インターネットで検索!ペットの情報あれこれ ~その情報は信頼できますか?~

まずはじめにこの記事でお伝えしたいことをハッキリとお伝えします。

 

「獣医療に関して正しい情報を得るには、実際に動物病院または関連施設に行き、ペットの状態を確認してもらったうえで獣医師や愛玩動物看護師などの専門家に聞くことが最も確実です。ネットで調べた情報は絶対正しいものではなく、参考にする程度にとどめてください。」

 

インターネットやオンライン診療すらあるこのご時世で何を言っているんだと思われるかもしれませんが、最初に一番重要なことをお伝えしました。

 

スマートフォンが普及し、手軽に様々な情報を検索できるようになりました。自分が知らないことや分からないことがあっても、キーワードを打ち込むだけでインターネットは答えを返してくれて自分にとって体の外側にある第二の脳のように感じるかもしれません。

 

もし、ペットが夜中に急に具合が悪くなったらあなたはどうしますか?

手元にあるスマートフォンなどを利用してインターネット検索をし、症状や病気を調べ病院に行くべきかどうかなど判断することもあるのではないでしょうか。

インターネットで調べた情報の中には真実はもちろん虚偽の情報や危険も含まれています。

現代のデジタル社会においてそういった数ある情報から正しい情報を見極める能力「ネットリテラシー」が欠かせないスキルになります。

 

ネットリテラシーとは・・・

インターネットを正しく使いこなすための知識や情報を正しく理解し適切に運用するための能力です。

インターネットで検索して情報を得ることだけをいうのではなく、その情報の真偽を見極め、偽の情報を広めない力を養う必要があります。

※リテラシー(literacy)ある分野における知識や活用する能力のこと

 

獣医療関係の情報を調べるにあたり気を付けてほしいこと

最初にお伝えした通り、残念ながらインターネットで調べたものがすべて真実というわけではありません。

インターネットはだれでも手軽に情報発信ができてしまうため、科学的根拠がないものやその記事を書いた人個人の意見が入ってしまっている場合、書き手もインターネットを調べながら書いている(AI生成の場合もこれにあたります)ものの場合は複数のサイトで似たような情報が掲載されていても真実でない可能性もあります。

 

獣医療情報を調べる際には必ず以下のことを注意しましょう!

① 科学根拠がありますか?

実験や調査などによって得られた確かな情報や証拠のことです  

営利性のない政府や地方自治体、公的機関が出している情報は科学的根拠があるうえで掲載されています。

② その情報は新しいものですか?

特に医療は日々進化しています。記事が書かれた年数が20年前のこともありますので確認しましょう

③ 確証バイアス(偏った考えや個人の意見などが)が入ってないですか?

人は既に持っている先入観や仮説が正しいと判断するために、自分の都合の良い情報ばかりを集める傾向があります。これは無意識のうちに他者の反対意見を軽視してしまう心理現象のうちの一つで、確証バイアスといいます

例えば猫を飼っている方が、昔から言われる「犬は人につき、猫は家につく」と聞いた時に、確かに猫が一人で遊んでいたり、長時間留守番して人が家にいなくても平気な様子を見てその通りだなと思うかもしれません。友人も同じようなことを言っていたりインターネットにも同じように書かれていたら、より強くそう感じると思います。しかし、猫の性格では決して家につくわけではなく、家族のことを個別に認識しているといった報告や留守番により体調を崩す猫がいます。そのような事例は特別と考えて、その意見を無視してしまうかもしれません。

このように自身が無意識のうちに自分の都合の良い情報だけを信じてしまう、これは確証バイアスの一つです

④ 記載されている内容が簡潔に書かれている

インターネットに掲載されている記事は誰もが読むことができるようわかりやすく書かれています。獣医学的には微妙に異なるニュアンスであっても分かりやすくするために表現が違う場合があります。それをそのまま鵜呑みにすると情報が間違っているかもしれません。

 

インターネットで調べることは決して悪いことではありません

重要なのは「インターネットの情報は絶対ではなく参考としてとどめること」です。

インターネットで調べた獣医療情報の中に研究や事実に基づいた正しい情報もありますが、同時にAIが生成したものや他の獣医療従事者以外の方がインターネットの情報などを参考にして書かれたものなど、内容の検証をせずに掲載されているものまでさまざまです。

例えば、論文や教科書を元にして病気の症状や検査、治療方法などを紹介している病院や公的機関のホームページは信頼性が高いと考えられます。

そういったサイトの情報であっても、獣医療は日々進歩し新しい治療法や情報が次々と更新されています。病院のホームページだとしてもその情報はいつ出されたものか、信憑性のあるものなのか、一つの情報だけでなく何か所か情報を調べて比較して判断していただければより確実な情報を得ることができるでしょう。

 

最後に

当院のホームページで提供させていただいているコンテンツは正しい情報をお伝えするため、必ず情報の発信源(大学・病院名や執筆者、症例が出された日付など)を確認する、専門書や過去の論文、学会などで発表されたものなどを調べたうえで根拠に基づいたものを発信するよう留意しています。

 

獣医療に関して正しい情報を得るには、実際に動物病院または関連施設に行き、ペットの状態を見せたうえで獣医師や愛玩動物看護師などの専門家に聞くことが最も確実です。

目の前の専門家がインターネットと違うことを言っている?など感じる場合にはまずその疑問もぶつけてみましょう。色々と話を聞きながら自分の調べた情報とすり合わせることで、微妙な違いやニュアンスにも気づくことができ、知りたかった情報がより確実に理解できると思います。

 

状況によっては身近にあるインターネットに頼らざるをえないことも多々あると思いますが、誤った情報に惑わされず正しくインターネットを利用するため、ネットリテラシーを身につけるようにしましょう。

この記事を書いた人

根岸(愛玩動物看護師)
反抗期の子供を持つ2児の母。大きな犬と体当たりで遊ぶことが大好きで自宅でも中型犬と暮らしている。現在はさらに猫を迎え、犬とはまた違った可愛さに魅了されてメロメロ。スタッフのお母さん的な存在として、後輩スタッフの指導にも尽力している。
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