膿皮症

膿皮症は皮膚の感染症の中で最も多く遭遇する疾患です。
元々皮膚の表面に存在する細菌(常在菌)が皮膚コンディションの低下し、バリア機能が崩れた皮膚で増殖することにより引き起こされます。
比較的どの年齢でも認められますが、免疫力が未発達な子犬や免疫力の低下した高齢犬で多く発症し、アレルギー疾患(犬アトピー性皮膚炎など)や内分泌疾患(副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症など)が根底に存在し、皮膚コンディションが低下した場合も発症しやすいと考えられています。また、猫での膿皮症は非常に稀であり、もし認められた場合には腫瘍などの全身性疾患の存在を考慮する必要があります。

症状は主に赤みや膿疱と呼ぼれる内部に膿を持った皮膚の膨らみを呈し、それが破裂することにより円形のかさぶたや脱毛などを認め、円の中心部に色素沈着を伴うこともあります。感染が皮膚の深部に達する場合には深在性膿皮症といい、出血などがみられます。痒みは激しいものから全くないものまでさまざまです。

診断は病変部位より細菌を採取し、顕微鏡を用いて観察。細菌の有無と炎症細胞の有無などを確認して判定します。過去に抗生物質の使用歴のある場合や治りが悪い場合には細菌培養・薬剤感受性検査(どんな細菌が増殖し、どの抗生物質が効くかを判定する検査)が必要となる場合もあります。

治療は重症度によって異なり、軽症の場合には薬浴や外用薬を用いて治療しますが、重症の場合や薬浴・外用薬でも治らない場合にはそれらに加え、抗生物質を数週間にわたり服用することがあります。抗生物質は、治癒後も1週間程度服用することで再発を最小限に抑えることができます。
これらの治療でも良くならない場合には、皮膚コンディションを低下させている原因を探索します。主に、アレルギー疾患、内分泌疾患、環境要因(気候やケアなど)、栄養状態、腫瘍などが挙げられますが、これらの探索には全身的な検査が必要となる場合があります。

このように、膿皮症はどの年齢でも発症しうる比較的ポピュラーな疾患ではありますが、治療反応が悪い場合には隠れた病気が存在するかもしれません。

この記事を書いた人

石井 (ALL動物病院行徳院長 皮膚科学会認定医)
皮膚疾患に悩むご家族をはじめ、ご来院のみなさまにご相談していただきやすいような雰囲気づくりに努め二人三脚での治療をしています。2児の父で特に好きな犬種はプードル。日頃の運動不足解消のため暑さ寒さに負けず自転車通勤している。