自宅で簡単健康チェック ~犬や猫の体温・心拍数・呼吸数を測ってみよう~

犬猫の体温や心拍数、呼吸数をご自宅で測ったご経験はありますか?

「いつもより身体が熱いように感じる」「呼吸が速いかもしれない」という些細なことに気付くことが、病気の早期発見の第一歩になることがあります。

今回は毎日一緒にいるからこそ、知っておきたい「TPR」について解説します。

 

TPRとは

まず「TPR」とは何のことでしょうか?

これは体温、心拍数、呼吸数のことで、それぞれの単語の頭文字をとったものです。

・体温:Temperature

・心拍数:Pulse

・呼吸数:Respiratory

これは健康状態を把握するために確認する基本のバイタルサインです。もしかしたら当院での診察中にも「体重とTPR測ってください」などというスタッフ同士の会話を耳にしたことがあるかもしれませんね。

私たち人間が風邪などで病院に行くと聴診をされるように、犬猫にとっても心拍数をはじめとしたこの「TPR」は重要なバロメーターなのです。

 

この数値は緊張していたり興奮しているときには高くなってしまい、ご自宅でリラックスしているときとの差が出てしまいます。

動物病院という環境に慣れていない犬猫たちは、診察室に入っただけで心臓バクバクなんてこともあります。

そうなると、ご自宅で過ごしているときと同じ数値を院内で測ることが難しいのです。

TPRはご自宅でも簡単に測定できるため、正常値を知っておくといざという時の異変に気付きやすくなります。異変にいち早く気付くためにも定期的に測定し、記録を付けておくようにしましょう。

 

それでは、ご自宅でのTPR測定方法をご紹介していきます!

『体温』

犬猫の体温は基本的に直腸の温度を測定するため、肛門に体温計を差し込んで測定します。

用意するもの:体温計、付属のプローブカバー(なければ食品用ラップで代用可能)、オリーブオイル

 

動物用の体温計は先端が柔らかく、多少動いてしまっても動物の腸内を傷つけないように作られています。

動物用が手元にない場合には、人間用の電子体温計でも代用は出来ますが動物用のものを用意するのが望ましいです。

また、当院では緊張していたり警戒心の強い犬猫には、耳で体温を測定する耳温計を使用することもあります。

体温測定をする際は、おやつなどをあげながらできるだけストレスにならないように行いましょう。

肛門に体温計を差し込む前に、付属のプローブカバーや食品用ラップで先端を覆うことで、衛生的に使用できます。体温計の先にオリーブオイルを少量つけると滑りがよくなり、違和感を軽減されます。

犬猫が立っている状態、もしくは伏せている状態で尻尾の根本を優しく握り、ゆっくりと持ち上げて体温計を肛門から2cm程度差し込み、測定終了までその体勢を維持します。

測定中に座ってしまう場合には、腕を動物のお腹の下に入れて腰を落とさないように支えてあげましょう。

普段のスキンシップの延長線として優しく撫でながら測定し、決して無理はしないようにご注意ください。

体温の基準値は以下の通りですが、個体により多少の差があります。

体温が低く表示される時は、体温計の先端が便に刺さっている可能性もございます。もう一度測定し直してみましょう。

犬猫の体温は人間に比べて高く、私たちの体温を基準に考えると高熱だと感じてしまうかもしれません。しかし、一般的に小型犬は38℃台でも平熱なのです。

体温が普段より高い、もしくは低い場合には時間をあけて再測定し、40℃を超える、または37℃を下回る場合にはすぐに病院に連絡して診察に連れて行くようにしましょう。

特に気温の高い時期に注意が必要となる熱中症についてはこちらをご覧ください。

 

『心拍数』

動物病院では聴診器を使用して心拍数を測定していますが、ご自宅で測定する場合には後ろ足の内側にある太い血管で脈拍数を測定します。

心臓病であったり、抗がん剤の治療中であれば日常的な心拍数の測定を獣医師からご提案することもございます。

その場合は、安価な聴診器をご購入いただくのもいいかもしれません。

後ろ足の内側、鼠径部のあたりでドックンドックンと脈を打っている部分を探します。

人差し指、中指の指先をそっと当てて「ドックン」で1回として脈の回数を数えます。

脈を測る際は指先を当てる力が強すぎると分かりにくいため、優しく触れるようにご注意ください。

運動をした後は避け、寝ているときや落ち着いてリラックスしている状態のときに測定しましょう。

1分間で何回心拍、脈拍があるかを数えるのですが、犬猫に1分間じっとしていてもらうのは大変ですよね。

10秒間の心拍数×6回をする方法と15秒間の心拍数×4回をする方法があります。どちらでもやりやすい方法で実践してください。

心拍数の基準値は以下の通りです。

普段は脈を触れるのに、触れないという場合は血圧が下がっている可能性もあります。その場合は動物病院へご相談ください。

 

『呼吸数』

胸やお腹に手を当てて、胸が膨らむ回数を数えます。「吸う」と「吐く」と1セットとして1回です。リラックスしているときか寝ているときに測定しましょう。

心拍数を測るときと同様、10秒間の呼吸数×6回もしくは、15秒間の呼吸数×4回で測定します。

猫は鼻呼吸するのが正常であるため、口を開けて「ハッハッ」と浅く荒い呼吸になっていたら非常に苦しい症状であることが多く、危険なサインです。

他にも、正常時と大きく差がある場合やいつもと違う呼吸状態の際は、呼吸の様子を動画撮影して診察の際に見せていただけると大変参考になります。

また、呼吸の回数だけでなく音にも注意が必要です。

例えば、「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」と聞こえる場合には早めに動物病院を受診しましょう。特にフレンチブルドッグやパグなどの短頭種は呼吸状態に変化が起こりやすく注意が必要です。

呼吸数の基準値は以下の通りです。

 

まとめ

繰り返しになりますが、大切なのは犬猫の「正常な状態」を知っておくことです。病気の早期発見のためにも日頃から体温、心拍数、呼吸数を確認する習慣をつけておきましょう。

他にも鼻先の湿り具合や舌、歯茎や耳の内側の色など、ご自宅でも簡単に健康状態をチェックする方法はたくさんあります。

お困りの点などございましたら、お気軽に当院スタッフまでお問い合わせください。

この記事を書いた人

谷口(愛玩動物看護師)
持ち前の明るさとガッツで一生懸命な姿勢を周囲から評価され、さらなる技術向上に邁進しているところ。SNSの情報発信を担当しており、独特な切り口で病院を切り取ってくれている、サウナの魅力にはまりサウナハットを購入、休日はサウナで整うことが生きがい。小柄ながら焼肉が大好物のパワフル女子。