24時間程度かかります。

このように食べ物は消化され便になるわけですが、犬猫にとって消化しやすいもの、消化しにくいものがあります。

犬はヒトと同じく雑食動物ですが、ヒトよりも消化管が短く、野菜より肉類を消化することに向いています。猫は肉食動物であり、野菜類はほとんど消化することができません。

〇消化しやすいもの

・ペットフード

・肉類

・魚類

ペットフードは必要な栄養素を含んでいます。またこれを消化、吸収しやすいように加工されています。

〇消化しにくいもの

・穀物

・野菜

穀物に多く含まれる食物繊維は消化されないものですが、腸のぜん動運動を促し、便の中の水分を保持することで、排泄しやすい状態をつくる役割を果たす成分です。しかし摂りすぎると便が硬くなり、便秘を引き起こす要因になることがあります。またカサが増えるため、便の量が増えることもあります。穀物や野菜をあげた際には便の状態にご注意ください。

 

それでは、便の状態をチェックしてみましょう!健康のバロメーターである便のチェックポイントをご紹介します。

◆色や形状

正常な便は胆汁に含まれる色素によりチョコレートのような濃い茶色をしています。

力を加えると崩れる程度のかたさで通常は取り上げたときに床やシートに便が残りません。

◆におい

消化できなかったタンパク質は腸内で発酵してにおいの原因になります。

いつもとにおいが異なる、きつく感じる場合には便をよくチェックしましょう。

◆量や回数、排泄時の姿勢

排便の回数や一回の量を見てみましょう。食べる量に対して便が多い場合は食べているものや消化に異常があるかもしれません。また、排泄の姿勢をとっているのになかなか便が出ない様子(しぶり)はありませんか?

◆付着物、混入物

粘液や異物、毛玉、寄生虫など、便に付着しているものや混ざっているものがないかチェックしましょう。

 

食事内容を変更すると便の色やかたさ、におい、一回量が変わることがあります。

鮮血が混じっている、全体的あるいは部分的に黒い便は消化管での出血の可能性が考えられます。

また、便のかたさは消化吸収での異常、ウイルスや寄生虫の感染、ストレス、そのほか病気が原因の可能性が考えられます。

下痢の種類についてはこちらの記事をご参照ください。

今回は消化管の役割や便のチェックポイントを中心にご紹介しました。

与えるフードを選ぶとき、便のことも考えてみてはいかがでしょうか。そして異常がある時だけでなく、日頃から便の状態をチェックしてあげるようにしましょう。

この記事を書いた人

舘野(愛玩動物看護師)
ご家族から声をかけていただきやすい雰囲気作りを心がけています。現在は整形外科部門を中心に強化に精を出している。シェルティが大好きで好きなところを語り始めると止まらなくなる一面も。趣味は推理小説を読むこと。個人的に好きな作家は赤川次郎と西村京太郎。