【獣医師監修】愛猫にワクチン接種は必要?猫の混合ワクチンについて解説します。

ご自宅で生活している猫のワクチン接種、皆さんはどうしていますか?

「そもそも何のためにワクチンを接種するの?」などワクチンについて疑問を持つ人もいるでしょう。今回は予防できる感染症や時期など猫のワクチンについて詳しく解説していきます。

 

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山崎(愛玩動物看護師)

山崎(愛玩動物看護師)

新潟県出身で祖母の家には雪のような真っ白な日本スピッツを飼っており、現在自宅にはハリネズミをお迎えし動物に囲まれた生活を送っている。趣味はSNS鑑賞で流行にアンテナを張っている。最近ではペットのハリネズミの可愛い写真を撮ることに一生懸命。ご家族や動物たちの生活に合わせた看護のお手伝いができるよう日々邁進中。

猫にワクチン接種は必ずした方がいい?

ワクチン接種は感染症にかかるリスクを下げるために必要な予防手段で、感染リスクを減らすために定期的に接種することが推奨されています。

特に子猫では免疫力が低いためワクチンを接種することで様々な感染症の予防が期待されます。

よく外に出る猫や多頭飼育の猫はもちろん、完全室内飼育であっても人の室内と外の環境の出入りによって病原体を持ちこんでしまうこともあるため、どんな環境の猫でもワクチン接種によって感染が蔓延しないよう予防することが必要です。

 

子猫が初めてワクチンの接種する時期はいつ?

移行抗体の能力が低下する6~8週齢の時期に初回のワクチンを接種することが推奨されています。

生まれたばかりの子猫は免疫力が不十分なため、母親から与えられる初乳の摂取により子猫自身の免疫機能が発達されるまで感染症から守ってくれます。この期間の抗体を「移行抗体」といいます。

移行抗体のある生後0~7週齢の時期にワクチン接種をしても十分な効果は発揮されません。

また、十分な免疫を維持するために定期的なワクチンの追加接種をする必要があり、当院ではWASAVAワクチネーションガイドラインに則ってワクチンの接種を行っています。

1回目のワクチン接種から4週空けて2回目のワクチン接種、2回目のワクチンから4週間空けた生後16週齢以降に3回目のワクチンを接種し、3回目のワクチンから1年後に4回目、ワクチンの種類により異なりますが、その後は3年に1度のワクチン接種を行います。

 

猫のワクチンって何種類あるの?

猫のワクチンには、コアワクチンとノンコアワクチンの2種類があります。

コアワクチン すべての犬や猫に接種することが強く推奨されるもの

ノンコアワクチン 住んでいる地域や生活スタイルによって接種が推奨されるもの

 

猫のワクチンには3・4・5種の混合ワクチンや特定の感染症を予防するワクチンがあります。当院では3種混合ワクチンを取り扱っています。

完全室内飼いの猫でも来客や動物病院への受診、ペットホテルの利用などで飼い主以外の人や物と接触することがありますので、完全室内飼いの猫もワクチンの接種をする必要があります。

獣医師と相談の上、猫の生活スタイルに見合ったワクチンを選択し、接種しましょう。

 

3種混合ワクチンで予防できる病気

3種混合ワクチンでは、猫汎白血球減少症(FPLV)猫カリシウイルス感染症猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)の3つの感染症を予防できます。

これらの感染症は強い感染力を持ち、口や鼻からウイルスを取り込むことで感染する、空気感染を引き起こします。

また猫ウイルス性鼻気管炎については、猫カリシウイルス感染症と猫汎白血球減少症により引き起こされる感染症です。猫ウイルス性鼻気管炎についてはこちらをご参照ください。

 

4種混合ワクチンで予防できる病気

4種混合ワクチンでは3種混合ワクチンに加えて猫白血病ウイルス感染症(FeLV)の予防ができます。感染した猫の唾液や排泄物から口や鼻を介して取り込むことで感染します。

猫白血病ウイルス感染症についてはこちらをご参照ください。

 

5種混合ワクチンで予防できる病気

5種混合ワクチンでは4種混合ワクチンに加えて猫クラミジア症の予防ができます。

猫クラミジア症の症状は主に目脂や充血、重い結膜炎が見られます。感染した猫の目脂や鼻水に触れることで感染を引き起こします。

 

F I Vワクチン

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)の予防ができます。しかし現在製造を中止しているためFIV感染猫との接触を避け、完全室内飼育をすることで感染を防ぎましょう。

猫免疫不全ウイルス感染症についてはこちらをご参照ください。

犬の混合ワクチンについてはこちらをご参照ください。

 

ワクチン接種前後の注意事項

ワクチンを接種する前日は特に体調の変化をよく確認しましょう。下痢の症状や食欲がない、元気がない、熱っぽいなどいつもと違う場合にはワクチン接種を延期する必要があります。

また、体調に問題がなく元気な場合でも必ず獣医師が問診、身体検査等を行い、なにかしら異常がみられた場合はワクチンの接種を延期することがあります。

ワクチン接種後も体調に変化がないか十分に確認する必要があります。

万が一、体調が悪くなってしまった場合には必ず病院へ受診してください。当院では、体調が悪くなってしまった場合すぐに対応できるよう午前中のワクチン接種をお勧めしております。

混合ワクチンの副作用・副反応として以下の症状がみられます。

 

ワクチン接種後1時間以内

アナフィラキシー反応:接種後激しいアレルギー反応を引き起こし、血圧の低下や呼吸困難、意識障害などアナフィラキシーショックを引き起こす

 

接種後数時間~数日後

アレルギー反応:発熱や顔の腫れ(ムーンフェイス)、全身的な痒み、嘔吐や下痢、食欲の低下などを引き起こす

 

その他、猫で見られるものにワクチン接種部位肉腫というものがあります。ワクチンを接種してから数ヶ月~数年ほどたってからしこりができ、どんどん大きくなっていきます。発生すると外科的に切除が必要となるため、体表をよく触り、しこりがないかチェックをしましょう。

詳しくはこちらもあわせてご覧ください。

 

まとめ|猫のワクチン接種の必要性

その子の生活スタイルに見合ったワクチンを選択し、人も猫も楽しく、健康な生活が送れるようにしっかりと予防しましょう。

感染症はご家族の身近に多く存在しており、ワクチンを接種することで様々な感染症から猫とその家族の身を守る事が期待されます。

また、当院では犬の吠える声や病院が苦手な猫でも安心して受診できるよう、静かで落ち着いた環境が好きな猫のための猫専用診療時間の“キャットアワー”を設けています。詳しくはスタッフまでご相談下さい。

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