便が出ていないけど大丈夫?犬と猫の便秘について

犬猫も私たち人間と同じように便秘になることがあります。

便秘とは何らかの原因で排便ができない状態のことをいいます。

普段問題なく排便できていたのに急に出なくなってしまうと、どうしたのだろうと心配になってしまいますよね。

「毎日2回は排便してたのに一昨日から出ていないんですが、どうしたらいいですか。」とお問い合わせいただくこともあります。

便が何日出ていないと便秘である。という明確な日数の定義はありません。

1日の排便回数はだいたい食事の回数と同じ回数することが多いのですが、その子の年齢や体格、食事やライフスタイルなどによっても排便回数は変わってきます。

そのため普段の回数と比べて極端に減っていないか確認することが大切です。

ひとつの目安として丸2日以上便が出てない状態場合には注意が必要です。

 

便秘になりやすいのはどうして?

まず便秘となるには、いくつか原因があります。

・便に含まれている水分が少ない

便は食べたものからできており、正常な便は約70%が水分でできています。

食事に含まれる水分や飲み水などから摂取している水分量が少なかったりすると便が硬くなり出づらくなってしまします。

・腸の動きが悪い

お散歩などの運動量が少ないことや、シニア期に入り筋肉が衰えると腸を動かすための筋肉も減ってくるため腸の動きが悪くなってしまいます。

また、誤食した異物が腸の中で詰まってしまうと便が異物よりも先に進めなくなるため排便ができなくなります。

・トイレの環境が悪い

トイレの場所が気に入らない、トイレが汚れているなどのトイレ環境によって便をすることを嫌がってしまう場合もあります。

その場合には適切なトイレ環境を用意してあげることで改善することがあります。

・基礎疾患がある

会陰ヘルニア(詳しくはこちらをご覧ください)や直腸憩室、骨折、巨大結腸症、前立腺疾患などの病気が原因になり便が出づらくなることも考えられます。

正常なレントゲン画像

巨大結腸症のレントゲン画像

・排泄時に痛みがある

肛門周囲に怪我をしている、腸に腫瘍がある、直腸が肛門から出てきてしまう直腸脱があると排便時に痛みが生じます。

また、肛門周囲にある匂いの強い分泌液が溜まっている肛門嚢が炎症を起こしている、椎間板ヘルニアがあるなど肛門や腸以外の場所で痛みが生じて便が出づらくなることもあります。

 

便秘のサイン

便秘の症状としては以下のものがあります。

・何度も排便姿勢をとるが便が出ない、もしくは少量しか出ないしぶりがみられる。

・元気がなくなる、食欲が低下する。

・嘔吐が見られる。

・腹部が張っている。

この中でも特に元気がなくぐったりしている、お腹がパンパンに張っている、何日も便が出ていないような場合は何らかの理由で腸の動きが悪くなっている可能性があります。

そのような状態が何日も続いてしまうと入院や手術をしなければいけないこともあるため、すぐに動物病院へ連絡するようにしましょう。

 

便秘になってしまったら?

便秘になった場合の治療は、その原因や便秘の状態によって変わってきます。

下剤を飲ませたり、便が出るように浣腸を行ったりします。

便が硬くなって出てこないような場合には、肛門から指を入れて便を取り除くこともあります。

また、原因となる病気がある場合はその治療をして根本的に便秘を改善していきます。

 

最後に便秘を予防する方法を紹介していきます。

・フードの変更

普段から便秘になりやすい場合は繊維質の多いフードに変更してみると効果的です。

また、あまり水を飲まないことで便秘になってしまうようでしたらドライフードに水を加えたり、水分量の多いウェットフードを使用したりするといいでしょう。

フードを変更する際は急に変えてしまうと嘔吐や下痢の症状が出ることがあるため1週間以上かけてゆっくり変更していきましょう。

・飲水量を増やす

飲水量を増やすためにはいつでも新鮮なお水が飲めるような環境整備をしましょう。

1か所だけではなく複数個所にお水のお皿を置くことも方法の1つです。

氷を浮かべた冷たいお水や、ぬるま湯などお水の温度の好みもあるかもしれませんので、工夫してみましょう。

あまりお水を飲んでくれないような場合はお水の上にフードやおやつを浮かべるといいかもしれません。

その際に勢いよく飲んでしまってむせないようにするためにお水の量は多く入れすぎないようにしましょう。

・適度な運動

適度な運動をすることで排便するための筋肉を鍛え、腸の動きをよくすることができます。

年を取ってくると寝てばかりであまり運動しないようなことも多いかと思いますが、人が補助をしながら運動を促してあげることで筋肉の維持に繋がります。

・腹部のマッサージ

手をパーの形にして時計回りに円を描くように優しく下腹部を撫でてあげましょう。もし人の手が冷たいような場合は温めてから行うようにしてあげてください。

動物もリラックスしている状態で行うことが大切なので嫌がるような場合は無理をしないようにしましょう。

便が出ていないのに何日も様子を見てしまうと、症状がどんどん悪化してしまうことがあります。また、便秘の原因が他の病気によるものだったということもありますので、ただの便秘だからと思わずに気になるようなことがあれば動物病院に連絡するようにしましょう。

また、便秘予防のためにフードを変更したいけどどんなフードをあげればいいか分からない、お水をあんまり飲んでくれないけどどんな工夫をすればいいか分からないなどご不安なことがありましたらスタッフまでお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

増子 奈那(愛玩動物看護師)
SNS管理の中心スタッフとして当院の最新情報などを発信している。より多くの方に親しみをもってもらうためInstagramのリール動画作成に注力中。可愛い動画を投稿しているので一度見てみてください。一緒に暮らしているダックスフンドのオールくんはとても人懐こく、どこでもお腹を見せてくれるみんなの人気者。趣味はバウンドコーデ。