皮膚の構造と働き

皮膚は体の約12%を占める、最大の臓器です。

皮膚の主な役割は「体を守ること」。

変化が目で見えるので最も病気を見つけやすい臓器でもあります。

 

ではどのように体を守っているのでしょうか?

皮膚の外からの微生物などの侵入を防ぎ、内からの水分などの漏出を防ぎ、体温調節を行い、痛い・熱い・痒いなどの感覚を司り、皮膚の表面にいる常在菌のバランスをとる免疫機能など様々な役割を果たし体を守っています。

 

動物の皮膚はヒトの皮膚と違うの?

動物は毛に覆われた有毛動物であり、ヒトは局所にのみ毛が存在する無毛動物です。この毛が異物の侵入や外からの刺激から皮膚を守っています。このように動物とヒトでは毛をはじめとする様々な違いが存在します。

皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層により構成され、動物の表皮の厚さはヒトの1/3です。表皮は外層から角質層・顆粒層・有棘層・基底層の順に並び、基底層から角質層に向かい細胞は分化していき角質層からフケとして脱落します。この一連の流れを皮膚のターンオーバーと呼び、動物は3週間、ヒトは4週間かかると言われています。

角質層にはセラミドが存在し、皮膚の保湿性を担っています。セラミドの量が低下している皮膚だと皮膚からの水分蒸散が多くなり、皮膚トラブルの原因になります。犬アトピー性皮膚炎の動物はこのセラミドが少なく、皮膚からの水分蒸散が多く、皮膚トラブルを起こしやすいと言われています。

ヒトは汗腺より汗をかきますが、犬猫をはじめとする動物は肉球からしか汗をかきません。

汗腺にはアポクリン汗腺とエクリン汗腺が存在し、汗を分泌するのがエクリン汗腺、脂やタンパク質を分泌するのがアポクリン汗腺です。アポクリン汗腺からの分泌物はフェロモンとして機能します。その為エクリン汗腺が少ない動物は体温調節が苦手であり、主にパンティングにより体温を調節します。

ヒトの皮膚は弱酸性であり、石鹸など弱酸性のものを多く見ます。しかし動物の皮膚はほぼ中性であり、弱酸性ではありません。そのため、動物には動物のシャンプー剤を使用することをお勧めします。

このように動物とヒトでは様々な違いが存在するため、ヒトで当たり前のことが動物では当たり前でなかったりします。

 

この記事を書いた人

石井 秀延(ALL動物病院行徳院長 皮膚科学会認定医)
皮膚疾患に悩むご家族をはじめ、ご来院のみなさまにご相談していただきやすいような雰囲気づくりに努め二人三脚での治療をしています。2児の父で特に好きな犬種はプードル。日頃の運動不足解消のため暑さ寒さに負けず自転車通勤している。