犬との暮らしの基礎の基礎!基本的なしつけを練習してみましょう!

「これからペットを迎えようと思うけど、しつけはやったほうがいいのか」

「すでに一緒に暮らしているけれど、どのようなことをやればいいのかわからない」

「そもそもしつけは必要なのか?」など疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

今回はしつけの必要性や、どのように教えていくのかなど、簡単に行えるしつけについてご紹介したいと思います。

 

しつけは必要?

犬と一緒に心地よく暮らしていくためには、人と暮らすためのルールを教えてあげる必要があります。

「人の常識は犬の常識ではありません。」

ルールを知らないと周囲の人に迷惑をかけてしまい、犬もご家族も辛い思いをするかもしれません。

犬の習性と人間社会のルールを勉強し、トレーニングを行うことで信頼関係を確立しつつ、犬と人との安全を守ることに繋がります。

これらは厳しくやればいいということではなく、普段の遊びの一環として日常生活に取り入れていくことが大事です。

できないと諦めるのではなく、まずは出来ることからはじめて行きましょう!

 

しつけの時に必要なものは?

犬が喜ぶご褒美を用意しましょう!年齢によってご褒美の内容も変わってくると思います。

おやつ、おもちゃその他にも、愛犬が喜ぶご褒美ランキングを作ってみるといいかもしれません。うちの子の1位には、何が入りましたか?

おやつでしつけを行う場合、食べ過ぎは肥満の原因となるので、小指の先くらいの大きさのものを用意してください。

ハサミなどで切るか小さいサイズの物を用意するといいでしょう。子犬のうちは普段食べているフードから、1日量の1/3をしつけ時のおやつ用に取り分けて練習してみましょう。

外でトレーニングする際に必要なものは、リード、首輪またはハーネス、お散歩バッグに入れるセット(水入りペットボトル・トイレシーツ・エチケット袋・ウエットティッシュ等)を用意するといいでしょう。

 

アイコンタクトは大切?どうやって教えるの?

名前を呼んだとき、振り向いて目を見てくれますか?お散歩中など、周囲の環境が変わってもアイコンタクトができていますか?

アイコンタクトができるようになると、集中してコマンドを聞いてくれるようにもなるので、1番最初に教えてあげるといいでしょう。

ではどのようにアイコンタクトを教えるかというと…

①名前を呼ぶ→おやつ

(「名前を呼ばれるといいことがある!」と覚えてもらえるように最初は名前のイメージアップをしましょう)

②慣れたらステップアップ

まずは、ご褒美を使用し誘導します

おやつを持っている手を顎の下の位置にご褒美を持ってくる→目が合ったら褒めてご褒美

このようにして、アイコンタクトの形を作っていきます

③目で見てくれるようになったら

名前→アイコンタクト→褒めてご褒美

目を見ない場合は②に戻りしっかりアイコンタクトをとる練習に戻りましょう。

少しずつステップアップをして、できない場合はひとつ前のステップに戻り、ゆっくりと楽しみながらやっていきましょう。

そして長時間やらずに短時間に集中してやることがポイントです!練習時間が長いと、犬は飽きてしまいます。

注意点としては、自分から犬の目をのぞき込むようにして見ないでください。あくまで【犬が考えて行動をし、ご家族の目を見たらいいことがあった】というようにしましょう。

褒めるときもわかりやすく、短い言葉で伝えましょう→「いいこ」「GOOD」など

毎日少しずつお互いに楽しみながらしつけを行うことで、絆を深め構築していくことが大切です。

 

基本コマンド

アイコンタクトをマスターしたら、次は基本的なコマンドを教えていきます。

ここで大切なのは家族のみんなで言葉とハンドシグナルを統一するということです。「おすわり」と教えるのか、「座れ」なのか。

言葉が変わると犬も混乱してしまうので気をつけましょう。

言葉だけではなく一緒にハンドサインをつけると、騒がしくて声が聞こえないという環境や年をとって耳が遠くなった時でも指示を伝えられます。ハンドサインをつけながら言葉も教えてあげましょう。

