【獣医師監修】マダニから感染するSFTSってどんな病気?―犬や猫、人もかかる感染症に注意!―

大森(愛玩動物看護師)
日々育児と仕事を両立するため健康管理に気を付けている。趣味はサイクリングや登山と休日もアクティブに活動。「正確な仕事は美しい環境から」をモットーに院内の環境整備やマネジメントに関して精力的に動く日々。院内のムードメーカーとしていつもみんなの笑顔の中心にいる。
犬や猫、人にも感染する「SFTS」って何?
「SFTS」とは別名で「重症熱性血小板減少症」とも言い、マダニが媒介する(持ち運ぶ)SFTSウイルスにより感染する病気です。
SFTSは猫や犬、野生動物だけではなく人にも感染する「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれる病気です。厚生労働省が定める「感染症法」の中でも感染リスクがある病気として狂犬病やデング熱、日本脳炎などと同じ「4類感染症」に分類されています。
発熱や嘔吐下痢、貧血や出血を起こし、重篤な症状では死に至ることもあります。

犬や猫にSFTSはどうやってうつるの?
SFTSはマダニを媒介して感染します。
SFTSウイルスを持っているマダニに吸血される際にウイルスが体内に入り感染します。マダニは草むらだけでなく、野良猫やネズミなど人の生活圏に生きる動物にも寄生しています。そのため、外に散歩に行く犬や家の中と外を行き来する猫、通勤する皆さんの靴やズボンの裾にも付く可能性があります。
SFTSに感染した場合、およそ6日~2週間程度の潜伏期間を経て発症します。

犬や猫のSFTSの症状は?
症状は発熱や元気・食欲の低下と下痢と嘔吐が主ですが、筋肉痛や出血を伴うこともあります。
血液中の血小板(出血を止める作用)や白血球(病原体と戦う作用)が減少するため、特に免疫の低い子供や高齢の方は重症化することがあります。
また犬や猫も人と同様の症状が観察されることから、発症した動物の取り扱いには十分に注意する必要があります。
特に猫は感受性が高く、発症した猫に接触した猫・犬・人がそれぞれお互いに移しあう可能性もあります。三重の動物病院ではSFTSに感染したと思われる猫を治療した後に獣医師が死亡した例も報告されています。感染が疑わしい動物への不用意な接触は絶対にやめましょう。
犬や猫については、2024年の1年間で猫では194頭、犬は12頭が症例報告されています。(参考:JIHS国立健康危機管理研究機構)詳しくはこちらをご覧ください。(猫の死亡率はおよそ62.5%の高い死亡率となっています。
人での死亡率はおよそ30%ほどです。以前は西日本に多く発生していた病気ですが、2025年6月には茨城での死亡例も確認され、現在でも感染地域は徐々に北へと広がっており秋田や北海道での感染報告も出ています。
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犬や猫を吸血するマダニについて
犬や猫の予防の一つにフィラリア症があり、特に犬を飼育されているほとんどの方は蚊の活動する時期を中心にフィラリア症予防をされているのではないでしょうか。ではマダニの活動時期はいつでしょうか?
実はマダニについては季節問わず活動しているのです。
国立感染症研究所のHPには2025年度は3月26日の時点でSFTSに感染した報告が掲載されています。つまりSFTSの潜伏期間を考えると3月半ばにはすでにSFTSウイルスを保持したマダニが活動していたことになります。
またマダニが運ぶ病気はSFTSだけではありません。日本での発生はありませんが一類感染症に定められているクリミア・コンゴ出血熱/北海道で感染報告のあるダニ媒介脳炎/国内各地で感染例のある日本紅班熱など多くの病気を媒介します。こちらの記事には人獣共通感染症について記載がありますのでご参考ください。
関連記事
その病気、人にもうつるかも。人獣共通感染症について~人と動物と環境の感染症の話~

犬や猫がSFTSに感染しないためには?
SFTSに感染しないためにはどのような対策を講じればよいのでしょうか?
河川敷や野原、畑(家庭菜園など)や山に行く際には虫よけを使用し、長袖長ズボンを着用すること、そして自宅に入る前に服を払いましょう。
犬の散歩で草むらに入ることもありますが、日頃からマダニの予防を行うこと、帰宅時に丁寧にブラッシングを行い、吸血する前に払うことが大きな予防対策といえるでしょう。
また野良猫や野生動物には不用意に近づかないことも大切なことです。

犬や猫がマダニに刺されたかもしれない
マダニに刺されたと判明または疑わしい時には無理に取ろうとせず、まずはマダニに刺された可能性があることをかかりつけ獣医に申し出て、除去を依頼しましょう。
マダニの多くは人や動物にとりつくと口を皮膚に突き刺し長時間吸血をします。その間に無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残ってしまい化膿したり病原体が体に入りやすくなる恐れがあります。
また自身がマダニに刺されたり感染している可能性のある動物を触った際には速やかに感染の疑いを医師に伝え治療を開始しましょう。
犬や猫のマダニ予防薬について
当院ではマダニの予防を1年間通年で行うことをお勧めしています。
前述したように、マダニは季節問わずに活動している可能性があることが通年予防をお勧めする理由です。
予防薬は毎月与えるもの、数か月ごとに与えるもの、食べるタイプ、背中に滴下するタイプ、フィラリアなど他の感染症予防を同時に行なえるものなど多くの種類を扱っております。費用や手間に合わせて処方が可能ですのでこの記事を読んで予防の大切さを少しでもお分かりいただけたら次にやるべきこととして予防薬のご相談にもぜひお越しください。

