【獣医師が解説】犬の白目が赤い?充血の原因や考えられる病気、受診の目安について解説します
この記事の内容
「なんだか目が赤い気がする」「このままで大丈夫かな?」愛犬の目の変化に気づいたとき、不安になりますよね。
犬も、目ヤニが増えたり、目が赤く充血したりすることがあります。
その原因はさまざまで、春先には砂や花粉などの物理的刺激によって症状が現れる子も増えますが、「そのうち治るかな」と放置してしまうと、場合によっては失明の危険を伴うこともあります。
今回は、目が赤く充血する原因や考えられる病気、受診の目安について解説します。

荻野 (獣医師)
動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。
犬の目の充血とは?
充血とは、目の表面にある血管が広がって目立つことで赤く見える状態をいいます。
炎症や乾燥、ほこりや花粉などの刺激、アレルギー反応などがきっかけとなり、比較的よく見られる変化です。
犬の目が赤くなっている場合、充血だけでなく、出血によるものもあります。
出血とは、血管が傷つき、目の中や白目の部分に血液がたまることで赤く見える状態をいいます。
原因は外傷だけとは限らず、目の内部の病気や全身の異常が関係している場合もあります。
同じ「赤い目」でも、その背景にある原因は大きく異なることがあります。
赤みの広がり方や色の濃さ、痛がる様子がないかなどをあわせて観察することが大切です。

犬の目が充血する原因や考えられる病気は?
犬の目が充血している場合、赤みの出ている部位や出方によって原因が異なります。
白目が赤い場合
白目全体が真っ赤に見えるときは、頭部や目に外傷や強い衝撃が加わり、出血している可能性があります。
一方で、白目の血管が浮き出るように目立っている場合は、血管が広がっている(怒張している)状態です。これは目の表面の炎症による充血だけでなく、目の奥の血管が拡張することで赤く見えていることもあります。このような充血の原因としては、角結膜の外傷、緑内障、乾性角結膜炎(ドライアイ)、水晶体脱臼、白内障、猫風邪や細菌などの感染症、アレルギーなどが挙げられます。原因によって治療方法や緊急性が大きく異なるため、正確な診断を受けることが大切です。
目の病気については以下の記事で解説しています。
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黒目の奥が赤い場合
犬の黒目が赤く見える場合は、目の内部で出血が起きている可能性があります。
原因としては、網膜剥離、ぶどう膜炎、眼内腫瘍、外傷などが考えられます。
いずれも視力に大きく影響する可能性があるため、早めの受診が重要です。
黒目の表面に血管が入り込んでいる場合
黒目は角膜と呼ばれる透明な組織で覆われており、本来は血管が存在しません。そのため、通常は透き通って見えるのが正常な状態です。
しかし、白目の部分から角膜に血管が入り込む現象(血管新生)が起きると、黒目が赤くなって見えます。原因としては、異所性睫毛(逆さまつげ)、乾性角結膜炎(ドライアイ)、角膜への外傷、眼瞼外反症、眼瞼内反症、猫風邪や細菌などの感染症などが挙げられます。
角膜に血管が入り込むということは、目に慢性的な刺激や炎症が起きているサインでもあるため、早めの受診が大切です。
この他に、目頭にポコッと赤く小さなサクランボのような丸いもの飛び出てくる「チェリーアイ」という病気もあります。
体調がすぐれない時や衝撃を受けた時、興奮した時などに瞬膜(第三眼瞼)という部位がまぶたの外側に飛び出してくることを指し、別名は瞬膜腺突出とも言います。
チェリーアイについて詳しくはこちらをご覧ください。
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目が赤くなりやすい犬種は?
目が赤くなりやすい犬種にはいくつか特徴があります。
生まれつき目が大きく飛び出しているシーズー、パグ、ペキニーズ、キャバリアや、いわゆる短頭種で鼻ペチャと呼ばれる犬種は日ごろからのケアと観察が必要になります。
上記品種は品種的特徴によって症状を起こしやすく、点眼薬だけでは治らず手術が必要になるケースもあります。
また、柴犬は緑内障が多いため、ご自宅では左右の眼球の大きさを比較したり目を気にする仕草などがないか観察してあげるといいでしょう。

