きれいなユリの花に注意!犬や猫がユリを食べるとどうなる?
美しいユリの花は、私たちの生活に彩りを与えますが、犬や猫にとっては致命的な危険を隠し持っています。今回はユリ中毒の原因とその深刻な影響について詳しく解説します。
ユリの全ての部位に毒性があり、わずかな摂取でも急性腎不全を引き起こす可能性があります。特に猫はユリに対して非常に敏感で、誤食した場合には迅速な対応が求められます。
Contents
ユリ中毒の原因と危険性
ユリ科ユリ属の植物は、猫にとって特に有毒です。
ユリ科にはチューリップやヒヤシンスなども含まれ、その中でもユリは特に危険です。
ユリはそのすべての部位(花、花粉、茎、葉、根)で有毒であり、花瓶の水も中毒を引き起こす可能性があるといわれています。原因物質は特定されていませんが、水溶性の物質が関与していると考えられています。致死量には個体差があり、ごく少量でも危険な場合があります。
ユリ中毒の症状
見た目の症状
嘔吐、えずき、流涎(よだれ)、食欲不振、活動性低下が見られます。
急性腎障害
ユリを摂取してから数時間以内に急性腎障害を引き起こし、尿の量が減少する、または尿が出なくなる(乏尿・無尿)ことがあります。
重篤な場合
数日で腎不全が進行し続け、最終的には死に至ることもあります。
もし食べてしまったらすぐに病院へ連絡し、いつ・どれくらい食べたのか確認しておくことも重要です。
ユリ中毒を疑ったときの検査
血液検査
ユリ中毒では急性腎障害を起こすことから血液検査は重要です。ただし、摂取から短い時間(18~24時間)だと異常値が見られないこともあるため注意が必要です。
尿検査
尿検査を行うことで腎障害が疑われるような所見がないか確認します。
画像検査
血液検査、尿検査などによって腎障害が疑われた場合、他の腎疾患がないかを鑑別するために実施されます。
ユリ中毒の治療
ユリを誤食した場合は、いつどれくらい食べたかを確認して、すぐに獣医師に連絡をすることが重要です。
誤食から短時間であれば催吐、胃洗浄、吸着剤の投与など積極的に消化管内の中毒物質に対して除染が行われます。
ユリ中毒に対して重要なのは急性腎障害による無尿になる前に輸液療法を開始することです。輸液療法に反応せず、無尿となってしまった場合尿生成するよう利尿療法が行われます。
また、腹膜透析・血液透析などの透析治療も有効となります。最も望ましいのは血液透析になりますが実施可能な施設が限られてしまいます。
すべてに反応せず乏尿・無尿の状態から脱することができないと重篤な尿毒症によって死亡する可能性が高く、一般的に予後が悪いものとなります。
ユリ中毒の予防
家の中にユリ科の植物を持ち込まないことが最も効果的です。また、散歩中にも注意が必要です。
ユリ中毒は非常に危険であり、早期の対応が必要です。家庭では、ユリ科の植物を避けること、もしくは犬や猫の手が届かないような対策をすることが推奨されます。
ユリ科の植物だけでなく観葉植物の中には、犬や猫にとって有毒なものが多く存在します。上記の表にあるもの以外にもたくさん存在します。
これらの植物は、犬や猫が誤って食べたりかじったりしないように、家庭内での取り扱いに注意が必要です。犬や猫がいる家庭では、これらの有毒植物を避け、安全な観葉植物を選ぶことが推奨されます。
家にある植物の種類を把握し、それぞれの毒性について知識を持つことが大切です。知らない植物を新たに導入する際は、事前に調べることが推奨されます。
植物以外にも日常で気をつけなくてはならない中毒物質があります。詳しくはコチラ(犬や猫が飲み込んでしまうと危険!与えてはいけないものリスト、チョコレート中毒、キシリトール中毒、ブドウ中毒)をご覧ください。
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