【泌尿器科獣医師監修】犬の腎臓病の症状、原因、治療、食事などについて教えます

最近、おうちの犬のお水を飲む量が増えた、もしくはおしっこの量が増えたなどと感じることはありませんか?こういった変化が慢性腎臓病に関連していることもあります。
腎臓は体内の血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する重要な役割を担っており、その機能が低下すると生命維持に深刻な影響が及びます。
犬の平均寿命が延びるにつれて、腎臓病の発症も増加しており、特に慢性腎臓病は高齢犬に多く見られます。正しい知識を持つことで、早期発見や適切な治療に繋がります。今回は犬の腎臓病について症状、原因、治療、食事などについて解説します。

荻野 (獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。
犬の腎臓病とは?猫との違い
犬の腎臓病は、腎臓の基本機能単位であるネフロンという構造が障害されることで起こります。
ネフロンは糸球体と尿細管から構成され、糸球体で血液をろ過し、尿細管で必要な水分やミネラルを再吸収・分泌します。

腎臓の働きに関してはこちらもご覧ください。
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犬の慢性腎臓病では中でも糸球体の部分での障害が起こることが多いとされています。免疫系の異常や先天性疾患など多様な原因疾患によって糸球体が障害を受けることによって腎臓におけるろ過機能が低下します。
猫の慢性腎臓病では主に尿細管とその周囲(間質)への障害が多いとされており、加齢による腎機能の低下は犬猫共通ですが、発症頻度や病態に違いがあります。猫の慢性腎臓病に関してはこちらもご覧ください。
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犬の腎臓病はどんな症状?
犬の腎臓病は「急性腎障害」と「慢性腎臓病」に分けられます。主な症状は以下のようになります。
病気の進行する速度は違いますが、どちらも進行すると体内の老廃物の排泄が十分にできなくなり、尿毒症の症状がみられます。
急性腎障害
- ・乏尿、無尿
- ・食欲不振
- ・嘔吐、下痢
- ・意識障害
突然発症し、急速に症状が進行します。命に関わるため早期の治療が必要になります。
慢性腎臓病
- ・多飲多尿
- ・食欲低下
- ・体重減少
- ・脱水
- ・元気消失
- ・嘔吐、下痢
- ・口臭の悪化
- ・貧血
徐々に腎臓の機能が低下していきます。
初期症状はこれといって特徴がないため気づきにくいですが、病気の進行に伴い、症状が重篤化します。
犬の腎臓病の原因は?
急性腎障害
原因は障害される部位によって「腎前性」「腎性」「腎後性」の3つのタイプに分類されます。
- ・腎前性:
- 脱水や出血などによって腎臓への血流が低下することで障害が生じる
- ・腎性:
- 感染症(レプトスピラ症など)や中毒性物質(薬剤、ブドウやレーズンなど)によって腎臓自体に障害が生じる
- ぶどう中毒に関してはこちらでも解説していますので合わせてご覧ください。
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- ・腎後性:
- 尿路結石や炎症などによって尿の流れが妨げられることによる障害
慢性腎臓病
慢性腎臓病の原因には遺伝的・先天性に腎臓に障害がある、糸球体疾患、加齢による腎臓の機能低下、その他様々なものが挙げられます。
- ・遺伝的・先天性の腎疾患:腎形成不全、多発性嚢胞腎、家族性腎症、腎アミロイドーシスなど
- ・糸球体疾患:免疫介在性糸球体腎炎など血液をろ過する糸球体に炎症や損傷が起こる
- ・加齢による腎臓の機能低下:加齢によって腎組織が線維化し、腎臓の機能が失われる
- ・その他:高血圧の影響、腫瘍性、急性腎障害からの移行など
診断のための検査
これらの原因を見分けるために検査を行っていきます。主な検査は以下の通りです。
- ・血液検査
- ・尿検査
- ・画像検査(超音波検査、レントゲン検査など)
- ・血圧測定 など

犬の腎臓病の治療は?
急性腎障害では原因に応じた治療を迅速に開始することが不可欠です。慢性腎臓病では完治は困難であるため進行を遅らせる長期管理が中心となります。
それぞれの主な治療は以下のようなものが行われます。
急性腎障害でも慢性腎臓病でも点滴治療が大事になってきます。
急性腎障害の治療
- ・輸液治療:脱水の改善と電解質バランスを整える
- ・閉塞の解除:尿路閉塞が原因の場合
- ・抗生物質の使用:感染症が原因の場合
- ・透析療法(腹膜透析・血液透析):体内に溜まった老廃物を取り除く
慢性腎臓病の治療
- ・点滴療法:十分な水分補給を行うため
- ・食事療法:低タンパク質・低リン・低ナトリウムの療法食を使用
- ・薬物療法:高血圧の治療、貧血や蛋白尿の改善
長期管理のために行う自宅での皮下点滴の方法はこちらで詳しく解説しています。
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どのような食事を与えたらいい?
慢性腎臓病の犬には、腎臓に負担をかけないバランスの良い食事が欠かせません。
タンパク質は制限しつつも良質なものを適量、リンやナトリウムは控えめにします。
脂肪はエネルギー源として適切に与え、ビタミンやミネラルも補給します。専用の療法食にも様々なものがありますので獣医師と相談のうえで選択しましょう。
腎臓病の影響で食欲が低下している場合、ごはんを温めることで香りを引き立てて食欲を刺激することも効果的です。また、ぬるま湯でふやかすことで風味が増して飲み込みやすくするだけでなく、食事から水分を摂ることもでき、脱水症状を起こしやすい腎臓病の犬にとって水分補給にも役立ちます。
ごはんを上げる工夫に関してはこちらでも詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
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まとめ 犬の腎臓病とは?
犬の腎臓病は緊急対応が必要な急性腎障害と長期管理を通じて生活の質の維持を目指す慢性腎臓病があります。
特に慢性腎臓病は早期発見と継続的な管理が大事となり、日常的に愛犬の飲水量・尿量や体調の小さな変化を観察し、異変を感じたら速やかに獣医師に相談することが重要です。
治療として点滴療法や食事療法があり、自宅での皮下点滴や食事についてなど動物病院との連携も欠かせません。当院では泌尿器科獣医師による診察も行っております。血液検査などで腎臓の数値の異常が見つかった、最近飲水量が増えたなどの変化が見られたら動物病院でご相談ください。