動物病院の裏側公開!特別に一部をお見せします

皆様は動物病院にはどれくらいの品数の薬品があると思いますか?

院内には飲み薬、外用薬、注射薬だけでなく手術用の消耗品、衛生材など様々な品物があり医療品だけでもおよそ1000点以上の数になります。

さらにフード、事務用品や日用品、防災用品、診察道具、大型機材などを合わせると更に多くのものを院内に収納する必要があります。

そんな大量の品物を限りあるスペースでどのように収納し、使用したいときにすぐ取り出せるようにしているのか、わずかではありますがご紹介しようと思います。

 

動線に沿って品物を配置

当院では診察室、処置室・検査コーナー、レントゲン室、入院室、手術室、トリミング室、ユーティリティ、ドッグランといったように診察の内容や検査・処置によって実施場所を決めてそれぞれの場所に物を配置しています。

手術室にはドラマでもよく見ると思いますが針や糸、手術器具をはじめモニターや手術代が必要になります。実際にはそれに加えてガーゼや包帯、麻酔時に使用する薬品、手術時の止血剤、チューブなど様々な消耗品や機器が必要となりそれらを保管する必要があります。

手術室は常に衛生的でなければならないのですが、出入りを少なくできるように工夫しています。限られた空間で効率よく手術をするには物の配置が重要となります。

機器類・内視鏡備品は手術の邪魔にならない位置に配置し消毒薬・縫合器具・衛生材・器具をそれぞれ引き出しに名前を付けて分かりやすく収納し、誰が見てもすぐに取り出せるようにしています。開院当初はオープン棚に収納していましたが地震対策や衛生面を考え「外科チーム」のメンバーが収納を検討し現在の形となりました。

トリミング室ではシャンプー後~乾燥までその場で行えるよう大型のシンク、ドライヤー、様々なシャンプー剤やケアセット、トリミングに必要な道具一式を収納しています。特にドライヤーは一般的な家庭用ドライヤーとは異なり大型のものとなります。

スタンドドライヤーと呼ばれるものはコロが付いている為どこでも移動可能ですが、脚がかえって邪魔となることがあります。

当院では通常のスタンドドライヤーのほかに壁に備え付けたドライヤーを使用することで足元の雑多感を減らすことに成功しました。

 

置き方にも工夫

各部屋での動線に合わせて様々なものを収納していますがただそこに置くだけではなく、使いたいときに使いやすく配置することも大事です。

診察室では診察に必要な体温計やケアのセット、ペットシーツなどはカートの中に置き、場所を決めて収納することでどこの診察室でも同じように使用することができます。

注射薬や外用薬などは種類が多く各診察室に設置ができないため、どの診察室からでも取りに行きやすいように一か所にまとめて効能別に並べて保管をしています。

 

診察室で眼科の検査をするさいに使いやすいように眼科の検査セットは一所にまとめて置いています。眼科検査は主に暗い部屋で行うことや目の超音波検査も行うことがあるため超音波検査室にセットを常備しています。

中には眼底鏡や試験紙、染色紙、点眼麻酔薬などが常備されています。これらを一つ所に置くことにより検査の時間の短縮をすることができます。

 

猫の診察室には通常の診察道具のほかにフェロモン製剤を使用した大判タオルの設置やご褒美おやつの設置を行い、道具を取りに行くための扉の開閉を少なくすることで診察室における猫のストレス軽減や診察の時間短縮を図っています。

 

処置室内の検査コーナーには検査機器や採血時の消耗品を、処置室にはケアのセットや汚れを落とすための大型のシンク、シンクから手の届く範囲にドライヤー、ペットシーツやタオルなども設置しています。

 

犬の入院室においてはステンレスのケージの上部は空きスペースとなっているため普段使用頻度の多い消耗品の在庫をしています。

逆に猫の入院室では猫のストレスを考慮しなるべく入院室への出入りを少なくしつつスペースの有効活用のため、普段使用頻度の低い大型のキャリーや介護用マット、猫用トイレなど必要最低限のものだけを置くようにしています。

入院やホテルでお預かりした荷物は汚れないように床置きすることなく、専用のラックに引っ掛けて管理しています。

 

その他にも飲み薬、注射薬、消耗品、掃除用品、日用品等様々なものを使いたい場所で「使いやすく」を目的に収納しております。雑多に見える病院内ですが工夫をすることで効率よい診療につながるように心がけています。

 

どのようなものが収納されているかについてほんの一部のご紹介でしたがいかがでしょうか?

当院では在庫のチームを設定し在庫の発注管理を行うととともに、「タスクフォースR」チームを設定しています。

タスクフォース[ある目的に対して期間限定の]、Rは[Rebuilding:再構築][Reconstruction:再建][Reproduction:再生]の頭文字からとり、院内環境の作業効率化と環境整備を行っています。

日々進歩する医療を提供するため新しい薬剤や機器を導入しています。常に使いやすく、質の良い医療を提供できるよう私たちも工夫をしています。

この記事を書いた人

大森 慶子(愛玩動物看護師)
日々育児と仕事を両立するため健康管理に気を付けている。趣味はサイクリングや登山と休日もアクティブに活動。「正確な仕事は美しい環境から」をモットーに院内の環境整備やマネジメントに関して精力的に動く日々。院内のムードメーカーとしていつもみんなの笑顔の中心にいる。