デンタルグッズ徹底解説!うちの犬、うちの猫に合うものを見つけよう!

ほんの数年前までは犬猫用のデンタルグッズは、現在ほど多くの製品はありませんでした。

しかし、近年では犬猫のデンタルケアに対するご家族の意識が高まり、それに伴ってグッズの需要が非常に増えています。

デンタルグッズと一口で言ってもペットショップでも売り場、インターネット上にも数多くの製品が販売されていますし動物病院でしか取り扱っていない製品もあります。

種類も歯ブラシや歯みがきシート、デンタルガムなど様々なものがあります。

どの製品がうちの子の性格や好みに合うのか、効果が期待できるのか、悩んだご経験もあるのではないでしょうか。

いくつか購入してみたけど続かなかったというお声もよくお伺いします。

中にはいつものフードにふりかけるだけで歯石が落ちる!と謳っているサプリメントなども販売されていますが、基本的に1度ついてしまった歯石は麻酔下で歯石除去処置をしなければ取れません

では、歯周病予防のためにはどのようなデンタルグッズを選んだらよいのか?

今回は当院で取り扱っている製品とその使用方法をご紹介します!

 

まず、歯みがきに慣れていない犬猫に対して、いきなり歯ブラシを使って歯みがきをすることはおすすめできません。

「触られたくない」「無理やりされた」という嫌なイメージがつくと、歯ブラシを見ただけで逃げてしまったり口周りを触ろうとすると怒るようになってしまうこともあります。

口周りを触られるのが苦手、歯みがきの練習をし始めたばかりという犬猫にも使用できる製品から、上級者向けまでレベル分けしてご案内していきます。

 

<レベル★> 初めてのデンタルケアにおすすめ!

・デンタルガム

おいしく噛むことで歯垢・歯石の沈着を軽減します。おやつとして作られている製品よりも、犬猫の歯の形状にフィットするように作られている製品が良いです。

また、意外にも犬猫の歯は人の歯よりも欠けやすい構造をしています。これは歯の表面のエナメル質という部分が、人に比べて約1/3程の厚さしかないことが原因です。

蹄や骨などの硬いガムを噛むことは避け、ハサミで切れる程度の固さのガムを選びましょう。

ガムを犬猫の好きなように噛ませていると片側でしか噛んでいないということもあります。丸飲み防止のためにもご家族がガムを持ち、左右均等に噛めるように誘導してあげましょう。

食物アレルギーがある犬猫にも安心してあげられるように、アレルゲンとなりやすい成分を使用していない製品もあります。

数あるデンタルガムの中でも「VOHCマーク」が表示されているものは、米国獣医口腔衛生協議会によって歯石蓄積の予防効果が認められた製品にのみ表示されていますので参考にしてみてください。

ガムをあげてるから大丈夫!と油断してはいけません。確かに全く何もデンタルケアをしていないよりはよいかもしれません。

しかし、私たちも「キシリトールガムを噛めば歯みがきしていなくてもいい。」ということではないですよね。

あくまでも、ガムは歯みがきの補助として与えていただくのが良いです。

ガムは歯みがきがしにくい奥歯で噛みます。歯みがきと併用していただくことでよりよい効果が得られます。

 

・スプレー/マウスウォッシュ

口臭が気になる犬猫におすすめなのがこちら。

口の中にスプレーしたり飲み水に混ぜて使用する商品です。歯垢を落とす効果はありませんが口臭が軽減されます。

特に匂いや味に敏感な犬猫には推奨されている100倍希釈よりも薄めてあげてください。

スプレーの「シュッ」という刺激に驚いてしまうこともありますので、怖がらせないように注意しましょう。

 

<レベル★★> 口周りを触られることに慣れたらチャレンジ!

・歯みがきシート

歯ブラシよりも簡易的に歯の表面の歯垢を取ることができます。

こちらは専用の製品ですがドラッグストアなどで販売されている一般的なガーゼを使用しても構いません。

口周りを触られることに慣れてから、シートを指に巻き付けて歯を優しく拭いてあげましょう。

慣れるまでは短時間で済ませて嫌がってしまう前におやつなどご褒美をあげながらたくさん褒めてあげてください。

 

・歯みがきペースト/歯みがきジェル

チキン味やシーフード味など犬猫が好むフレーバーがついています。

「おいしい」という良いイメージをもってもらうことでケアの時間を楽しくすることができますので、歯みがき練習中の犬猫には特に使用していただきたい製品です。

さらに、口内環境を整えてくれる酵素が配合されている製品もあります。

犬猫向けの歯みがきペーストやジェルは人用の歯磨き粉とは違い、使用後に口をすすぐ必要はありません。

 

<レベル★★★> 

焦りは禁物!たくさん褒めながらゆっくり練習していきましょう!

・歯ブラシ

歯石を除去するには歯ブラシを使用して歯みがきを行うことが最も有効です。歯の表面だけでなく歯と歯茎のすき間である歯周ポケットの中の歯垢まで取り除くことができます。

歯ブラシを選ぶ際には、

①ヘッドが無理なく口に入る大きさ

②毛がやわらかい

③誤食の危険性が低い

この3ポイントを基準にしましょう。

当院で取り扱っている歯ブラシはダブル植毛や極細毛など、私たちが普段使う歯ブラシのように高性能なものなので狭い隙間にも毛先が入り込んでくれます。

歯ブラシは鉛筆と同じように持ち、歯に対して45°の角度でブラシを当て優しく軽い力でブラッシングしてあげましょう。

磨きやすい前歯を数秒だけブラッシングすることから始め、徐々に奥歯まで磨けるように練習していきます。

犬猫用歯ブラシもよいのですが、人の幼児用の歯ブラシも比較的安価で手に入りやすいのでおすすめです。

また、衛生的に保つために使用後はよくすすいで乾かし、1ヶ月程度で新しいものに交換しましょう。

 

当院では1-2か月に1回のペースで定期的に犬猫を対象とした歯みがき教室を行っています。

今回ご紹介したデンタルグッズを実際に使用しながら歯みがきの練習をする機会を設けていますので、どの製品のどのフレーバーが合うのかじっくりとお試しいただけます。

詳しい歯みがきの練習方法にご興味のある方はぜひご参加ください。

 

歯周病予防のためには犬猫のお好みに合わせてデンタルグッズを選び、楽しく継続するための工夫をしてあげることが重要です。

犬猫が無理なく許容してくれる範囲で徐々にステップアップしていき、最終的には歯ブラシを使ったケアができるようになるといいですね。

この記事を書いた人

君塚 祥子(愛玩動物看護師)
「猫にやさしい病院」を目標にCATVOCATEを取得し、院内の猫プロジェクトリーダーとして猫のストレス軽減に力を入れている。また歯みがき教室やキトンクラスなど家族向けの教室を開催し、家族とペットの生活をより良いものに出来るよう奮闘中。趣味は野球観戦で埼玉西武ライオンズを応援している。特に栗山巧選手が大好き。