【獣医師監修】犬や猫の体が固まったり、ビクビクしている!けいれん発作とは?
この記事の内容

南(獣医師 外科部長)
日本獣医がん学会、日本獣医麻酔外科学会に所属し外科部長として多くの手術症例を担当。犬猫からよく好かれ診察を楽しみにして来てくれることも多く、診察しながらずっとモフモフして癒してもらっていることも。見かけによらず大食漢でカップ焼きそばのペヤングが好き。1児の父であり猫と一緒に暮らしている。
犬や猫のけいれん発作の症状は?
「けいれん発作」とは筋肉が急激に収縮・弛緩する現象を指し、症状は個体差がありますが、一般的な症状としては 筋肉の硬直と震え・体や足がひきつる・よだれや失禁です。
けいれん発作は、全身性に起こるけいれんだけでなく、片方の手足や顔だけがつっぱる、手足が一瞬ピクっとなるといった部分的なものや軽い症状などさまざまなものを含みます。
重積発作といわれる1つのけいれん発作が治まる前に次のけいれんが始まる症状が出ることもあります。
けいれん発作は通常数分から数十分続くことがあり、落ち着いた後はしばらくの間、ぼーっとしたり、とぼとぼ歩きまわったりすることが多いです。全身のけいれん発作=てんかんと想像する方も多いと思いますが、けいれん発作はてんかんだけでなく様々な原因で起こります。
また、突然倒れる・意識が消失するものとして「失神」といった症状があります。これは脳に十分な酸素が供給されなくなった時に起こる一時的な意識喪失です。けいれん発作とは異なり、きっかけとなる動作(咳、興奮、運動、排泄時など)によって発症し、一過性で自然に回復し、回復した後はいつも通りとなることが多いです。
犬や猫にけいれん発作が起こる原因は?
脳の機能異常によって起こるてんかん発作や脳腫瘍・脳炎・外傷などによる脳疾患、脳への血流が遮断されてしまう脳虚血などが起こるとけいれん発作を引き起こします。
以下の表はけいれん発作の原因になります。

さらに、けいれん発作のすべてが脳の異常とは限りません。
たとえば中毒を起こす身近なものであるチョコレートの摂取ではカカオに含まれる成分によって神経細胞に興奮が起こり、けいれん発作を起こします。また、セリ科をはじめとした一部の植物、殺虫剤やナメクジ駆除剤、タバコ、医薬品などの誤食による中毒症状としてけいれん発作が起こることがあります。
子犬子猫がごはんを食べられていなかったり、疾患によって身体が消耗状態だったりすると体内の糖が不足し低血糖を起こします。低血糖では神経細胞のエネルギー源である糖が不足することでけいれん発作が起こります。また、糖尿病の子でインスリン治療が効きすぎることでも低血糖性のけいれん発作が起こることもあります。
また、腎不全では腎臓の機能が弱くなることで老廃物をうまく排泄できなくなり尿毒症になったり、肝不全により肝臓での代謝ができなくなることで血液中のアンモニア濃度が上昇したりすることがけいれん発作の原因となります。
特定の疾患に限らず、様々な疾患や体調変化に伴って血液中のミネラルバランスに異常をきたした場合もけいれん発作が起こります。
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てんかんとは?
てんかんは病気の名前で、けいれん発作は症状の名前です。
飼い主様の中でもけいれん発作とてんかんを同義語としていることが多いですが、実際には異なります。
てんかんとは脳の神経細胞に突然発生する激しい電気的興奮によって起こるてんかん発作を繰り返す病気のこと言います。てんかんの症状としてけいれん発作を伴うことも多くあります。
てんかんは①脳腫瘍や脳炎など脳に異常がみられる「構造的てんかん」、②検査をしても異常がない「特発性てんかん」の2つに大きく分けられます。
てんかんについてはこちらもご覧ください。
関連記事
犬や猫にもてんかんがあることはご存じでしょうか?てんかん発作について解説します。

けいれん発作の検査と治療
原因疾患へのアプローチにより治療は異なります。原因疾患を確認するために以下のような検査を行います。
・歩く様子や反射などの神経学的検査
・血液検査
・心機能の検査
・脳波検査
・MRI検査 など

各種検査でけいれん発作を起こすような異常や脳の構造や神経の異常がみられた場合は、その疾患に対する治療を行います。
もし、何かを食べてしまった後にけいれん発作が出ているのであれば中毒の可能性を考え、摂取した物質ごとに適切な治療を行います。その他腎不全、肝不全、低血糖、電解質の異常などが原因と考えられる場合は原因に対する治療を行いながら根本的な原因疾患を探していきます。
これらの検査をしても異常がみられない場合、てんかんと診断されます。
けいれん発作は数秒~数分で治まり、何事もなかったかのように過ごすこともありますが、しばらくうろうろしたりもします。病態が進むと発作を短時間のうちに何度も起こす(群発発作)、発作が止まらない(重積発作)といったことが起こることもあります。
全身が強くガタガタするような発作(強直性発作)は、筋肉の振動を伴うため体温の上昇が起きます。
症状が出てから長い時間継続すると高熱の影響で脳や内臓のタンパク質が不可逆的に変性することで死に至る場合や、回復しても後遺症が残ることもあります。
けいれん発作が止まらない、一度治まってもその後何度も繰り返すことで自宅での管理が難しい場合は入院管理が必要になることもあります。
脳の血流が悪くなったり発作による損傷は、さらに症状を悪化させるだけでなく、発作が起こりやすくなったり、後遺症によって生活の質(QOL)も悪くなってきます。なるべく症状が出ないようにするための薬物治療は動物の将来のためにも大変重要です。
けいれん発作が起きたら?
発作中は犬や猫は無意識で体が勝手に動いている状態ですので、飼い主さんが咬まれたりして大けがに繋がることもありますので注意しましょう。
いきなり起こるけいれん発作を見るとびっくりすると思います。目の前の犬や猫を少しでも落ち着かせようと押さえつけたり、抱っこしたり、顔回りを撫でたりしたいと思う方もいるかもしれませんが、落ち着いて周囲の状況を確認しましょう。
もし気持ちに余裕があるときは動画を撮影しておくと診察時に非常に役に立ちます。状態の確認、経過の様子をそのまま伝えることができるため有用です。
まとめ|この症状が見られたら動物病院へ!
失神や発作が一回きりで落ち着いている場合は、緊急的に治療を受ける必要はないことが多いです。
意識がない、苦しそう、症状が長く続くなどの際には緊急を要する場合がありますので、速やかに動物病院へ連絡しましょう。