吐いちゃった!犬や猫が嘔吐する仕組みや原因について解説します。

嘔吐とは、胃の強い収縮によって胃内容物が食道に押し上げられ口から出てしまうことをいいます。

一緒に暮らしている犬や猫が嘔吐をしてしまった、という経験がある方も多いでしょう。

今回は犬や猫の嘔吐の仕組みや原因、どんな時に早めに病院に行ったら良いかなど、詳しくお話ししていきます。

 

嘔吐の仕組み

まずは嘔吐のメカニズムについてです。胃腸など内臓からの刺激、化学物質や薬物などの刺激が脳にある嘔吐中枢を直接刺激するか、化学受容器引金帯(CTZ)を介して刺激することで嘔吐が起こります。

主なメカニズムは犬や猫もヒトと同じですが、犬や猫の方が吐きやすいと言われています。その理由のひとつとしてあげられるのが、身体の構造の違いです。

二足歩行であるヒトは、食道と胃が地面に対して垂直になっています。そのため吐く際には、内容物を胃から口へ押し上げるために大きなエネルギーを必要とします。

しかし犬や猫は食道と胃が地面に対して水平になっており、ヒトよりも少ないエネルギーで吐き出すことが出来てしまうのです。

また食道の筋肉にも違いがあります。ヒトは横紋筋と平滑筋で構成されていますが、犬や猫はほとんどが横紋筋です。横紋筋は意識的に動かすことが出来ますが、平滑筋は出来ません。このため犬や猫は意識的に吐き出すことが出来るのです。

ちなみに嘔吐と似た症状で吐出というものがあります。吐出は嘔吐と異なり、胃に届く前の未消化物を勢いよく吐き出します。

犬や猫が吐きやすいその他の理由、嘔吐と吐出の違いについては、こちらの記事で解説しています。是非ご覧ください。

 

嘔吐の原因って何があるの?

犬や猫が嘔吐してしまう原因は様々です。

まずごはんの早食いや水の一気飲みなど、生理現象の場合があります。または長時間の空腹が原因で、胆汁の混じった黄色い胃液を吐くこともあるでしょう。

その他にも何らかの疾患があり、嘔吐を引き起こしていることもあります。

上記であげた例はあくまで一部であり、特に病気についてはこの他にも多くの要因が考えられます。

体調で気になることがあれば、一度受診の上ご相談ください。

 

すぐに病院に行った方が良い?

犬や猫が嘔吐をしてもその後普段通り元気にしているのであれば少し様子を見ても良いですが、体調が悪そうということであれば基本的に受診をお勧めします。

その中でも特に早めに受診した方が良いケースについてご紹介します。

吐いた後にぐったりしている

嘔吐した後けろっとしているのであれば大きく問題がないことが多いですが、ぐったりとして起き上がれなかったり、食欲がなかったり、または下痢や発熱など他の症状も出ている場合は早めにご来院ください。

1日の中で頻回に吐く

1日のうち何度も繰り返し吐く際にも注意が必要です。疾患が原因であることも考えられますし、何度も嘔吐すると脱水が引き起こすこともあります。

毎日吐いている

慢性的に嘔吐している場合、消化器を始めとして身体のどこかに疾患が隠れている可能性があります。

大きな疾患がなくとも、毎日嘔吐していると胃酸で食道が荒れてしまうため、原因は調べた方が良いでしょう。

異物誤飲による嘔吐

嘔吐物におもちゃの破片等異物が混じっていて、異物を食べてしまった可能性がある場合はすぐに病院にご連絡ください。

そのままにしておくと腸が閉塞してしまい、命の危険があります。

おもちゃに限らず髪ゴムや小物など、置いておいた物がなくなっていないか普段からよく見ておくようにしましょう。また玉ねぎやチョコレートなどの中毒症状を引き起こす食べ物の誤食も注意してください。詳しくはこちら

吐きそうで吐けない

気持ち悪そうにしているけれど、内容物は出てこない場合、重症度が高い疾患だと胃拡張・胃捻転が原因の一つとしてあげられます。大型犬で起こりやすいとされていて、胃が空気で膨張し捻じれている状態のことです。治療が遅れると命を落とすこともありますので、すぐに受診してください。

 

今回は嘔吐についてお話ししました。いかがでしたでしょうか。

犬や猫が嘔吐してしまうと、気が動転してしまう方も多いかと思います。まずは落ち着いて、病院までご連絡ください。

何度吐いたか、直前にどういった行動をしていたかなども重要な情報になります。嘔吐物も写真で記録を残し、受診の際にはお持ちいただくようお願いします。

嘔吐の原因には様々ありますが、早食いや空腹の場合は食事方法や回数・時間の変更で良くなることがあります。

ストレスの場合も、その要因を取り除くことが出来れば改善が見込めるでしょう。生活環境を整えることで異物の誤飲も未然に防ぐことが出来ます。起こった後の対処も重要ですが、予防出来る部分はしていきたいですね。

大事なご家族にいつまでも健康でいてもらうために、是非知っておいてください。

この記事を書いた人

興村 江美(愛玩動物看護師)
幼少期に祖母の家で犬と暮らしていたことから動物関係の仕事を選択。現在は院内備品の在庫管理やシニア動物のケアに力を入れており、ご家族へ配布するシニア介護についての資料作りも担当。趣味はハロープロジェクト所属アイドルのコンサート鑑賞で休みの日は定期的にライブに足を運んでいる。