今あげているご飯の量は適切?犬と猫に必要なカロリー計算をしてみましょう

「このスイーツを食べたいけれど、ちょっと今日はカロリー摂りすぎかな…」なんて思うことありますよね。人間と同じように、ペットにも1日に必要とするカロリーが決まっています。みなさんが今あげているごはんの量は適切でしょうか。

 

ペットに合ったカロリーをあげないとどうなるの?

カロリーとは生き物が活動するために必要なエネルギーの単位のことです。必要以上に摂取すると太ってしまう、というのは想像しやすいかと思います。

肥満は様々な病気を引き起こす原因になりますので、獣医師から減量を勧められた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それではいざダイエット!食べすぎを注意されたからごはんを減らそう!とは言ってもむやみに量を減らせばいいというわけではありません。カロリーや栄養が不足すると身体を健康な状態に保てなくなり、皮膚や内臓にトラブルが起こってしまう可能性があるのです。

ペットフードには体重毎に与える量の目安が記載されていますが、健康状態や日々の過ごし方によって必要とするカロリーは異なりますので、気付いたら標準体型ではなくなっていたなんてこともあります。そのようなことを防ぐために、ペットに合ったカロリーを知っておくことが大事なのです。

RER(安静時のエネルギー要求量)とDER(1日あたりのエネルギー要求量)

1日に必要なカロリーは以下の計算で出すことができます。

“DER=RER×係数”

これだけでは一体何のことやら…。というわけで具体的な計算方法の前にDERRERについて少しだけお話ししたいと思います。

まずRER(安静時のエネルギー要求量)とは、健康な動物が適温のお部屋でじっとして過ごす時に必要な1日のエネルギー量のことです。計算式については後ほどご説明しますが、体重だけわかれば割り出すことができます。

しかし、体重が同じであっても運動量やライフステージによって消費するエネルギーの量は異なります。ですのでその子の今の状態に合わせて算出したものがDER(1日あたりのエネルギー要求量)なのです。

計算の仕方

それではいよいよ計算方法についてご説明します。

まずは√(ルート)計算の出来る電卓をご用意ください。スマートフォンの機種によっては、計算機を起動して画面を横向きにすると√が使用できます。

RERの計算式

“体重(kg)×体重(kg)×体重(kg)=√√×70”

⓵まずペットの体重を3回かけます。肥満な子や痩せすぎている子など、現在適正体重でない場合は目標とする体重で計算しましょう。

急激な減量は身体に支障をきたしますので、目標体重に悩んだら獣医師にご相談ください。

⓶=(イコール)を1回押します。

⓷√を2回押します。その後×70をして終了です。√と×70の間で=を押さないように気をつけてください。数値が変わってしまいます。

DERの計算式

“DER=RER×係数”

RERが出せたらペットに合う係数をかけてみましょう。係数とは「今の状態」に合わせるために設定された数値のことです。多くのカロリーが必要な成長期などは大きな数字、カロリーを控える肥満傾向などの場合は小さな数字になります。

ご自身のペットがどれに当てはまるか下の表で確認してみましょう。

係数をかけて出た数字が1日に必要なカロリーです。

さて必要なカロリーがわかったところで、実際にあげるごはんの量を計算してみます。ペットフードには必ずカロリーが記載されていますので、チェックしてみてください。

1日に食べる適切なごはんの量の計算式

フード100gあたりのカロリー(kcal)÷100=フード1gあたりのカロリー(kcal)

DER(kcal)÷1gあたりのカロリー(kcal)=1日のフード量(g)

これで1日のごはんの量を計算することが出来ました。

1日2回ごはんを与える場合は2で割った数が1食分、1日3回の場合は3で割った数が1食分の量になります。

以上で計算は終わりです。

おやつをあげる場合はその分のカロリーを差し引いてください。栄養バランスや、体重維持のためにもおやつの与えすぎには注意しましょう!

 

計算問題にチャレンジ!

いくつか例題をご用意してみました。「やり方はわかったけれど、答えが合っているか自信がない」という方は是非解いてみてください。

 

例1.体重4kgのロシアンブルーのRERはいくつでしょうか?

計算式は4(kg)×4×4=√√×70

答えが197.98…なので正解は198(kcal/日)となります。

 

例2.体重10kg、去勢済み3歳の標準体型の柴犬のDERはいくつでしょうか?

まずはRERを出します。

10(kg)×10×10=√√×70を計算すると393.63…なので394(kcal/日)です。

表から去勢済みの成犬の係数は1.6なので

DER=394×1.6

よって正解は630(kcal/日)となります。

 

例3. 体重5kg、避妊済み2歳の標準体型のミニチュアダックスフンドが100gあたり360kcalのペットフードを1日2回で食べる時、1回の適切な量は何gでしょうか?

上記の問題と同様にまずRERを計算します。

5(kg)×5×5=√√×70から

234.05…なので234(Kcal/日)となります。

次にDERを計算していきます。避妊済みの成犬なので、こちらも係数は1.6です。なので

DER=234×1.6

よってDERは374(kcal/日)です。

最後にごはんの量を考えていきましょう。

DER(kcal)÷1gあたりのカロリー(kcal)=1日のフード量(g)に当てはめて

374÷3.6を計算すると答えは約104(g/日)となります。

こちらは1日のごはんの量なので、2で割って

正解は1回52(g)です!

 

いかがでしたでしょうか。

是非ペットの健康のためにも、一度適切なごはんの量を計算してみましょう。そして、目分量ではなくきちんと量を測ってごはんを与えることも大切な健康管理です。

係数がどれに当てはまるのかわからない、ダイエット方法を知りたい、などございましたら当院のスタッフにお気軽にお声がけください。

この記事を書いた人

興村 江美(愛玩動物看護師)
幼少期に祖母の家で犬と暮らしていたことから動物関係の仕事を選択。現在は院内備品の在庫管理やシニア動物のケアに力を入れており、ご家族へ配布するシニア介護についての資料作りも担当。趣味はハロープロジェクト所属アイドルのコンサート鑑賞で休みの日は定期的にライブに足を運んでいる。