【動物病院が教える】シェルティ(シェットランド・シープドッグ)の特徴・性格・かかりやすい病気とは?
この記事の内容
品種シリーズ第3弾!シェルティ編です。
もふもふした体としっぽに、すっとした鼻、なんだか名犬ラッシーにでてくる犬に似ているような…?
ラッシーのモデルであるラフコリーとの違いは体格差だけではなく、実は全く別の犬種なんです!
愛称でシェルティと呼ばれる、この犬種の正式名称はシェットランド・シープドッグ。今回はシェルティの魅力や特徴をたっぷりとご紹介します。


舘野(愛玩動物看護師)
ご家族から声をかけていただきやすい雰囲気作りを心がけています。現在は整形外科部門を中心に強化に精を出している。シェルティが大好きで好きなところを語り始めると止まらなくなる一面も。趣味は推理小説を読むこと。個人的に好きな作家は赤川次郎と西村京太郎。
シェルティの特徴
標準体重は8~10kg程度、体高は35~38㎝程度で、日本では中型犬に分類されていますが、実際には5kg程度の小型犬サイズから15kgを超えるなど個体によって差があります。
豊かな被毛を持ち、少し垂れ目の優し気な目が可愛らしく、マズルと目の境に「ストップ」と呼ばれる段差があるのが特徴的な犬種です。
子犬の頃は耳先端部が垂れていますが、成長するにつれて立ち耳になります。垂れ耳を維持するには子犬の頃から矯正が必要です。
よく似ていると言われるボーダー・コリーやラフコリーとは体格が異なるほか、頭やマズルの形が異なります。
ボーダー・コリーの標準体重は15~25kg程度、体高は53㎝程度で中型犬に分類され、しなやかな体とシェルティよりも丸みを帯びた顔立ちをしています。

ラフコリーはシェルティと原産国を同じくする犬種で、標準体重は30kg程度、体高は55~60㎝程度の大型犬に属します。
体格はもちろんのこと、ラフコリーにはストップがなくおでこからスッと伸びたマズルをしています。

シェルティはラフコリーやボーダー・コリーと共に古い歴史を持つ牧羊犬のひとつに数えられ、遡れば起源を同じくすると言われています。
では、ほかの犬種に比べて小型なのはどうしてでしょうか?
原産地域であるイギリスのスコットランドにあるシェットランド諸島は、多くが寒く荒涼とした厳しい土地です。
このため消費エネルギーや食事を最小限にする必要があり、この生存条件に適応するためこの地域の動物や植物は小型化したと考えられています。
シェルティの性格
とても賢くやさしい性格で、家族やそれと同等と認めた人や動物に対してはとても甘えん坊な姿をみせてくれます。
子供のいる家庭では、ガードマンのように寄り添って過ごしてくれる愛情深い一面も。
一方で臆病なところがあり、初対面や普段あまり会わない人に対してはなかなか打ち解けるられないところがあります。
もちろん個体差はありますが、家のなかでは家族が大好きで愛嬌たっぷり、なんて飼い主からしたらうれしくて堪りませんよね!
シェルティの毛色
JKCに認められている毛色は全部で5種類です。
- セーブル
- トライカラー
- ブルーマール
- ブラック&ホワイト(バイブラック)
- ブラック&タン
ブラック&タンは近年ではほとんどみられません。
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ブルーマールでは眼にも青が発現することがあり、左右で色の異なるオッドアイも少なくありません。
しかし、この毛色同士の交配で生まれる個体は死産、または短命のリスクが非常に高いことがわかっています。
また多くは聴覚障害を伴い、時には視覚障害をも伴い生まれることがあります。
こういった先天性の異常にはマール遺伝子が関与しており、特にブルーマール同士で交配することは原則禁止されています。

