【獣医師監修】犬や猫によだれが出ている!実は病気のサインかもしれません

よだれがだらだらと分泌される症状のことを「流涎(りゅうぜん)」といいます。愛犬や愛猫がいつもより多くよだれを垂らしているとき、それは単なる生理現象ではなく、体の不調や疾患のサインかもしれません。

歯の問題や口の中の異物、消化器系の不調、中毒、ストレスなど、様々な原因が考えられますが、急に始まった流涎や、通常と異なる行動を伴う場合は要注意です。

そこで今回はよだれが示すサインについて解説します。

\この記事を書いた人/
南(獣医師 外科部長)

南(獣医師 外科部長)

日本獣医がん学会、日本獣医麻酔外科学会に所属し外科部長として多くの手術症例を担当。犬猫からよく好かれ診察を楽しみにして来てくれることも多く、診察しながらずっとモフモフして癒してもらっていることも。見かけによらず大食漢でカップ焼きそばのペヤングが好き。1児の父であり猫と一緒に暮らしている。

犬や猫の流涎とは?

流涎(りゅうぜん)とは、過剰に分泌した唾液が口から外への流れ出る臨床症状で、犬や猫において一般的に見られる症状です。

その原因は大きく 生理的なもの と 病的なもの に分類されます。

生理的な流涎は病的意義を持たない一時的かつ無害であることが多い一方、病的な流涎は何か病気の兆候である可能性があり、早期診断と治療が求められます。

そもそも唾液の役割とは?

唾液はなくてはならない分泌液で、その主な機能として以下があげられます。

  • ・食物の湿潤化と消化酵素の提供(アミラーゼなど)
  • ・口の自浄作用と抗菌作用
  • ・口の粘膜の保護と潤滑
  • ・体温調節への関与(特に犬におけるパンティング時)

食べ物の匂いなど食事などに反応して副交感神経が刺激されると唾液が分泌され、消化に備えます。また、唾液分泌は交感神経刺激によっても活性化され、緊張やストレス反応といった消化とは異なる刺激でも分泌されます。

また、犬や猫において唾液を分泌する唾液腺は耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺などがあります。唾液腺に異常が起こると、膨張してしまったり(嚢胞)、腫瘍化したりすることがあります。

犬や猫の生理的な流涎

病気ではない場合の流涎には以下があげられます。

  • ・食べ物の匂いや食事中
  • ・恐怖や不安などのストレス反応
  • ・苦味のあるものを摂取したときや特定の薬物(抗コリン作用薬、一部の鎮静剤)による直接刺激
  • ・体温調節の為に起こるパンティング時
  • ・車酔い

食事に関しては実際に消化するためにご飯を食べている時に唾液は分泌されますが、ご飯が与える時などに準備している時の匂いや音に反応して唾液が分泌されることがあります。

犬や猫ではストレスを感じた時にも流涎は見られ、不慣れな環境や雷の音など不安や恐怖を感じる時に唾液の分泌が増えます。

特に猫は賢く、危機管理能力に優れている動物であり自身の身を守るために色んな空気を察知します。そのため慣れない環境や知らない人から受ける不安やストレスが大きく、ストレス反応として流涎が認められることがあります。

苦い薬や洗剤などの刺激物を舐めたり飲んだりした後では、口内の苦味や刺激に反応して唾液分泌が促されます。

ヒトは汗をかくことで体温調節を行っていますが、犬では汗腺の発達が弱く、汗での体温調節が難しい代わりに口を開けて呼吸することで体の熱を下げます。この時、唾液分泌が増加し蒸発によって熱を放出することで、体温を下げることができます。

病的な流涎

病的な流涎は、以下のような疾患や異常が原因に考えられます。

口の病気

歯周病、歯肉炎、口内炎、口腔内腫瘍(良性・悪性)など

流涎の他に口臭、食欲不振、口腔内出血などがみられることがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

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唾液腺疾患

唾液腺炎や唾液腺嚢腫(ガマ腫)

唾液分泌異常や嚢胞形成によって唾液分泌が増え、流涎が見られます。

代謝異常

腎不全や肝不全によって嘔吐や流涎を引き起こします。

神経疾患

脳神経障害やてんかん発作など

神経に異常があることによって唾液の分泌が過剰になったり、脳神経の異常によって顔に麻痺が起こり、口が閉じなくなったり嚥下ができなくなったりすることで流涎が起こります。

けいれん発作についてはこちらで解説しています。

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中毒

有毒植物(ツツジなど)、化学物質、薬品の誤飲による急性中毒症状など

流涎のほかに嘔吐、下痢、神経症状を伴います。ユリ中毒の解説はこちらをご参照ください。

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消化器疾患

胃炎、誤飲や食道炎など消化管異常

特に胃捻転は緊急疾患であるため、大至急受診が必要です。胃捻転についてはこちらで解説しています。

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検査および治療

適切な鑑別診断と治療計画を立てるためには、詳細な検査が必要です。

問診では流涎以外の症状(嘔吐、元気消失、食欲低下など)の有無を確認します。さらに環境変化や誤飲歴についても詳細に聞き取り、流涎の原因として考えられる疾患を鑑別していきます。

そして視診や触診などによって口腔内観察で歯肉炎、潰瘍、腫瘍などを確認します。

さらに唾液腺の腫脹や痛みがないか、腹部の触診で吐き気につながるような変化がないか、視診で眼振などの明らかな神経症状などがないか確認していきます。

原因疾患を追求するために血液検査や画像検査を行い体の状態を把握し、診断していきます。

様々な検査を通じて診断された病態をもとに治療を進めていきます。生理的な流涎の場合は特別な治療は不要ですが、環境改善やストレス軽減策を考慮していきます。

まとめ|犬や猫に流涎がみられたら

流涎のある状況や体調などをよく観察し、動物病院に相談しましょう。

犬や猫の流涎は、生理的・病的いずれの場合も、その背景にある原因を正確に鑑別することが重要です。

生理的なものは問題ありませんが、流涎以外の症状(嘔吐、元気消失など)が見られる場合や誤飲、中毒物質への接触歴が疑われる場合には注意が必要です

問診と観察から得られる情報は診断の手助けとなります。早期発見と適切な治療によってペットの健康と生活の質を守りましょう。

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