犬や猫の命を脅かす静かな敵 「播種性血管内凝固 DIC」止血異常が起こり死に至る恐ろしい病気を知っていますか?

DIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固症候群)は全身の血管に微小な血栓が作られ、血栓が作られることで止血に必要な凝固因子が消費されることで、止血が必要な場所で止血ができなくなり、出血が止まらない状態が起こります。

正常な状態では、血液中で勝手に血栓が作られないように血小板と凝固因子がバランスよく働いてくれています。しかし、DICでは何らかの原因で血液凝固が過剰に活性化されて血栓ができてしまいます。

血栓により血管が詰まって臓器が障害を起こす、かつ出血の場所で血小板が不足することで止血ができないという状態が起こり、危険な状態を引き起こして、死に至ることが多い病気です。

 

DICの原因

DICは様々な病気によって引き起こされます。子宮蓄膿症などの感染、悪性腫瘍、膵炎などの過度の炎症性疾患、重度のやけどや外傷、全身に細菌感染が回ってしまう敗血症、悪性腫瘍、免疫疾患が挙げられます。

それらの基礎疾患により、血管が傷つき止血システムが活性化されることで血栓が全身に作られます。

また、形成された血栓を溶かすためのシステム「線溶系」も活性化します。血栓がたくさんできると線溶系も過剰に活性化して、出血しやすくなります。

凝固系と線溶系のバランスが崩れ、血液を固まらせる「凝固系」と血栓を溶かす「線溶系」が同時に活性化してしまうと、血液中の凝固因子がどんどん消耗されて必要なところで止血できなくなってしまいます。

 

DICの症状

止血異常の症状がみられます。この症状がみられるときはすでに重症です。

血尿、吐血、血便、皮膚の紫斑(あざ)ができやすくなるなどの出血傾向がみられます。

血栓により血管が閉塞を起こして血液が行き渡らなくなると、その場所と程度により腎障害、肝障害、脳梗塞などを起こし多臓器不全に陥ることもあります。

これらの状況によりぐったりする、意識がなくなる、呼吸困難、四肢麻痺など様々は症状がみられます。

止血機能の異常についてはこちらでも解説しています。

 

DICの診断基準・検査

DICは命にかかわる非常に危険な状態です。DICになる可能性のある疾患があることと以下の検査をすることによってDICを診断する基準としています。数値に異常があるだけではDICとは診断できないのです。DICは早期発見・早期治療がカギとなります。

DICと確定診断される前段階の「Pre DIC」を発見することで回復の可能性があがります。

基本的な診断基準としては表の通りとなりますが、緊急性や状況を考慮して以下の項目を検査することがあります。

・D-ダイマー

・トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体(TAT)

 

DICの治療

DICの実態は、基礎疾患の存在に基づいて起こる全身の血液凝固活性化によるものです。DICの治療は基礎疾患の治療と共に、凝固の活性化を阻止する必要があります。

以下にDICの治療法をまとめました。

 

まとめ

DICは基礎疾患から起こる病気です。PreDICやそれに入る前に段階での基礎疾患に対する治療が重要になります。

日ごろから病気にならないように定期的な健康診断を受けるようにして早期発見、早期治療を心がけるようにしましょう。

この記事を書いた人

荻野 (獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。