教える際の注意点は、ご褒美をしっかりと鼻先に持って行きやってほしい姿勢になるように誘導をしてあげましょう。

ハンドサインは実は何でもいいのです。やりやすいサインがあればそのやり方で教えてあげてください。今回は一般的にわかりやすい方法でお伝えします。

①オスワリ

写真のようにご褒美を持ち、人差し指を立てます。(ハンドシグナル)

犬の鼻の前にご褒美を持って行き、その位置からしっぽの方向に垂直に上げ移動させます。鼻が上に向くと少し後ろ足を落としやすい状態になります。

お座りの姿勢をとれたことで「オスワリ」と伝え褒めてからご褒美をあげましょう。

②フセ

ご褒美を指の間に持ち、オスワリをしている犬の鼻先にご褒美を持って行き、その手を犬の前足の間あたりの下方向に移動し前半身が床につくような形に持って行きます。

きちんと伏せる姿勢になったところで「フセ」と言い、褒めてご褒美をあげましょう。

立っていて前半身は床についたが、後ろ足は伸びたままの場合はそのまま手を下にしたままご褒美はあげずに待ちましょう。

自然と楽な体制をとろうと後ろ足も床につけるはずです。そしてフセの形が出来たら褒めてご褒美をあげましょう。

③マテ

マテとはご家族のマテ解除の「ヨシ」の号令がかかるまで待つことをいいます。

オスワリをさせてご褒美の持ち方は一緒にし、手を開いたパーの状態にして「マテ」といいます。そのまま2~3秒待ちます。出来たら「ヨシ」と号令解除の言葉をかけ、褒めてご褒美をあげましょう。

それが出来たらステップアップし、「マテ」といい5~6秒待ちます。犬はご褒美をもらおうと辛抱強くなるはずです。できたら「ヨシ」と号令を出し、褒めてご褒美をあげる事を忘れずにやりましょう。

次にまたステップアップします。オスワリ、マテと言うのと同時に一歩下がってみます。

動いてしまうようなら、ひとつ前のステップからやり直しましょう。繰り返し練習することが大事です。犬が落ち着いて待てるように練習していきましょう。

④呼び戻し「オイデ」

呼び戻しは犬の安全を守るためにもとても大事です!

散歩中に万が一リードが外れてしまったとき、交通事故に遭ったり、迷子になることを防げます。ドッグランでも犬を呼び戻すことができれば、未然にトラブルを防ぐこともできます。

また災害が起きたときや避難するときに、犬がどこかに行ってしまい帰ってこない、ということも防げますので、オイデをしっかりと覚えさせましょう。

ではどのように教えるかというと…

マテの号令をかけたら2~3歩下がって止まって足をそろえて立ち、ご褒美を持った手を自分の足の間あたりに持って行き「オイデ」と言います。

足元まで来たら褒めてご褒美をあげてましょう。徐々に距離を伸ばして呼び戻しの練習をしましょう。

足元に来てくれることでリードを付けたり、抱きあげやすくなります。

注意点としては、嫌なことをするときにオイデを使うと、犬は来なくなることがあります。必ず「オイデで行ったら良いことがあった!」という印象をつけるように気をつけましょう。

 

しつけの注意点

このように犬は何かをしたら良いことがおこった。ということをとてもよく覚えます。人もそうですが、良いことがあるならやろうかな!と思いますよね?

犬はよく見てよく考えています。一度でも嫌なことがあると覚えていますので、嫌な印象はつけないように気をつけながら、楽しく気長にやっていきましょう!

1ヶ月に1個のコマンドを覚えるのでも十分です。1年間練習したら、12個も覚えられますよ!

時にはいたずらをされて、怒りたくなる気持ちもわかります。しかし説教をしても、今は忙しいから後で叱ろうと思ってもうまくいきません。

犬にとってみれば何の事?何かしましたっけ?と忘れてしまうので怒るなら「ダメ」「イケナイ」などやってしまった瞬間に伝えましょう。

褒めるときも一緒で、後で褒めてあげようは通じません。今!このタイミングで!わかりやすく!伝えてあげましょう。

しつけは【わかりやすく】伝えることと、【タイミング】がとても重要です。

 

褒め方、𠮟り方については、こちらで詳しくご紹介していますので、よろしければ併せてご覧ください。

しつけについてお悩みのことがございましたら、当院スタッフへご相談ください。

この記事を書いた人

荻野 直孝(獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。