【獣医師監修】猫が涙を流すのはなぜ?原因と対処について解説します。

人は嬉しいときや悲しいとき、目にゴミが入った時などに涙が出ます。猫も涙を流しますが人と同じ理由ではなく、目の病気が隠れていることもあります。では猫が涙を流すのはなぜなのでしょうか?
涙には目の乾燥を防ぐことや、外界の刺激や感染から目を保護する、酸素や栄養を供給するなど様々な役割があります。
今回は猫が涙を流す原因や対処について解説します。

片山(獣医師)
子どもの頃は、犬やハムスターなどたくさんの動物に囲まれて育った。獣医師になった今は、家族である犬や猫たちがもっと幸せに暮らせるよう、日々勉強に励んでいる。休日は映画館や自宅で映画鑑賞を楽しんでいる。最近はジム通いもスタートし、「大型犬をひとりでひょいっと運べる獣医師」を目指して筋トレに励んでいる。
猫が涙を流す原因と考えられる病気は?
涙には大きく分けて、目を常に潤して健康な状態を保つための涙と、刺激や痛みなどに反応して分泌される涙があります。目の表面に蓄えることのできる量以上に産生されると目の表面から涙があふれてしまい、涙が外へと流れます。
この状態を「流涙症」といいます。
ではなぜ猫に流涙症が起こるのか、原因に合わせて解説をします。
目への物理的な刺激によって涙が増える場合
目の表面(角膜)に刺激があると、涙の分泌が増えます。
目周囲の構造の問題や異物の混入などによる刺激によって角膜に傷ができたり、炎症が起きることもあります。さらに、感染症に伴う目の炎症や外傷や腫瘍など様々な要因から引き起こされる炎症や痛みに伴って流涙症が起こります。

結膜炎:
結膜は眼瞼の裏側から白目を覆う部分に存在する粘膜であり、様々な原因により結膜炎を引き起こします。猫ではウイルスや細菌などの感染による猫風邪での結膜炎が多く見られます。猫風邪は涙や鼻水などの分泌液を介してほかの猫に感染することがありますが、ウイルスによる猫風邪はワクチンでの予防が重要です。
猫風邪、猫のワクチンに関しては以下の記事をご覧ください。
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眼瞼内反症:
多くは先天的ですが、まぶた(眼瞼)が内側に入り込む(内反)状態です。まつ毛や被毛が角膜に触れてしまい、目に刺激を与えることで涙の量が増えます。その他の症状として目やにが増える、まぶたを細めるようなしぐさが見られることがあります。

異物混入:
埃や毛などの異物が目に混入すると、異物を流し出そうとして涙が多く産生されます。さらに、異物によって角膜に傷や細菌感染がある場合には黄色や緑がかった目やにを伴うことがあります。
角膜潰瘍:
前述の異物混入や外傷などにより角膜に傷ができることによる刺激で涙が出ます。傷の深さによって進行や重症度が異なり、注意が必要です。角膜潰瘍についてはこちらもあわせてご覧ください。
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その他、角膜炎、ぶどう膜炎などの目の疾患では炎症により刺激を伴うため涙が多く出ることがあります。ぶどう膜炎についてはこちらをご覧ください。さらに、鼻炎などでは涙の通り道である鼻涙管へ炎症が波及することで目に炎症を起こし、流涙症となることもあります。
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涙の排出がうまくいかない場合
涙は涙腺や第三眼瞼腺(瞬膜腺)で作られ、鼻涙管を通って鼻へ排出されます。
しかし、鼻涙が狭くなると、涙が鼻へ流れずあふれてしまいます。

鼻涙管閉塞:
炎症や先天的な異常など、何らかの原因で鼻涙管が詰まることによって発生する疾患であり、その詰まりを取り除くことや炎症に対する治療をすることで改善を目指します。
涙を目の表面に保つ力が低下している場合
涙は角膜に酸素や栄養を届ける大切な役割を持っています。涙を目の表面に保つためには、まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌される油分が重要です。
この油分が不足すると涙が目の外へあふれやすくなります。
マイボーム腺機能不全:
マイボーム腺の機能自体が低下していると涙の油分が不足し目の表面に涙を保てなくなり、流涙として外に出ていきます。原因としては加齢、ホルモンバランスの変化、細菌感染によるものとして考えられています。
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猫の涙が多い時の対処は?
いつもより涙の量が多かったり、目やにや充血などその他の症状も見られたりする場合はまずは動物病院を受診し、病気が原因でないかを診察で確認してもらいましょう。
原因によって対処方法はさまざまです。結膜炎など目の炎症に関連する場合では抗菌薬や炎症を抑える目薬を用いて治療を行います。目薬の差し方に関してはこちらもあわせてご参照ください。
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眼瞼内反症などの目の構造に関連する場合では原因となる痛みを取り除くことや、先天的な場合には外科治療が必要となることもあります。

日ごろのケアとしては涙で毛が濡れたままにならないよう、こまめにコットンやガーゼで優しく拭き取り、目の周りを清潔に保つことが重要です。
流涙症では、一般的に「涙やけ」と呼ばれる症状がみられることがあります。涙やけは見た目の問題だけでなく、涙が皮膚に付着し続けることで局所的な皮膚炎を引き起こすこともあります。しかし、目に触れようとすると嫌がる猫も少なくないと思います。動物が嫌がる場合には、ケアをしている最中に目や皮膚を傷つけてしまう可能性もあるため、無理に拭いたりせず、病院スタッフに相談するか、動物病院でのケアを利用するようにしましょう。
まとめ|猫の涙の原因は?
猫が涙を流す原因には、目にゴミが入るなどの刺激、体の構造的な問題、病気などさまざまな要因があります。症状が続く場合は早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
涙が多いときは涙やけや皮膚炎を引き起こすこともあるため、日々のケアで目の周りを清潔に保ち、いつもと違いはないのか普段からよく様子を観察してあげましょう。
犬の流涙に関してはこちらをご覧ください。
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