いつか訪れるお別れ。ペットロスについてお話します。
“ペットロス”
誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
以前の記事にあるグリーフケアと同じもののように思われますが、実は異なります。グリーフケアについてはこちらの記事で解説しています。
関連記事
犬や猫も家族!みんなで考える、グリーフケアってなんだろう?
「死」というワードは目を背けたくなるものですが、覚悟を持たなければいけません。
今回はペットロスについてお話をしたいと思います。

藤咲(愛玩動物看護師)
当院の看護主任として日々奮闘中。責任感が強く真面目な性格と自負しており、ご家族からも頼られることが多い。小学校などで子供たちと犬との触れ合いの場を設ける動物介在教育にも力を入れており、休日には愛犬とともに参加している。ご家族やペットのお名前を覚えるのが得意で、スタッフからも「人間カルテ」と言われる記憶力が自慢。
大切な家族であるペットの旅立ち
ペットは今までの価値観から変化し今や家族の一員として共に暮らすことがほとんどとなってきました。食事内容や獣医療技術の進歩もあり、ペットと家族の在り方も変わってきました。
それにより、動物の高齢化も進み、介護をする機会も増えています。
ペットの旅立ちはいつか必ずやってくるものですが、原因や年齢に決まりはありません。

ペットロスとは?
「ペットを亡くした」という体験や悲しみ、喪失感に対する心身的な反応を指します。
ペットロスによりご自身の生活や命に係わる長期的な症状が続くことをペットロス症候群といいます。ペットロスは動物と暮らす者なら誰しもが経験するものであり、決して珍しいことではありません。

ペットを迎えるという覚悟
近年ではペットの寿命も延びておりますが、ほとんどのペットが人よりはるかに早く年を重ね、先に旅立ちます。
食べ物、話す言葉、時間の経過に対する身体の変化も全く異なります。
可愛がるということは愛でるだけではなく、その子の健康維持やリスク回避なども該当します。
以前暮らしていた同じ種類の子であっても、今目の前にいる子は“その子”です。ペットとの暮らしは決して簡単なことではありません。

ペットロスにならないために…
ペットロスにならないために…と書きましたが、ご家族に最もお伝えしたいのは「悲しみに耐えようと頑張りすぎないこと」です。
癒えるまでの時間や方法は個々人で異なります。頑張りすぎてしまうことで、ご家族にとって辛い時間がより長くなってしまうこともあります。
一緒に過ごした大切なペットの旅立ちですから、悲しみや喪失感があるのは当然のことであり、決して間違ったことではありません。多くの動物と触れ合う我々動物病院スタッフも同じです。
虹の橋の向こうではペットたちが大好きなご家族を見守っていると思っています。元気なご家族を見るのがペットにとって何より嬉しいことだと思いますので、いつか元気な姿を見せてあげていただきたいと思います。


ペットロスの乗り越え方はさまざまです。
・時間がゆっくりと解決してくれる
・新しいことにチャレンジしてみる
・ペットとの思い出の場所を巡る
・ペットの写真をたくさん見返す
・新しい子をお迎えする など
お伝えしたいこと
ペットとの別れに対してさまざまな感情を抱くことは間違ったことではありません。
筆者自身もペットとの別れを経験した一人です。
思い返してみると、子どもの頃と大人になってから感じた感覚はまるで違いました。
「悲しい」「寂しい」「悔しい」という気持ちはどちらにも存在しますが、加えて納得感や達成感を感じたのは大人になった今の方がより強いと思います。
もちろん後悔や自責の念を抱くこともありますが、一緒に頑張ってくれたペットの思いや自身に与えてくれた経験、病気・治療の難しさなどを忘れずにいたいと強く思い、次に進む力を持つことができたと感じます。
さらに言えば、周りのスタッフや友人、同居犬の存在もとても大きかったです。
無理に乗り越えようとするわけでなく、ただただ話を聞いてもらう、そばに居てもらうだけでとても救われました。
前述のようにペットは旅立った後も必ずご家族を見守っていると筆者自身思います。
大好きなご家族が元気でいることが、ペットの活力にもなると考えています。
ご家族の生活や健康に支障が出てしまう状況であれば、かかりつけの動物病院やカウンセラーの力を借りてください。
おひとりで抱え込む必要はありません。たくさん頼って大丈夫ですよ。