動物病院を受診するタイミングは?
目の充血があるときは、赤みだけでなく全身の様子もあわせて確認することが大切です。
次のような症状がみられるときは、犬や猫が強い不快感や痛みを感じているサインかもしれません。
このような症状がみられた場合は自己判断せず、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
- ・涙目が3日以上続く
- ・目ヤニを拭きとってもすぐにまた目ヤニがでる
- ・目ヤニが黄色い、緑色
- ・目が開かない
- ・しょぼしょぼしている
- ・目を気にして掻く、床やソファーに擦りつける
- ・元気食欲がない
- ・嘔吐
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動物病院ではどんな検査をするの?
動物病院で行われる検査は、症状や診察時の所見によって異なります。
まずは目の構造や傷の有無、炎症の程度などを丁寧に確認します。
目に原因があると考えられる場合は、症状に応じて以下のような眼科検査を行います。
- ・フルオロセイン染色
黄色の染色液を目の表面に点眼し、角膜の傷があるところ見やすくする検査です。
角膜炎、角膜潰瘍、デスメ膜瘤などがわかります。また、染色液が鼻涙管を通過して鼻孔から出ているのを確認することもできます。
- ・スリットランプ検査
スリットランプという検査デバイスを使用して、スリット状の光を斜めから当てて、角膜、前眼房、虹彩、水晶体、硝子体の断面図を検査します。
濁り、炎症、異常な形態を直接目で検査することにより、角膜潰瘍、角膜浮腫、ぶどう膜炎、白内障、水晶体脱臼などを診断します。
- ・眼圧検査
眼圧計を使って眼の圧を測定する検査です。
犬の眼圧の正常値は10〜20mmHg、猫の眼圧の正常値は15〜25mmHgと言われています。 この眼圧が犬では25mmHg、猫では27mmHgを超えていた場合に緑内障と診断します。低値の場合、ぶどう膜炎などの可能性があります。
- ・眼底検査
眼底カメラや倒像鏡を使って、肉眼では見えない眼底(網膜や視神経乳頭など)の状況を検査します。光を当てて行う検査で、散瞳する点眼液を使用します。
- ・シルマーティアテスト
涙の分泌量を測定する検査です。細長い試験紙を目と下まぶたの間に挟んで、1分間で涙がどれくらいでているのか検査する方法です。涙産生能の評価‥色素性角膜炎、粘液性眼脂、角膜潰瘍、ドライアイ、乾性角膜炎の診断に使用します。
- ・超音波検査
眼球に超音波をあてて、眼球の大きさや眼球の中の構造を観察する検査です。
目の中の形状を検査し、水晶体脱臼や網膜剥離、眼内腫瘍などの診断に使用します。
- ・網膜電位図検査
ERG( Electroretinography)検査のことで、網膜に強い光を当てその電位変化を記録し、その波形から網膜の働きが正常かどうか調べる検査です。進行性網膜萎縮や突発性後天性網膜変性症などを診断する際に使用します。
また、どの部分に異常があるのかを特定するために、目だけでなく、全身の状態もあわせて診察することがあります。
全身の高血圧、リンパ腫などの腫瘍、血液の凝固異常などが原因で充血がみられることがあるためです。
そのため、必要に応じて血液検査、血圧測定、超音波検査、CT検査など疑わしい疾患に合わせて詳しく調べていきます。
目の病気の中には、全身の疾患が関係している場合もあるため、必要に応じて追加の検査を行い、総合的に診断していくことが大切です。
犬の充血ではどのような治療を行うの?
充血の治療は、原因となっている病気に応じて行います。
内科的治療(点眼治療)
多くの場合、ご自宅での定期的な点眼治療が中心となります。
場合によって、目を手足などで擦らないようにエリザベスカラーの着用していただくこともあります。
人間のように眼帯をつけて目を閉じていてほしくても犬猫にはそれが難しいため、原因や目の状態により治療法を決定します。
ご自宅での点眼がうまくできないとお悩みの方はこちらをご参考になさってください。
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外科的治療
角膜に穴があいて(角膜穿孔)充血があり、点眼だけでは良くならない場合には外科的治療として瞬膜フラップという治療法があります。
これは角膜が破けそうな状態、破けてしまったようなケースで行われ、瞬膜と眼球結膜を利用して一定期間、物理的に目を開けないようにして治療するという方法です。
最近では瞬膜フラップの代わりに動物用のコンタクトレンズを装着する方法やまぶたを一時的に部分縫合する方法も選択肢のひとつとなります。
緑内障に対する治療
急性の緑内障による充血の場合には点眼薬での治療がメインとなります。点眼薬でコントロールできない場合、前房シャント術などの外科治療が推奨されることもあります。
まとめ|愛犬の目が赤いことに気が付いたら?
愛犬の目が赤くなっていることに気づいたら、まずは落ち着いて様子を確認しましょう。
はじめに、目の中にゴミや草などの異物が入っていないかをそっと確認してください。
もしも犬が自分で目をこすってしまうと、傷が悪化したり炎症が広がったりするおそれがあります。
なるべく目を触らせないようにしましょう。自宅にエリザベスカラーがある場合は、早めに装着してあげると安心です。
ご家族はいつもと犬猫の様子が違うことに気付き、早く受診することが大切です。
目の症状は時に発見が遅くなることもありますので、気になる様子がある場合には動物病院にご相談ください。





