うちの子にしこりができた?!犬や猫のしこりを調べる細胞診検査とは?

皆さんは日ごろ犬や猫を触っていて、しこりを見つけたことがあるでしょうか。そんな時、動物病院で相談して「針を刺して検査をしてみましょう」と言われたことはありませんか?今回は「細胞診検査」について獣医師が解説します。

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湯田(獣医師)

湯田(獣医師)

幼少期から生き物や自然と関わることが好きで、昆虫や魚類、爬虫類と様々な生き物を飼育している。中でも10年間一緒に過ごした大型犬はもはや「妹」。獣医師として特に腫瘍の分野に力を入れたいと考え、日々勉強に励んでいる。甘党、ディズニー好きという女子っぽさもありつつ実は恐竜好き。

細胞診検査とは?

しこりに針を刺して構成する細胞を調べる検査を「細胞診検査」といいます。

「細胞診検査」は体への負担が少なく、広く行われている検査で、「FNA」と「FNB」の2種類が存在します。

また、しこりに対する検査にはこの他にも、「病理組織検査」というものも存在します。これは全身麻酔をかけてしこりそのもの(またはその一部)を摘出し、専門の検査機関に提出することでしこりを構成する細胞をより細かく調べる検査です。場合によっては特殊な染色を施すことで、細胞や組織の性質を正確に証明することもできます。

細胞診検査の種類と特徴

  • FNA
  • 「Fine Needle Aspiration」の略。細い針をしこりに刺してシリンジで吸引することで、しこりを構成する細胞の一部を採取する。

  • FNB
  • 「Fine Needle Biopsy」の略。FNAと同じく細い針をしこりに刺すが、この時シリンジを用いて吸引をしないことがFNAとの違い。

FNAまたはFNBのどちらを選択するかは、しこりの硬さや細胞の採れ具合から判断して決定しますが、しこりの性状によっては全く細胞が採れてこない場合もあります。

どちらの方法も使用する針は採血用の針とほぼ同じ細さで、痛みも強くないことがほとんどです。そのため動物への負担は比較的少ないと考えられ、多くの場合麻酔はかけずに実施が可能です。

ただし、動物の性格やしこりのできた部位などによっては安全のため鎮静処置(意識を低下させ刺激に反応しにくい状態にする処置)を行った上で実施する場合もあります。その場合、鎮静処置自体が可能かを判断するために、事前に血液検査などの検査を実施します。

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細胞診検査の流れ

まず、細胞診検査は皮膚の表面などにしこりができた場合や、肝臓などの内臓に腫瘍が疑われる場合に実施します。内臓を直接観察したり触れたりするには開腹手術を行わないとできないため、エコーを使用してエコーガイド下でしこりの位置を確認しながら針を刺します。この時、針を刺すことによって出血する可能性が考えられます。その場合に、血液凝固系(血液が固まり止血される機能)に問題がないか事前に血液検査によって確認する必要があります。

しこり内部の細胞が採取できたらスライドガラスに塗抹し、細胞が見やすくなるように染色します。その後、院内の顕微鏡で観察、評価をするか外部の検査機関に送り詳しく分析します。

細胞診検査によって何がわかるの?

しこりに対して針を刺し、採取されたしこり内部の細胞を観察することで、それが腫瘍か炎症によるものかを判断するヒントになります。

また、腫瘍だった場合は良性か悪性かの見当をつけられる場合もあります。また、腫瘍の転移の可能性が考えられる場合には、その確認のために実施することもあります。

実際の症例の画像を用いながら紹介していきます。

症例紹介

症例1:肥満細胞腫

定期診察でご来院された13歳、去勢済みの猫です。

身体検査を行うと、首の後ろに4×4mmほどのしこりが見つかり、このしこりに対して細胞診検査を行いました。すると、次の写真で示すような細胞が観察されました。

細胞の中の構造をよく観察すると、水色の矢印で示すような赤色の顆粒が見えます。これは、肥満細胞の特徴です。
この症例は外科手術(腫瘍摘出術)によってしこりを切除しました。その後病理組織検査で「肥満細胞腫」と診断されました。肥満細胞腫に関しては、こちらでもご紹介しておりますのでご覧ください。

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症例2:リンパ腫

右後肢にできたしこりが大きくなっているとのことでご来院された12歳、去勢済みの犬です。

身体検査では、右後肢のしこりに加えて腋窩、下顎、鼠径部のリンパ節の腫れが認められました。右後肢のしこりに対して細胞診検査を行うと、下の写真のような細胞が観察されました。

これらの細胞のほとんどは「リンパ芽球」といい、「リンパ球」になる前の段階の細胞です。
このように、リンパ球になろうとする細胞が異常に多いことはリンパ球が腫瘍性に増殖していると考えられます。また、赤い丸で示すように細胞の大きさも様々であり(これを大小不同といいます)、黄色の矢印で示すように細胞の核の大きさや形がばらばらであること(これを核の異型性といいます)など悪性腫瘍の特徴がみられることから、「リンパ腫」の可能性がとても高いと判断されました。犬のリンパ腫に関しては、こちらでもご紹介しておりますのでご覧ください。

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まとめ

症例1、症例2のように細胞診検査を実施することでしこりが何によるものかを予測することができます。

ただし、細胞診検査は採取できたごく一部の細胞のみでの評価になるため、確定的な診断ができるわけではありません。

採血や画像検査など、様々な検査を組み合わせて評価をし、最終的には病理組織検査で確定的な診断が可能となります。

最後に、このような小さなしこりでも早期に発見するためには、日々全身をよく触っていただくことや、定期的な診察が非常に重要です。

普段はなかったしこりを見つけた、以前からあったしこりが大きくなってきたなど気になることがあれば動物病院で相談しましょう。

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