シェルティとの暮らし
シェルティは賢く機敏で、運動能力に優れたとても体力のある犬種ですので、運動不足はいたずらを助長してしまったり肥満の原因になってしまいます。
飼い主と遊ぶことや走ることが大好きなので、お散歩やおもちゃで一緒に遊ぶなど運動する時間をしっかり確保してあげましょう。
また、お散歩に行けないときはノーズワークや芸を教えるなど、頭を使った遊びで発散してあげるのも有効です。
シェルティは牧羊犬・牧畜犬に分類されていますが、実際には放牧した家畜を誘導するというより敷地内の家畜を守る番犬のような役割をしていたとも考えられています。
その起源から車など動くものを追いかける、来客に対して吠えるといった行動をとりやすい性質があります。
興奮のきっかけとなる前にお座りなどで落ち着かせ、指示を出す人間に集中させてあげましょう。
そしてできた事をしっかり褒めてあげることが大切です!非常に頭の良い犬種ですので、何がしてよいこと、何がしてはいけないことかをわかりやすく提示するのがポイントです。
また臆病な側面を持ち合わせていますので、社会化期にたくさんの経験や行動に馴らしていきましょう。
シェルティのお手入れ
シェルティは寒い地域の犬種らしく、豊富な下毛をもつダブルコートです。
絡みやすい毛質で毛玉もできやすく、本来落ちるはずの抜け毛を巻き込んでしまい、下毛が過剰になり皮膚の健康が損なわれるほか熱中症になりやすい原因となります。
定期的にトリミングを利用し、毎日のブラッシングでこまめなお手入れをしましょう!
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シェルティがかかりやすい病気
コリーアイ(コリー眼異常)
コリー種に多く発症する眼の遺伝性疾患です。
眼を構成する網膜、脈絡膜、強膜などに異常をきたす先天性の疾患で、重症度に応じてグレード1~5に分類されており、軽度では無症状~視覚障害、重度では失明といった症状が出ます。
治療法は確立されておらず、幼齢のうちに眼科検査を行うことが推奨されます。
進行性網膜委縮
病名の通り、網膜が徐々に変性して薄くなっていく疾患で、初期では無症状、進行とともに視力障害(特に夜盲症)を示します。
コリーアイ同様遺伝的な要因があるといわれ、治療法は確立されていません。
甲状腺機能低下症
甲状腺からホルモン分泌が減少することで起こる疾患です。
多くは甲状腺そのものに原因がある原発性機能低下で、免疫介在性疾患や萎縮の影響により分泌量が減少します。
甲状腺ホルモンは代謝にかかわるホルモンで、全身に様々な影響を及ぼします。
分泌が低下すると元気がなくなる、抜け毛が増える、体重増加、皮膚が黒ずむといった症状や、皮膚粘液水腫が顔に起こると悲しそうな表情(悲観的顔貌)を呈します。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
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犬の毛つやが悪くなってきた、毛がよく抜ける、食欲はかわらないのに太ってきた。それ甲状腺機能低下症かもしれません。
高コレステロール血症
血液中のコレステロール値が高くなる病気ですが、初期ではほとんど症状はありません。
遺伝子異常により胆肝系の細胞が障害され、胆のう粘液嚢腫を起こしやすいといわれています。
腫瘍
要因は明らかになっていませんが、腫瘍発生の多い犬種と言われています。
被毛が密であるがゆえに、しこりに気付きにくいため、日ごろから体を触ってあげるなど早期発見してあげることが大切です。
ケアや遊びの間に体のチェックも欠かさないようにしてあげましょう!
シェルティに注意が必要な薬
MDR1遺伝子は毒性のある化合物や薬剤成分を細胞外へ運ぶ機構に関与しています。
この遺伝子が欠損していると薬が過剰に作用し、重大な副作用を引き起こしかねません。
コリー種はMDR1遺伝子の欠損や異常を伴って生まれることがあり、シェルティでは約30%、最も多いコリーでは60%近くに出現するという報告があります。
フィラリア予防薬にも含まれる成分のモキシデクチン、イベルメクチンは特に慎重に使用すべきと言われる薬剤に挙げられますが、予防薬で使用される場合はごく低用量であり、副作用はほとんどありません。
疥癬や毛包虫症など、ほかの治療で高用量を使用する際はよく獣医師とお話をして心配事はなくしておきましょう。
まとめ|シェルティってどんな犬?
シェルティは賢く元気いっぱいで飼い主が大好きな犬種ということがおわかりいただけたでしょうか。
傍目にはすぐに気づきにくい病気もありますので、定期的な健康診断や日頃から体を触り変化や異常にいち早く気付くことがとても大切です。
その犬種がもともと持つ特性やかかりやすい疾患など、知っていれば対策が講じやすいですよね。
また、子犬でも成犬でも愛らしいシェルティの魅力が、少しでもお伝えできていれば幸いです。







