皮膚の症状 ~痒み~

動物の痒みのサインは様々です。

引っ掻く、舐める、噛む、擦り付けるなど痒いというサインはひとつではありません。

これらのサインを放っておくと皮膚トラブルを悪化させ、炎症や傷、出血などを起こし、重症化することがあります。

痒みの原因は犬猫で多少の違いはありますが、主にアレルギー、感染症、外部寄生虫、その他に分類されます。

 

アレルギーは食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー、疥癬アレルギーなどがあり、感染により皮膚トラブルが起きるというよりも、様々なアレルギー物質に体が反応している状態になります。そのアレルギー物質に対するケアや日常的な食事管理、シャンプーなどを通してスキンケアを行い、痒みを少なく生活をするということが重要になります。

 

感染症、外部寄生虫は細菌、マラセチアや皮膚糸状菌などの真菌、ダニなどの寄生虫などが原因となり痒みを引き起こします。痒みの原因となるものを取り除く事により痒みはかなり軽減しますが、原因を取り除いても痒みが継続する、原因がなかなか取り除けない、繰り返し同じ原因で痒みが生じるなどの症状がある場合には、感染症、外部寄生虫以外に基礎疾患となる皮膚トラブルの原因が隠れていることもありますので、注意が必要です。

 

その他の部分では、腫瘍や免疫疾患などによる痒みも存在します。これらの痒みは上記のアレルギーや感染症、外部寄生虫と似た症状を示すため、しっかりとした鑑別診断が必要となります。

また、通常痒みはありませんが甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患では免疫力の低下により2次的に感染を起こし、痒みの症状を認めることもあります。

さらにはストレスが原因で痒み症状と同じ行動をとることもあります。ストレスと言っても一概に精神的なストレスだけでなく、どこかが痛いや違和感があるなどの身体的なストレスによっても舐める、噛むなどの症状がみられることもあります。

 

このように動物の痒みには様々な原因が関与しています。原因は一つに限らず複合していることも少なくありません。

原因により治療法は様々であり、適切な治療をするには適切な検査が不可欠となります。

この記事を書いた人

石井 秀延(ALL動物病院行徳院長 皮膚科学会認定医)
皮膚疾患に悩むご家族をはじめ、ご来院のみなさまにご相談していただきやすいような雰囲気づくりに努め二人三脚での治療をしています。2児の父で特に好きな犬種はプードル。日頃の運動不足解消のため暑さ寒さに負けず自転車通勤している。