犬と猫にもマイナンバー もしも!に役立つマイクロチップ

平成28年に導入されたマイナンバー制度が数年かけて少しずつ世間に浸透してきましたね。

マイナンバーと運用等は異なりますが、犬や猫も自分だけの番号を持つことが出来ます。

一歩外に出てしまったらもう何処のお家の子かわからない……そんなことにならないよう、マイクロチップに情報を登録しましょう!

マイクロチップってそもそも何?役割は?

マイクロチップとは、直径1.2㎜、長さ8㎜ほどの円筒形の電子標識器具のことです。体内に装着するチップにはそれぞれ15桁の数字が記録されており、同じ数字のものはありません。

ですからデータベースに登録をしていれば、専用のマイクロチップリーダーで読み取った番号をもとに住所等を確認することが出来ます。

万が一離れ離れになってしまった時も、ご家族の元に帰ってくる可能性がグッと高くなるのです。

装着部位は動物種や個体によってやや異なる場合もありますが、主に首の後ろあたりの皮下に装着します。電子器具と聞くと体内に入れるのは何だか怖い印象を受けるかもしれませんが、全体が生体適合ガラスやポリマーで覆われているため安全性が高く、害はほとんどないと言われています。

その子のためだけの15桁の数字も実はランダムに決められているわけではなく、きちんと意味があります。

まず最初の3桁は国コードです。日本は392となります。

その次の2桁は動物コード、ペット動物は14ですので、主に皆さんが目にするのはこの番号でしょう。

次の2桁はチップの販売会社コードです。そして最後の8桁が個体識別番号となります。

動物が保護された際には動物病院や行政等でリーダーを使用してその番号を読み取り、指定登録機関に問い合わせます。情報の登録が確認出来ると、機関から登録者であるご家族に連絡が入ります。

保護した方が数字を読み取ったり、情報照会をすることは原則出来ません。

マイクロチップの装着は義務か そうでないか

実はマイクロチップに関する法律が2022年に改正されています。ではみんな装着しなければいけないのかな?と疑問が出ますよね。

装着義務の有無やご家族にとっての必須事項についてお話しします。

 

2022年6月に動物愛護管理法が改正され、ブリーダーやペットショップ等の販売業者について、販売する犬や猫にマイクロチップを装着することが義務化されました。

つまり改正後に購入した犬や猫には必ずマイクロチップが入っているはずです。装着後は30日以内に環境省指定の登録機関に情報を登録することも義務となっています。

つまり販売業者については装着および情報登録が義務となるわけですね。

さて犬や猫を迎えたご家族はどうすれば良いでしょうか。チップが装着されている犬や猫を購入・または譲渡された場合、既に登録されている所有者の情報を変更する義務があります。

変更のために必要な「登録証明書」は必ず販売者や譲渡者から受け取っておきましょう。こちらも30日以内に行うようにしてください。

ご家族に対しては絶対に装着になければならないという義務はありません。法律改正以前から一緒に暮らしていたり、保護した猫という理由でマイクロチップが装着されていない場合でも法律違反にはあたりません。

しかし、装着は「努力義務」とされていますので、もしもの場合を考慮してなるべく装着しておきましょう。

ご自身の意思によって動物病院等で装着した場合には、その時点で情報登録の義務が発生しますのでご注意ください!

ちなみに海外渡航の際は必須のこともありますので、移住や旅行で一緒に連れていきたい方は早めに用意をしておいたほうが良いですね。

 

メリットとデメリット

ここからはマイクロチップのメリットデメリットについて解説していきます。

まずメリットに関しては前述の通り、脱走や盗難、災害等で離れ離れになってしまったとしても、帰ってくる可能性が格段に高くなることです。

保護された先で番号を読み取ってもらえれば、登録された情報を元に連絡が来ます。ただしGPSではないため、今どこにいるのかを常に確認出来るわけではありません。

もう1点挙げられるのが、迷子札と異なり脱落の心配がほとんどないことです。

リーダーで読み取りますので、文字がかすれて読めなかったり首輪が外れていても問題ありません。メンテナンスをせずとも故障や破損の恐れはほとんどないとされています。

また情報登録の変更を勝手に行ったり、取り外すことも簡単には出来ませんので、確実な身分証明になります。

とはいえ目に見えるものではありませんので、飼い犬・飼い猫であることをすぐ判別出来るよう首輪や迷子札と併用するのがベストです。

続いてデメリットですが、マイクロチップには金属が含まれるため、MRI撮影などでうまく画像が撮れないこと(アーチファクト)が生じる可能性があります。撮影部位が挿入してある首付近と離れていれば問題ありませんが、場合によっては一度マイクロチップを摘出しなければならないこともあります。

ご不安な場合は検査をする病院の獣医師にご相談ください。

 

装着と読み取りの方法は?

装着はマイクロチップの入った注射器のようなものを使用して埋め込みます。針内にチップが装填されているため普段の注射よりもやや針が太いです。

少しチクっとしますが痛みは注射と同じくらいとされており、装着は数秒で終わります。

避妊去勢手術など全身麻酔をかける予定がある場合は、麻酔で眠っている間に装着することをお勧めします。

首後ろの皮膚を軽くつまみ皮下へと埋め込みます。装着した後体内で移動してしまうことはほぼありませんが、稀に時間経過で移動してしまうことがあるようです。

読み取り方法は専用のマイクロチップリーダーを身体にかざして行い、反応するとリーダーに番号が表示されます。

リーダー以外でマイクロチップの有無を確認するには、レントゲン撮影という方法もあります。

丸で示した部分で白く写っているのがマイクロチップです。

 

最後に……

今回はマイクロチップについてご紹介しました。

まだ装着していないという方も、ご検討してみてはいかがでしょうか。もしもの迷子、災害時に備えて準備をしておきましょう。

とはいえ離れ離れにならないのが一番ですから、マイクロチップが入っていたとしても首輪やハーネスの緩み、施錠なんかのチェックも怠らないようにしたいですね!

登録方法について詳しく知りたい方は環境省HPをご確認ください。

https://reg.mc.env.go.jp/

この記事を書いた人

興村 江美(愛玩動物看護師)
幼少期に祖母の家で犬と暮らしていたことから動物関係の仕事を選択。現在は院内備品の在庫管理やシニア動物のケアに力を入れており、ご家族へ配布するシニア介護についての資料作りも担当。趣味はハロープロジェクト所属アイドルのコンサート鑑賞で休みの日は定期的にライブに足を運んでいる。