子犬子猫に多い下痢!実はパルボウイルス感染症かもしれません。

わんちゃん猫ちゃんをお家にお迎えしたら、ワクチン打ちましょうねと言われたことがありますよね。

混合ワクチンには命を落とすかもしれない感染症を予防したり重症化するのを防ぐ効果があります。他の動物に直接出会ってうつるだけではなく、空気に乗って感染することがあります。ドッグランやペットホテルではもちろんですが、通院によっても感染する可能性があります。

 

今回は子犬子猫で非常に危険なパルボウイルス感染症についてお話します。

 

犬は犬のパルボウイルス、猫は猫のパルボウイルスに感染します。猫のパルボウイルスは「猫汎白血球減少症」とワクチン証明書に記載されています。

パルボウイルス感染症は、嘔吐や下痢、白血球の減少を特徴とする感染症です。感染力も非常に強く消毒にも抵抗性があり、乾燥にも強く空気中でも長期間生き残ることができます。

主に糞便中に排泄されで、口や鼻から体内に入り込み、骨髄や腸粘膜などの細胞分裂が盛んな細胞に感染し増殖します。

パルボウイルス感染症の症状

犬では急激な嘔吐、水下痢、トマトジュースのような血便、元気消失、発熱、嘔吐などを起こします。嘔吐や下痢が続くと脱水症状も出てきて危険な状況になります。さらに、病状が進行すると白血球のひとつである好中球が減少してくることもあり、より致命的な状況になっていきます。

猫では猫汎白血球減少症という病名がついています。犬と同様に腸炎の症状も起こしますが、猫では下痢や嘔吐といった腸炎症状よりも白血球減少症が早くから出てくることが多いです。

白血球の減少で免疫機能が落ちている、さらに腸粘膜の破壊されることで起こる下痢や血便で栄養が取れない状態になると細菌の二次感染が起こり全身に細菌や毒素がまわって敗血症になり、体に機能を維持できなくなり死に至ることが多く恐ろしい感染症です。

パルボウイルス感染症の検査

下痢などの症状があるときはまず便検査をします。そこで寄生虫などの異常が見つからずに症状がひどい場合は血液検査を行います。

脱水の進行や低タンパク血症などの低栄養状態、白血球の減少などが認められる場合はパルボウイルスの可能性も考慮してパルボウイルスの検査を行います。パルボウイルスは院内の抗原検査キットか糞便中のPCR検査で診断をしますが、感染初期には十分なウイルス量がなく、陰性に見られてしまうこともあります。

パルボウイルス感染症の場合、症状が重篤なケースが多いので入院管理で治療をしながら複数回検査を行うこともあります。また、白血球は当初は普通でも数日たってから減少してくることがあるため、何回か検査を行います。

中央下部のTestの下に線が出たらパルボウイルス感染が陽性と分かります。

猫用の院内簡易検査キットは今のところありませんが、犬用のキットを使用することで参考結果として検査を行うことも可能です。

確定診断には糞便のPCR検査を行う必要があります。

パルボウイルス感染症の治療

予防は非常に重要ですが、もし、万が一パルボウイルス感染症にかかってしまったらどうすればいいのでしょうか?

残念ながらパルボウイルス感染症の致死率は非常に高く、特効薬もなく対症療法をするしか治療法がありません。

食欲がなかったり水を飲んでもすぐ吐いてしまうような状態のときは入院して点滴管理をしながらお薬は注射で投与していきます。また、低タンパク血症や低血糖状態の場合には点滴にブドウ糖やアミノ酸を加えるような末梢静脈栄養管理が必要になるケースがあります。

白血球減少を起こしている場合や、ひどい下痢による腸粘膜障害により体の免疫が落ちているよう場合では抗生剤も使用します。

パルボウイルス感染初期ではインフルエンザの薬であるタミフルが効果を示す可能性を言われているため、タミフルを使うこともありますが、そのタイミングでパルボウイルスを診断することが困難なためあまり一般的ではありません。また、血便や消耗による貧血や低タンパク血症が進行する場合は輸血を行うこともあります。

パルボウイルスの消毒

パルボウイルスは消毒用アルコールで殺菌することはできません。

次亜塩素酸ナトリウム(塩素)を薄めたものを30分以上つけ置きすることで殺菌できますが、消毒液が汚れたり時間の経過とともに効果が弱まるためできるだけ新しいものを使用しましょう。家にあるもので消毒薬をつくる場合、塩素系漂白剤を30倍程度に水で薄めて代用できます。

人間の手や靴、衣服にも付着して感染する可能性もあるため、触るときは使い捨ての手袋をすることや、シューズカバーの使用、靴裏の消毒もすることが望ましいです。

パルボウイルス感染症の予防法

パルボウイルス感染症は予防が一番の治療になります。パルボウイルスは、感染力も強く熱や乾燥にも比較的強いため、環境によっては爆発的に感染が広がる可能性もあります。どこで感染するかわからない病気ですので、感染しないように自身の免疫力をしっかりつけておくことが非常に重要です。

そのためには混合ワクチンを定期的にしっかり受けておくことが必要です。生後8週齢前後で一回目の混合ワクチンを接種し、16週齢を超えるまで4週間ごとに接種します。

 

ごくまれに接種しても抗体価が上がらず免疫を獲得できない子もいます。どうしても免疫が獲得できたか気になる!という方は抗体価を測定する血液検査をすることも可能ですので、獣医師に相談してみましょう。

前回いつ打ったのかわからないという方は、かかりつけの病院に問い合わせしてみましょう。まだ子犬や子猫で、初めて飼うからわからないという方は、混合ワクチンの接種証明書というものが手元に必ずありますので、探してみましょう。

パルボウイルス感染症は、目に見えないウイルスの感染症であり、感染が成立すると死に至る可能性が非常に高い病気です。感染しないように、定期的に予防接種をすることでしっかり免疫をつけておくことが一番の治療になるため、たかが予防接種、、、されど予防接種です。

この記事を書いた人

荻野 (獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。