犬種別シリーズ!犬種ごとの性格や特徴などご紹介します。 ~チワワ編~

チワワの歴史

チワワの起源については諸説あり、その中でも中南米で昔から生息していた「テチチ」と呼ばれる犬を祖先とする説が有力です。19世紀にメキシコのチワワ州からアメリカに持ち込まれたことから、「チワワ」と呼ばれるようになったと言われています。

テチチとは、メキシコのトゥーラ遺跡にある壁画や装飾品に彫られている小型犬のことです。

先住民の間では、「神の使い」として神聖な存在と位置付けられており、宗教的な役割を持っていました。テチチがチワワの祖先だとすると、実に1000年以上前からチワワは人と暮らしてきたといえます。

チワワが日本で飼育されるようになったのは1970年からです。

超小型犬に分類され、世界で最も小さな犬種として知られており、誕生時は100g前後で手の平に収まるほどの小ささです。

 

性格と特徴

チワワは大きな瞳、立ち耳、短めのマズルが特徴的な犬です。額は丸みを帯びていて、その形状から“アップルドーム”と呼ばれています。

小柄なわりに骨格はがっしりしていて、動きが機敏です。体が小さくて活発なチワワは、家の中を走り回ったり、家族と遊んでいるだけでも一日の必要運動量を満たすことができるため、飼いやすいと人気があります。

一方で、チワワは警戒心が強く、周囲の変化に敏感な性質を持っています。

ドアベルが鳴れば吠えて家族に知らせるなど、ドアベルドッグとしても役目を果たしていましたが、チワワは一旦吠え癖が付いてしまうと、直すのに時間がかかります。

また、傾向であり個体差はありますが、男の子は活動的で勇敢な面もあり、女の子は穏やかな性格ですが、ヒート(生理)中は攻撃的になることもあります。

 

種類

チワワは、被毛の長さによってスムースコートロングコートに分けられます。

アメリカで犬種として固定化された当初、チワワの種類はスムースコートしか存在しませんでした。その後、度重なる長毛種との交配の過程で生まれたのが、現在のロングコートチワワです。

スムースコートチワワは、短めでなめらかな被毛を持つチワワのことです。

全身の毛が短く、飾り毛などは一切ないので、ブラッシングやシャンプーなどのお手入れも行いやすいとされています。

ハイオンタイプ(スリム体型)ドワーフタイプ(骨太で足が短い体型)の2種類があります。

一方、ロングコートチワワは、体全体がフワッとした長毛で、耳・首元・尾などに飾り毛があるチワワのことです。

スムースコートよりも毛の成長サイクルがやや遅いので、見た目の印象よりも抜け毛は少ないことで知られています。

 

毛色は大きく分けると単色、2色、黒色を基本とした3色模様の「トライカラー」の3種類ですが、細かく見るとカラーバリエーションは豊富です。

 

しつけと暮らし方

チワワは好奇心旺盛で適応能力もあり、頭が良く学習能力が高いため、しつけしやすい犬種といわれています。

家族に対しては愛情深く忠誠を尽くしますが、誰にでも愛嬌を振りまくわけでなく、家族とそうでない人をはっきりと区別します。

初対面の人などには警戒心を表し、吠えたり、すぐになつかなかったりする性質があるため、社会化期のトレーニングはしっかり行いましょう。

体が小さく臆病な性格なので、大声を出したり、暴力的にしつけようとすると家族を怖がるようになってしまいます。

しかし、甘やかしてしまうと、吠え癖や噛み癖が出てしまうこともあります。

よいことと悪いことの分別がつくように、メリハリのあるしつけを行うようにしましょう。

歯周病にかかりやすい犬種でもあるため、子犬の頃から歯磨きを習慣づけておくのが望ましいです。

また、暖かい国が原産なので寒さに弱く、秋冬には寒さ対策が必須です。

 

病気

さまざまな魅力をもつチワワですが、先天性の病気になりやすい犬種でもあります。

次は、チワワに多い病気を紹介していきます。

 

