犬や猫がよく耳をかいているんだけど、これって外耳炎ですか?

犬や猫において耳の病気としてよく見られるのが外耳炎です。耳を痒がったり、頭を振るような症状が見られた場合、外耳炎を起こしている可能性があります。

今回は、外耳炎に関して詳しく説明します。

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海野(獣医師)

海野(獣医師)

一人一人に寄り添った診療ができるようご家族様の話に耳を傾け、お気持ちを汲み取れるように心がけています。外科、救急医療分野の技術向上のため多くのセミナーを受講し、腕を磨いている。趣味はバイオリンと映画鑑賞。アクションやSFが好きでスターウォーズのダースモール推し。

犬と猫の耳の構造

外耳に炎症が起こることを「外耳炎」と呼びます。

犬や猫の耳は、外耳、中耳、内耳の3つに分かれます。このうち外耳は耳介と外耳道(耳の穴から鼓膜までの範囲)からなります。

人間の外耳道が直線的なのに対して、犬や猫の外耳道は耳の穴から縦方向に延びる垂直耳道とその先に横方向に伸びている水平耳道で構成されています。

つまりL字に曲がっていることで、人間よりも汚れや湿気が留まりやすい構造をしているのです。耳の構造についてはこちらもご参照ください。

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外耳炎を起こしやすい犬種、猫種

外耳炎はどの犬や猫でも起こり得ますが、猫より犬に起こりやすく、さらに犬や猫の中でも種類によって体質や耳の構造が異なるため外耳炎を起こしやすい犬種や猫種が存在します。

  • ・コッカースパニエルやレトリバーなど耳が垂れている犬種
  • ・ミニチュアシュナウザーやプードルなど耳の中に毛が生える犬種
  • ・柴犬やフレンチブルドッグなどアレルギー疾患を発症しやすい犬種
  • ・スコティッシュフォールドなど耳が垂れている猫種
  • ・アメリカンカールなど耳道が狭い猫種

これらの犬種や猫種では外耳炎の発症に注意が必要です。

症状

外耳炎になると、炎症によって痒みや痛みが出てくるため以下のような症状が出てきます。

  • ・耳を足で掻く
  • ・耳が赤くなる
  • ・頭を振る
  • ・耳周囲の脱毛や傷がある
  • ・耳を地面に擦り付ける
  • ・耳垢が増える
  • ・耳のニオイが強くなる
  • ・耳から液体(耳漏)が出てくる
  • ・耳を触るのを嫌がる など

原因

外耳炎を引き起こす原因は様々あり、いくつかの要因が複合的に関与している可能性もあります。また犬と猫でも多少異なる部分がありますが以下が主な原因になります。

  • ・細菌や真菌の増殖
  • ・ミミヒゼンダニなどの寄生虫感染
  • ・アレルギー
  • ・異物
  • ・腫瘤
  • ・不適切な耳掃除
  • ・耳毛が多い
  • ・耳が垂れていたり耳道が狭い など

外耳炎の悪化で見られる症状や病気

中耳炎や内耳炎

外耳炎によって鼓膜が傷付くと、鼓膜の内側にある中耳や内耳まで炎症が波及します。

また、顔が傾いたり眼振(眼球振盪)が起きたりする前庭障害が認められることもあります。また炎症や細菌感染により耳から排液が出てくる(耳漏)こともあります。

耳血腫

外耳炎によって頭を振ったり、耳を掻いたりすることで耳介の毛細血管が切れて耳介の中に血液がたまることがあります。

耳道の肥厚

外耳炎を何度も繰り返し、慢性的に炎症が起こってしまうと耳道が分厚くなります。それによってさらに耳道が狭くなり、外科的な処置をしないと改善してくれない場合もあります。

必要な検査、治療

検査

  • 身体検査 
  • 水平耳道と垂直耳道を確認し、腫れや赤み、狭窄、色素沈着、脱毛の有無、分泌物の有無などを評価するとともに、可能な範囲で耳鏡またはビデオオトスコープを用いて鼓膜の状態や異物や腫瘤がないかどうかを確認します。また、耳以外の全身を確認することで外耳炎の要因となっている疾患がないかを確認します。
  • 顕微鏡検査
  • 顕微鏡検査には、耳垢自体を顕微鏡で確認し虫体や虫卵を検出する検査とマラセチアや細菌の感染を検出する検査を行います。これにより適切な治療の決定や治療反応の評価を行います。
  • 細菌培養検査および薬剤感受性試験
  • これらの検査は、軽度の外耳炎では実施することはほとんどありませんが、顕微鏡検査で本来耳にいないはずの細菌が検出されたり、中耳炎を併発している可能性が高い場合などで行われることがあります。

治療

一般的には、耳道がそこまで狭くなっていない場合は耳洗浄によって耳垢などを除去した後にステロイドや抗菌薬の含まれた点耳薬を使用します。

炎症が強く耳道が狭くなってしまっている場合は、飲み薬でステロイドを短期的に使用したり、点耳薬で感染がコントロールできない場合は、飲み薬の抗菌剤を使用する場合もあります。

外耳炎が慢性化してしまい、内科的治療で改善しない場合は外科的に耳道切除を行うこともあります。

異物が原因として疑われる場合や一般的な治療で改善しない場合は、必要に応じて麻酔下でビデオオトスコープによる異物除去や洗浄を行います。

また、外耳炎の原因がアレルギー性疾患と関連していることが多くアレルギー性疾患が疑われる場合は外耳炎の治療に加えそれらの疾患に対する治療も必要になります。

自宅でできるケアや予防

耳の汚れや赤みが気になった場合には、まずは動物病院を受診しましょう。

耳の状態によっては耳掃除によってより悪化してしまったり、鼓膜を傷つけてしまう恐れがあります。

耳が綺麗な場合は耳掃除をする必要はありませんが、もし軽度の耳垢が認められ自宅でケアをする場合は、綿棒は使用せずに、コットンに洗浄液を染み込ませて見える範囲の汚れを優しく拭き取る程度にしましょう。また猫の場合は、耳の中を洗うと外耳炎の原因になったり神経症状が出てくることがあるため注意が必要です。

外耳炎を起こしやすい犬種や猫種に関しては、定期的に病院で耳掃除をすることをお勧めします。

耳掃除や点耳薬のやり方についてはこちらでご紹介しています。

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外耳炎は日頃から耳を観察し、症状が見られたら早期に治療を行うことが重要です。家での耳掃除が外耳炎の原因になることもあるため、少しでもご不安な場合は動物病院にご相談ください。

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