気づかないうちにやけどしているかも?!犬や猫の冬の事故にご注意!!

寒い時にはこたつでミカンを食べてのんびりしたり外から帰ったらヒーターで手を温めたりと暖房器具が大活躍しますね。

この時期にはおうちにいるイヌもネコも暖を求めて暖房器具の周りにやってきます。

ですが実は暖房器具の使い方によっては、気づかないうちにペットたちがやけどを起こすこともあるのです。今回はやけどについてのお話をしたいと思います。

 

やけどとは?

そもそもやけどとはどういう状態なのでしょうか?

熱いお鍋に触って水ぶくれができた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないのでしょうか?イヌやネコはお鍋に触ってやけどするということはあまりありませんが、気づかないうちに低温やけどを負っていることがあります。やけどを負うと水ぶくれや赤み、ただれや脱毛といった症状が出ることがあります。

低温やけどは体温よりやや高い温度に同じ個所が長時間接触することで起き、通常のやけどより治りが遅く、痛みが長期化する傾向があります。

イヌやネコは被毛に覆われることで外部から皮膚への直接的な温度を遮断し、体温を適温に保つ役割を持ちます。

そのため被毛が高温になっても皮膚に熱が伝わりにくく、イヌやネコ自身が気づかないうちに長時間接触してしまいやけどを起こしてしまいます。

 

注意するポイント

①ヒーター・ストーブ

ストーブやヒーターをご家庭で使う際には柵を設置したり高温になりすぎないよう設定していると思いますが、ここで注意が必要です。

柵の温度を確かめてみましょう。高温になりすぎてはいないでしょうか?

実は安全のために設置した柵自体が高温化して気づいたら被毛が焦げていた、なんてこともあるかもしれません。

またヒーターを低めの温度で設定していても長時間当たることでやけどを生じさせてしまう可能性があります。

ストーブやヒーターを使用する場合は長時間同じ場所に居座らせない、柵の温度を確かめるなどの注意をしてみてください。

②こたつ

こたつを使用するご家庭も注意が必要です。

こたつはストーブやヒーターと同じくファンの真下部分が高温になり低温やけどの可能性があります。

またペットがこたつの内部に潜り込んでいる場合、カバーをめくらないと中の様子が確認できません。

気づいたら中で気を失っていた、脱水していたなどの可能性もありますので、定期的に中の様子を確認し長時間中に居座らないようしっかり見てあげましょう。

③湯たんぽ・ヒートマット・ホットカーペット・使い捨てカイロ

火を使わない湯たんぽやヒートマット、ホットカーペット、使い捨てカイロも注意が必要です。

長時間接触することで低温やけどを起こす可能性は十分にあります。

これらを使用する際はカバーやブランケットなどを使い体に直接当たらないよう注意しましょう。

また使い捨てカイロを使用する際は間違って中身を食べてしまわないように十分に注意してください。

④高齢・寝たきり・体が不自由・幼齢の場合

高齢のペットの場合は感覚が鈍りますのでいずれの暖房機器も特に注意が必要です。

本人が熱いなと感じ始めたころにはすでに広範囲のやけどを負っていた、ということもあり得ます。

また体が不自由な子や寝たきりの子も自分で体勢が変えられずやけどを負うことがあります。

幼齢の動物は熱さを感じていても自身ではどうしたらよいかわからず熱から逃げられないということも考えられます。

 

やけどをしてしまったら

やけどでは次のような症状が出ることがあります。

・被毛が焦げている

・同じ個所をずっと気にして舐めている

・皮膚が赤くなっている、ただれている、水泡がある

このような症状があった場合、やけどの可能性がありますのでまずは病院にご連絡ください。

ご家庭では氷嚢や水で濡らしたタオルなどで患部を10分ほど冷やしましょう。

 

治療方法は?

やけどには熱傷度というものがあります。

Ⅰ度

表面のみのやけどで赤くひりひりする程度。

跡は残らず数日で完治します。

浅達成Ⅱ度

表面より少し深いところまでのやけどでひどい痛みを感じます。

2週間ほどで完治するが皮膚の色が変わることがあります。

深達成Ⅱ度

皮膚の奥深くまでのやけどで皮膚や神経の損傷がありほとんど痛みを感じなくなります。

また感染症が併発する可能性もあります。

1か月ほどで完治するが跡が残ることが多いです。

Ⅲ度

皮下組織までのやけどで神経や筋肉を損傷するので痛みを感じませんが皮膚がケロイド状になり皮膚の手術を行う可能性があります。

また感染症を併発していることが多く十分に注意が必要です。

完治まで1か月以上かかり跡が残ることが多いです。

 

病院では水ぶくれの消毒や感染症への対策として抗生剤や痛み止めの処方をします。Ⅲ度のやけどの場合には皮膚の手術を行い感染症を起こさせないように入院が必要となります。

 

最後に

寒い時期には暖房は必須ですが使い方を間違えるとやけどを負ってしまいます。

エアコンを使用する、タイマー機能を使用するなど安全対策をしっかり行い、快適な環境を整えてあげましょう。

この記事を書いた人

大森 慶子(愛玩動物看護師)
日々育児と仕事を両立するため健康管理に気を付けている。趣味はサイクリングや登山と休日もアクティブに活動。「正確な仕事は美しい環境から」をモットーに院内の環境整備やマネジメントに関して精力的に動く日々。院内のムードメーカーとしていつもみんなの笑顔の中心にいる。