ONE TEAMでつなぐ!救命救急を支えるALL動物病院の取り組みとチームの力
救命救急とは
救命救急とは、病気や怪我、中毒などによって症状が著しく悪化し、命が危険な状態にある場合に行われる医療行為です。
命が危険な状態にある動物は、短時間でどんどん重篤になることが多いため、早期に適正な処置が行えないと命を落としてしまう可能性が高くなります。
救急処置が必要なことが多い症状としては、呼吸が荒い・意識がない・ぐったりして動かない・痙攣している・お腹が張っている・誤食などが挙げられます。
これら以外にも救急処置が必要なケースもあるためいつもと様子が違うと感じる場合には、自身で判断せず動物病院にご連絡ください。
救命救急を支える当院の役割
上記にも述べたように、救命救急処置を必要な動物は急激に状態が悪化し、一刻を争います。その時に重要になるのが「チーム医療」です。
獣医師だけでなく愛玩動物看護師、受付なども含めたスタッフ全員が互いに連携を行い、迅速かつ適切な処置・治療を行なっていきます。
日常の診療においてもチーム医療は大切ですが、特に心肺蘇生処置などの緊急時は、時間が経過すればするほど救命率が下がってしまうため、より質の高いチーム医療が求められます。
職種ごとの役割
・受付および愛玩動物看護師
電話対応の時点で、動物の状態について意識状態、呼吸の様子、活動性、痛みや食欲、明らかな外傷などの症状や病歴について聴取を行い、来院する必要があるのかどうかを判断します。
また、来院した時に再度病状についてお聞きするのと同時に粘膜の色や呼吸状態などのバイタルチェックを行い、早急に処置が必要かどうかを判断します。
これらの対応はトリアージといって、緊急の動物の命を救うために重要なプロセスになります。
・獣医師
問診でご家族から診断に必要な情報をお聞きするのと同時に、身体検査を行い動物の全身状態を把握します。その上で必要な検査や処置を行っていきます。
主な緊急ケースの対応事例
今朝から呼吸が苦しそうとお電話あり。
→心臓病を患っている子であったためすぐに来院してもらうようお伝え。
→来院時舌の色が青紫色(チアノーゼ)になっており、呼吸が苦しい時に認められる努力性呼吸が見られた。
→獣医師の診察前に酸素室に入ってもらい酸素化を行う。
→ご家族から状況をお聞きした上で、酸素化しながら注意深く診察をしていくのと同時に胸部のレントゲンを撮影。
→レントゲン上で肺に異常が認められ、心臓病を原因とする肺水腫と診断。
→入院し、利尿剤を使用しながら酸素室で管理。
肺水腫は治療が遅れると命を落としてしまうことも多いため、このように迅速で適切な対応が必要になります。
緊急時に備えた当院の準備体制
当院にはERチームと呼ばれる院内の救急対応スキル向上のために設立されたチームがあります。
ERチームの活動としては、院内スタッフに向けた救命救急に対する知識向上のためのセミナー開催や、いつ心肺停止の動物が来てもスタッフ全員がチーム医療で動けるように心肺蘇生のロールプレイングの定期的な開催を実施しています。
またJaVECCSが主催のRecoverと呼ばれる動物における救急医療の認定プログラムがあり、当院ではこの認定を受けているスタッフが在籍しています。
そして、獣医療は常にアップデートされるため最新の情報を得るためのセミナーにも定期的に参加しています。
ペットオーナーができること
初めにも述べたように、呼吸が荒い・意識がない・ぐったりして動かない・痙攣している・お腹が張っている・何かを誤食したなどの場合はすぐに動物病院にご連絡ください。
そのまま様子を見ていると命を落としてしまう可能性があるため、これらの症状が「命に関わる危険がある」ということをご家族の中でも認識していただくことが愛犬や愛猫の命を救うことに繋がります。
また、いざという時に備えてかかりつけの病院を作ることや、夜間も診てくれる動物病院を把握すること、旅行に行く場合は旅行先にある動物病院を調べておくこと、日頃の健康状態を把握しておくことなども重要になります。
いざ愛犬や愛猫が緊急の状態になってしまうと、パニックになってしまうことが多いと思います。救命救急は時間との戦いでもあるため、万が一の状況に備えて移動手段や連絡先の共有などの準備やシミュレーションもしておきましょう。
また、緊急かどうかわからない場合もあります。そんな時は自身で判断せず動物病院の指示を仰ぎましょう。
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