【獣医師監修】犬の「てんかん発作」起きたらどうする?原因・症状・対処を解説します
この記事の内容
犬が突然意識を失ってけいれんを起こしたという話を聞いたことはありませんか?愛犬が突然倒れたり、けいれんするように震えていたら驚きますし、どうしたらいいのか不安に思いますよね。今回はこのような症状を起こす原因の一つ、「てんかん」について症状や対処を解説します。

荻野 (獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。
犬のてんかんとその原因
犬の「てんかん」とは?
脳の神経細胞に突然発生する過剰な電気的興奮によって起こるけいれんのような症状を「てんかん発作」といい、これを繰り返す病気のこと「てんかん」といいます。
けいれん発作については以下で詳しく解説しています。
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通常脳の神経細胞では興奮を伝える働きと興奮を抑える働きがバランスをとりながら情報伝達をしています。何らかの原因でこのバランスが崩れ、興奮が過剰になるとてんかん発作が起こりやすくなります。てんかん発作によって脳の損傷や血流障害が起こり、さらなる症状の悪化を招きます。発作が起こりやすくなったり、後遺症が残ってしまうと生活の質(QOL)が低下してしまいます。
犬のてんかんの原因
犬のてんかんは大きく「構造的てんかん」と「特発性てんかん」の2つに分類されます。
- 構造的てんかん
- 脳の構造自体に異常があり、これによって引き起こされているてんかん
- 例:脳腫瘍、脳炎、水頭症
- 特発性てんかん
- 検査をしても脳に明らかな異常が認められないてんかん(原因不明なことを「特発性」といいます)
- 例:遺伝的要因
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犬のてんかん発作の症状は?
犬のてんかんの発作には、前兆や意識が消失しないままの軽度の発作(部分発作)、全般性発作など様々な症状があります。数秒~数分ほどで治まり、しばらくうろうろしたり、何事もなかったかのように過ごす場合もみられます。
発作の前兆
- ・落ち着きがなくそわそわする
- ・吐き気やおなかの違和感
- ・ボーっとする
- ・焦点が定まらない
部分発作
- ・体の一部のけいれんやしびれ
- ・流涎(涎がだらだらでる)
- ・呼んでも反応がない
- ・瞳孔が開いている(散瞳)
- ・泡を噴く
全般性発作
- ・全身がけいれん
- ・意識がなくなる
- ・嘔吐
- ・失禁や脱糞

犬のてんかんで緊急性が高い症状
以下のような症状がみられた場合には命にかかわる可能性があり、迅速な処置を必要とすることがあります。
- ・短時間のうちに何度も発作を繰り返す(群発発作)
- ・発作や失神が10分以上止まらない(重積発作)
- ・意識が無い、呼びかけに反応しない
- ・舌が青い(チアノーゼ)、もしくは白い
- ・全身が強くガタガタする(硬直性発作)
- ・息をしていない、苦しそう
このような症状がみられたらすみやかに病院に連絡しましょう。
強直性発作は筋肉の振動により体温の上昇が起こります。40℃以上の高熱が続くと脳や内臓のタンパク質が変性して死に至る場合や、回復しても後遺症が残ってしまうことがあります。
発作が起きたらどうする?
発作中の犬は無意識に体が勝手に動いている状態のため、意図せずご家族を咬んでしまうなど大怪我に繋がることもありますので注意しましょう。
目の前の犬や猫を少しでも落ち着かせようと押さえつけたり、抱っこしたり、顔回りを撫でたりするとご家族が怪我をするだけでなく、発作を助長する恐れもあります。いざ発作が起きているのを目にすると驚くことと思いますが、落ち着いて周囲の状況を確認し、安全を確保しましょう。
以下の項目を観察、記録できるとよいでしょう。また動画を撮影しておき診察時に見せれば、当時の状態や経過の様子をそのまま伝えることができるため非常に有用です。
- ・発作の時間
- ・発作の回数
- ・どのような発作か
発作が出た、発作がなかなか治まらない時はすぐに動物病院へ連絡をして、受診の指示を仰ぎましょう。
発作のあとは体温が上がりやすいため、アイスノンや小型扇風機で送風しながら移動できるとなおよいでしょう。また発作を繰り返している場合は、タオルやブランケットを使用して抱っこするなど、わんちゃんとご家族の安全を確保して移動しましょう。緊急薬が処方されている場合は指示通りに使用し、いつ何回使用したかを獣医師に伝えましょう。

犬のてんかんの診断
犬のてんかんの診断は複数の検査を組み合わせて行います。
- ・神経学的検査(歩様や反射)
- ・血液検査
- ・心機能の検査
- ・MRI検査
日頃の観察や動画なども、発作が起きた当時の状況が分かり診断の手助けになります。
犬のてんかんの治療
原因により異なりますが、主に抗てんかん薬による薬物治療を行います。
てんかん発作を完全に無くすことは非常に難しく、治療の目標は発作を2~3か月に一回以下に安定させることです。抗てんかん薬を飲みながら自宅での管理となりますが、症状が初めての場合や重症度が高い場合には入院治療も検討されます。特に治療が初めての場合、安定するまでに数ヶ月かかることもあります。
基本的に生涯に渡って投薬が必要です。
定期的に血液検査などを行い、薬の効果や副作用を継続してみていきます。自己判断で投薬を中止したり、減らしたりするとてんかん発作が悪化することもあるため危険です。必ず獣医師の指示に従って投薬を行いましょう。

まとめ|愛犬が「てんかん」になったら?
いつ発作が起きたのか?どれくらい続いたか?など、情報をメモしておくイメージで日記をつけておくのがおすすめです。
どんな時に症状が出るのか気づくことができるきっかけができます。気持ちと状況に余裕がある場合は、動画で記録しておきましょう。症状の頻度や症状はその子その子によって様々です。病院に行こうと思ったら治まっていたり、前回いつ起こったか忘れてしまったりしていることもあるかもしれません。獣医師側の立場でも、いつどういう状況で起こったのかという情報はとても重要ですし、ご家族からしか情報が得られません。
てんかんは強い緊張や興奮しやすい場面、季節の変わり目や台風の時期などに発作を起こしやすいため、特に注意が必要です。
犬のてんかんは一度発症すると、基本的に生涯お薬を飲む必要があります。投薬に困ったらお気軽にスタッフにご相談ください。またこちらの記事では投薬のコツを解説しています。
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