犬や猫が飲み込んでしまうと危険!与えてはいけないものリスト

人間の生活環境の中で、動物にとっては危険なものや注意が必要なものが実はたくさん存在しています。大きく2つに分類されます。消化できないものを飲み込んでしまったケースの「異物」と、体内に吸収されて異常をきたす「中毒」です。

場合によっては命を落とすこともあるので、知識を持っておくだけでも危険を回避できるのではないかと思います。このまま様子を見ていいのか、緊急で処置が必要なのか、それぞれによって処置・対応が変わってきますのでわからない場合はかかりつけ動物病院に相談あるいは受診をしましょう。

ペットフード協会の調べによると、年間20万件以上もの誤飲誤食が発生している。経過観察で問題がなかった症例も多い一方で緊急手術は必要な場合から死亡する症例までさまざまです。経験的に、クリスマスやバレンタイン、BBQのなどのイベント時が発生が多いと思っています。

では、異物と中毒で多いものを見ていきましょう。

遭遇しやすい異物

異物の中でも最も多いのが「ひも」で最も死亡率が高いです。これは胃腸が伸びたり縮んだりする運動にひもが触れ続けることで胃腸の粘膜が徐々に擦り切れてしまいます。また、ひもが口や胃の出口にひっかかることで腸がアコーディオン状に折りたたまれてしまい、進行すると内容物が腹腔内に漏れ出すことで腹膜炎を引き起こしてしまいます。何cmまでなら大丈夫といった基準はありません。

猫で非常に多くみられるのがネズミのおもちゃです。飲み込みやすく腸に詰まりやすい大きさで、無くなったことに気づかないケースがあります。

異物は胃の出口や十二指腸、小腸の途中で動かなくなり腸閉塞を起こります。内臓や周囲の組織や血管に負担がかかることで血流が悪くなり壊死すると内容物が腹腔内に漏れ出すことで腹膜炎を引き起こしてしまうことで最悪の場合死亡します。

表にあるもの以外では、おやつの外装、アクセサリーなどもあります。トウモロコシの芯、リンゴの芯などの固いものは、腸閉塞だけでなく食道や喉、気道に引っ掛かり窒息する可能性もあるため注意が必要です。

低周波の電気を流すパッドを飲み込んでしまった犬のX線写真です。胃を切開して取り出しています。

遭遇しやすい中毒性物質

中毒では他にたばこ、洗剤、ハンドクリームなどもよく見られます。その他、地域により頻度は低いかもしれませんが危険なものとして一部の農薬、殺鼠剤、生石灰、ナメクジ駆除剤、不凍液などがあげられます。

代表的なものを一部ご紹介いたします。

(1)タマネギなどのネギ類

有名なところでは玉ねぎ、ネギ、ニラ、ニンニクなどの成分が体内に吸収されると赤血球を壊してしまい貧血を起こします。

加熱や乾燥でも成分に変化がないため注意しましょう。

 

 

 

(2)チョコレート中毒

自宅によくあるチョコレートですが、おいしいですよね。

しかし犬猫にとっては危険な食べ物です。

チョコレート、ココア、コーヒー、お茶などに含まれるカフェインやテオブロミンが原因で、嘔吐下痢、痙攣、ひどい場合には心臓が止まってしまう可能性もあるため要注意です。

 

(3)ブドウ中毒

ブドウ中毒の原因やメカニズムはいまだによくわかっていません。

症状として、摂取後数時間以内にほぼ100%嘔吐すると言われており、さらに急性腎不全となることがあります。最悪の場合、死亡するケースもあるため注意が必要です。

 

 

 

このように人では口に入れないようなものでも飲み込んでしまったり、人ではおいしく安全な食べ物でも命にかかわる危険なものも多数あります。

ふと目を離したすきに食べてしまった!いつもは食べないのに今日に限って!などということが起こらないように、心配なものは普段から手の届かないところに保管することを徹底しておくといいでしょう。

くわえているものを好きなおやつと交換したり、名前を呼んでそばに寄ってくることができるなどトレーニングで回避することも

 

 

できますので、日常からしつけを行うことも重要な対策の一つです。

もし異物や中毒性物質を誤食してしまったら!?

誤食したものによって対応が変わりますので、まず最初に動物病院に相談をするようにしましょう。

多い治療法としては薬を静脈内投与や口から投与することで吐かせる催吐治療が一般的です。ただし、吐かせてはいけないものもありますので、安易に自宅で吐かせることはしないようにしましょう。吐かせても出てこない場合には麻酔をかけて胃の中を洗う胃洗浄や内視鏡で取り出すという方法があります。内視鏡でも取り出せないものについては開腹手術で取り出すこともあります。また、量が少ない場合や食べてから時間がたっている場合は点滴治療や吸着剤の投与も有効な場合もあります。

吐かせてはいけないものを飲み込んでしまった場合は、全身麻酔下での胃洗浄、内視鏡などの処置が必要になるケースが多いです。

内視鏡で胃の中にある袋入りのお菓子を摘出した際の写真です。

 

 

この記事を書いた人

荻野 直孝(獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。