犬や猫が下痢をしてしまった!下痢に種類があるって知っていますか?
下痢の種類ってなに?
下痢は形状、色、原因となる腸の部位によって分類することができます。
(1)形状
・軟便 正常な便よりも少し水分の多い便で、形はありますが便を拾った時にペットシートや床に便が残ります。
・泥状便 形がなく、泥のようなべちゃっとしている便です。
・水様便 形がなく、水のような便です。
(2)色
・鮮血便 赤色の血液が混ざっている、もしくは付着している便です。大腸からの出血が考えられます。
・脂肪便 通常よりも白い、もしくは灰色のような便です。通常、便の色は胆嚢から出される胆汁により茶色ですが病気で胆汁がうまく分泌されないと白や灰色になります。また、膵臓では脂肪を分解する酵素が作られており、膵外分泌不全や慢性膵炎になると脂肪が分解しきれずにこのような色になることがあります。
・黒色便(タール便) 真っ黒な便です。血液は時間が経つと黒くなるため、口の中や胃、小腸からの出血が考えられます。出血の原因として急性の胃腸炎や胃腸にできた腫瘍などの可能性があります。
(3)異常がある腸の部位
※何度も排便の姿勢になる、排便の姿勢をとるが便がなかなか出ないなどの行動
下痢の原因は?
下痢が引き起こされる原因は多岐にわたります。
・ドッグフードや食べ物の変化
急にいつも食べているドッグフードから新しいものに変えたり、新しい種類のおやつを与えたり、アレルギーがある食べ物を与えたりすると下痢を引き起こすことがあります。なぜなら普段食べなれないものを食べると胃や腸などの消化器に負担がかかってしまうからです。
また、人の食べ物を与えたりした場合にも下痢の原因になることがあります。人の食べ物には脂肪分が多く含まれており、下痢を引き起こす可能性があります。
・感染
主に子犬・子猫に多く、ジアルジアやトリコモナスなどの寄生虫やパルボウイルス、コロナウイルスといったウイルスにより下痢を引き起こすこともあります。症状が悪化すると死の危険もあるので注意が必要です。
普段お腹の中にいる細菌でも、普段保っている細菌バランスが崩れてしまうと下痢を引き起こすことがあります。サルモネラ菌やカンピロバクター、芽胞菌などが原因となることもあります。
画像のようにカンピロバクターや芽胞菌が増殖すると腸内の細菌バランスが崩れてしまい下痢になります。
・水分摂取量の増加
ウェットフードや水分量の多い食べ物を多く食べると下痢になることもあります。また、水を飲む量が普段と比べて顕著に増加した場合も水分が体に吸収しきれなかったり、尿として排泄しきれなかったりして下痢をすることがあります。暑い夏に体を冷やすためにたくさん飲む、犬だとハアハアと口を開けて舌を出しながら呼吸(パンティング)をするので喉が渇くなどの理由から水を飲む量が増えることがあります。
また、下痢をすると体の中の水分が減り水をたくさん飲む傾向にあるため、水を飲み始めたのは下痢の前なのか後なのかを注意してみてください。
・ストレス
動物は環境の変化にとても敏感です。引っ越しをした、家族が増えた、家に人がいる時間が長くなったなど普段の生活が変化することでストレスを感じて下痢を引き起こす場合があります。遊ぶ時間が短い場合や運動不足もストレスになりますので注意が必要です。このような場合による下痢はストレスになっている原因を取り除くことで改善することがあります。
・病気
急性膵炎や腎臓病、炎症性腸疾患などの様々な病気が原因で下痢が引き起こされる場合もあります。その場合は食欲が落ちる、嘔吐も見られる、飲水量の変化など他の症状が起こることもあります。下痢だけでなく他の症状も伴う場合は一度動物病院を受診することをお勧めします。
すぐに診察を受けたほうが良いのかどうか?
元気と食欲があり、3日以内の軟便であれば様子を見ていただいてもそのまま改善することがあります。ご心配であればご来院ください。
・軟便だが3日以上続いている
・子犬、子猫、高齢犬、高齢猫である
・嘔吐や食欲不振、体重減少がある
・元気がなくぐったりしている
・1日に何度も下痢をしている
・赤い血の付いた便、真っ黒な便をしている
以上のような症状がある場合にはお早めにご来院ください。
一言に下痢といっても形状、色、原因となるものが多くあります。
子犬、子猫、高齢犬、高齢猫が下痢をして悪化すると、体力が奪われ脱水症状を引き起こし、最悪の場合死に至ります。またはアレルギーや病気が原因の可能性もありますので、お困りのことがありましたらスタッフまでご相談ください。
いつからどのくらいの頻度で、どんな色・形状の便をしているかお伝えいただけると原因の特定にもつながります。また、便をご持参いただけますとより詳しい検査ができますので、ご来院までに排便した中で一番新しいものをお持ちください。