うちの子が他の犬や猫に噛まれたら、噛んでしまったらどうしたらいい?

ご家族が動物同士のケンカを未然に防ぐことができればいいのですが、必ずしも防ぐことができるとは限りません。

もしもお散歩中やドックランで遊んでいる際にペット同士のトラブルになったり、人を噛んでしまったときはどのように対処したらよいのでしょうか。

今回はその対処法などをお教えします!

 

ケンカになりやすい場面

家の中編

『犬』

何頭か一緒に暮らしている場合、普段は仲良しでもおもちゃやごはんの取り合いがきっかけになったり、遊びがエスカレートしてケンカに発展してしまうことがあります。

取り合いが原因になる場合は、それぞれに十分なごはんやおもちゃを用意しましよう。ケンカに発展しそうな行動が見られたら、別のおもちゃや大きな音を出すことなどで気をそらします。

犬同士で遊んでいるときはなるべく目を離さないように心がけてください。

『猫』

猫でも同様に何頭か一緒に暮らしている場合には、ケンカに発展してしまうことがあります。

猫同士の相性、特に縄張り意識の強いオス同士や年齢差が大きいと相性が合わないことがあり、それが原因でケンカに発展してしまうケースが多いようです。

ケンカを防ぐには環境を整えてあげることが必要です。

ストレス対策として、まずはご自宅で用意しているトイレの数がいくつあるか確認してください。

猫はきれい好きのため、自分以外の猫が使用した後のトイレは使わないことがあります。

飼育頭数+1個以上のトイレを用意することが良いとされています。猫のトイレについて詳しくはこちらをご覧ください。

また、1頭で静かに過ごせる場所を作ってあげましょう。ストレスを感じ続けると体調を崩してしまうこともあります。

目が合う度に威嚇しあうなど、明らかに相性が合わない場合には居住空間を分けてあげた方が良いかもしれません。

新しい猫を迎える場合には、いきなり対面させずにお互いの気配を感じられる程度の距離感から徐々に近づけていき、先住の猫と相性が合うかどうかよく観察するようにしましょう。

家の外編

『犬』

お散歩中やドックランなどへの外出では、犬の社会性が不十分な場合などにケンカが起きやすくなります。

この場合、ご自宅の外の環境に必要以上に緊張していたり、ご家族以外の人や知らない犬とコミュニケーションを取ることが苦手であることが原因となります。

また、見知らぬものや大きな音に驚いて攻撃的になってしまうこともあります。

『猫』

誤って外に出てしまい、他の猫の縄張りに侵入してしまったときなどにケンカになります。

外で暮らしている猫は猫免疫不全ウイルスなど感染症にかかっていることがあります。そのためケガをするだけでなく、感染症にかかる可能性も高いです。

このような危険から猫を守るためには外に出てしまわないように脱走防止柵を設置し、窓や扉の開け閉めには十分に注意しましょう。

 

ケンカになってしまった!

ケンカをしているときに不用意に手を出すと噛まれてしまう危険性があります。

本能で行動している動物は周りが見えず、ご家族の声も届かない状態になっていることがあります。

また、興奮状態であると力加減ができず、小型犬であっても傷口を縫わなければいけない程の大きなケガになることがあります。

安易に手を出せない状況で、どのように相手の犬猫と引き離したらよいのでしょうか。

1.水をかける

2.お散歩バッグ、ほうきなどを動物と動物の間に入れる

3.雑誌や空き缶を床に落として大きな音を出す など

上記の方法のように動物の注意をそらした上で引き離し、巻き込まれてケガをしないように十分注意しましょう。

 

ケガをしてしまった!

ケンカによりケガを負ってしまった場合、まずは動物を落ち着かせましょう。興奮している状態で身体を触っていると噛まれてしまうことがあります。

落ち着いてきたら毛をかき分けて全身を見るようにしてください。

出血がある場合、清潔なガーゼなどで出血が止まるまで数分間圧迫します。頻繁にガーゼを交換したり、傷口の状態を確認していると血が止まりにくくなるためご注意ください。

傷口を水道水で洗っても構いませんが、ご自宅で無理に行う必要はありません。

出血が止まらないときは早急に動物病院を受診しましょう。

 

犬猫の歯は鋭く、一見すると出血がなくても傷口が深くまで及んでいる場合があります。

毛を刈らないと分からないような部分に痣や小さな傷があったり、数日経ってから化膿して膿が出てくることもあります。

傷の状態によっては元気や食欲の低下、発熱、痛みなどが現れます。ご自宅では傷が見つからなくても、ケガをしている可能性があるときには診察を受けるようにしましょう。

被毛に膿が付いています

被毛を刈ってみると皮膚に傷口があることがわかりました

傷口の大きさによっては麻酔をかけて皮膚を縫わなければならないことがあります。

傷口が大きく手術することになりました

傷口を縫った後です

 

犬・猫同士のケンカで怖い代表的な感染症

・狂犬病(犬・猫)

狂犬病に感染し発症するとほぼ100%死に至ります。詳しくはこちらをご覧ください。

・FIV(猫免疫不全ウイルス感染症) 詳しくはこちらをご覧ください。

・FeLV(猫白血病ウイルス感染症) 詳しくはこちらをご覧ください。

どちらも主にケンカで噛まれることで感染する病気です。詳しくはこちらをご覧ください。

 

ケガをさせてしまった!

日本の法律上ペットはご家族の所有物という扱いになります。そのため飼い犬が他の犬を噛んでしまったときはご家族の責任となり、基本的には治療費を負担することになります。

また、狂犬病の予防接種の有無にかかわらず獣医師の診察、保健所への届け出が必要になります。詳しくは各市町村の保健所へお問い合わせください。

 

ケンカをしない!させない!

ケンカを未然に防ぐために散歩中はリードを短く持つようにしましょう。伸縮性のリードを使用する場合には、適度な長さで行動をコントロールできるように注意してください。

しつけも重要です。他の犬の姿が見えた時、近づいてきたときなどご家族の声を聞き落ち着いて行動できるよう、外出時でも「オスワリ」や「マテ」などできるようにしておきましょう。

基本的なしつけについてはこちらをご覧ください。

 

適切に社会化を行うことによって不安やストレスに対しても過剰に反応せずに落ち着いて過ごすことができ、ケンカにつながりにくくなります。

社会化についてはこちらをご覧ください。

 

当院では子犬子猫の社会化のために定期的にしつけ教室、パピーパーティー、キトンクラスを開催しておりますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

根岸 真由(愛玩動物看護師)
反抗期の子供を持つ2児の母。大きな犬と体当たりで遊ぶことが大好きで自宅でも中型犬と暮らしている。現在はさらに猫を迎え、犬とはまた違った可愛さに魅了されてメロメロ。スタッフのお母さん的な存在として、後輩スタッフの指導にも尽力している。