水頭症

水頭症は、脳や脊髄内を満たしている脳脊髄液が、何らかの原因で増えることで起こる病気です。

原因には先天性・後天性の両方があり、脳脊髄液が過剰に溜まることで脳が圧迫され、様々な症状が現れます。

先天性水頭症の場合、頭頂部の頭蓋骨が触れない(泉門開存)・頭部がドームで大きい・外斜視・発育不良など、外観的な異常がみられることが多いです。

発症した場合、まずは内服薬を用いた内科的治療を行いますが、改善がみられない時は外科手術を行うこともあります。

 

気管虚脱

生まれつき気管を守る軟骨が弱い、または気管周囲の筋肉が弱いことが原因で、気管が圧迫される病気です。

特にチワワなどの小型犬や短頭種は気管虚脱を起こしやすく、激しい運動をするとゼイゼイ・ブーブーと喉を鳴らします。

また、呼吸が苦しそうだったり「ガーガー」とダチョウの鳴き声のような呼吸音がすることがあります。

気管に刺激が加わると症状が出やすいため、散歩中にリードを強く引っ張るなどの動作は避けるようにしましょう。

詳ししくはこちらをご覧ください。

 

膝蓋骨脱臼

ヒザのお皿である膝蓋骨が内側や外側に外れてしまう病気で、小型犬に多く発症します。

小型犬の膝蓋骨脱臼の場合、膝蓋骨が内側にずれる「内方脱臼」を起こすことが多いとされていますが、外方脱臼を起こすこともあります。

犬の膝蓋骨脱臼は、遺伝的な要因が関係しているといわれています。先天性の場合、子犬の頃から骨や靭帯、筋肉に問題があり、生まれつきかあるいは成長の過程で発症することが考えられます。

症状は、小走りをした際に片足をあげてケンケンしたりスキップのような走り方の異変、静止時では立ち姿がややガニ股になっている場合や歩き方、走り方、座り方がおかしい、動かなくなる、痛がるといった様子が程度によってみられることがあります。

軽度であれば自然にはまることもありますが、一度発症すると何度も繰り返し起こることが多いため、注意が必要です。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

不正咬合

犬の不正咬合とは、上顎と下顎の歯が本来あるべき正しい噛み合わせにならず、うまく噛み合わせられない状態を指します。

不正咬合の主な原因は、乳歯遺残・遺伝・外傷などがあげられます。

乳歯遺残とは、永久歯が生えてくる際に、抜けるはずの乳歯が抜けずに口内に残ることで、永久歯の成長を邪魔してしまう状態のことです。

乳歯は永久歯が生えてきた場合、通常は2週間以内で抜け落ちますが、乳歯が中々抜けないことがあり、歯並びに異常がみられることがあります。

乳歯遺残はチワワなど小型犬によく見られることから、顎の骨・歯の大きさのバランス異常が原因と考えられています。

 

まとめ

チワワは小さくても運動好きで運動量の多い犬種のため、積極的に散歩に連れて行ってあげることが大切です。

お散歩は社会勉強にもなります。臆病な部分のあるチワワですが、毎日の散歩で他の犬と触れ合わせることで社会性を学ぶことができます。

家族にお迎えする際には、性格や特徴をしっかりと理解しておきましょう。

しつけがうまくいかなくても放置せず、きちんと対処することで犬にとっても家族にとってもストレスなく、より信頼し合って過ごすことができるはずです。

また、歯磨きやブラッシングなど日々のケアも欠かさずに健康を維持してあげましょう。

この記事を書いた人

谷口 有果(愛玩動物看護師)
持ち前の明るさとガッツで一生懸命な姿勢を周囲から評価され、さらなる技術向上に邁進しているところ。SNSの情報発信を担当しており、独特な切り口で病院を切り取ってくれている、サウナの魅力にはまりサウナハットを購入、休日はサウナで整うことが生きがい。小柄ながら焼肉が大好物のパワフル女子。