犬や猫のマーキングにお悩みの方必見!なぜマーキングしてしまうのか解説いたします。
この記事の内容
犬や猫と過ごしていると、絨毯や壁、柱などにおしっこをかけられてしまい、汚れや臭いが残り困ったことなどありませんか?
掃除してもまた同じところにされたり、場所を移動しても同じ絨毯にされたり、なんてこともありますよね。このような行動をマーキングといいます。
マーキングとは主に尿や分泌物を利用して対象物にかけるスプレー行動の事をいい、雄でも雌でも見られる行動です。この行動の意味を理解し、軽減するための対策や粗相との違い、病気が潜んでいる可能性についても説明していきます。

伊川(愛玩動物看護師)
物心つく頃には動物に触れ合うことが多く、将来の夢は動物関連の仕事に就くことだった。看護師として外科の勉強や、当院をみなさまに周知してもらえるようHP等の内容を充実させることに奮闘中。また、シニア猫との暮らしの経験からシニアになってもより良い生活をできるようお手伝いしております。フェレット大好き、フェレット仲間募集中!
犬や猫がマーキングする理由
なぜマーキングをするのでしょうか?理由として次のようなことが考えられます。
・自分の縄張りを主張するため
・不安や寂しさ、怒られたことなどのストレスを紛らわせるため
・性成熟による発情から異性へのアピールのため
・においを使って自己紹介をしているため
マーキング行動がみられた場合は、なぜこの行動をしているのかよく観察をして理由を考えてから対応の仕方を考える必要があります。
猫のマーキング行動
猫のマーキングはどのような行動があるのでしょうか?
猫は人にはわからない特有のにおいを持っており、この自分のにおいを様々な場所につけてマーキングをしているといわれています。
おしっこをかけるスプレー行動以外では、爪とぎや頬をこすりつけたり、尻尾をすりすりと擦りつけたりしてにおいをつけることもあります。猫特有のにおいを出す場所は様々な場所にあり、目と耳の間にある皮脂腺や口周囲の皮脂腺、足の肉球にある汗腺や分泌腺、肛門周囲の分泌腺、成熟した猫(特に雄)にある尻尾の付け根にある尾線と体のいたるところからにおいを出してマーキングを行っています。
尿マーキング
猫が尾を立てて垂直面に少量の尿をスプレーすることがあります。これは去勢をしていない成熟した雄猫や避妊していない雌猫(発情中が特に多い)に多く見られ、パートナー猫の募集をしている宣言をするためにみられる行動です。普通の尿よりも色が少し濁り、人の鼻でもわかる強烈なにおいがします。
その他に、縄張りの確認、自己紹介、ストレス軽減などの目的で行うこともあります。
爪とぎ
猫は背伸びをし、精一杯高いところで爪を研ぐことで視覚的なマーキングを行い縄張りの主張や自分の体の大きさのアピールを行っているともいわれています。
マーキング以外にストレスの発散や爪を整えるために爪を研いでいることもあります。
頬をこする
猫が家族に頬を擦りつけたり、家具や柱に擦りつけてにおいをつけたりして、家中にマーキングをして縄張りの主張をします。目を閉じて気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしリラックスしているのは大好きな家族に自分のにおいをつけて安心している証拠でもあります。
犬のマーキング行動
犬が足をあげて様々な場所に少量のおしっこをかける行為のこともマーキングです。なぜこのような行為をするのでしょうか?
縄張りの主張
雄犬が足をあげて高い位置におしっこをかける事で他の犬に体の大きさや強さをアピールしていると言われています。またマーキングは性成熟とともに出てくる行動で生後6ヶ月頃からはじまり、この時期から縄張り意識が芽生え始めるためマーキング行動が出てくると言われています。
自己紹介
発情中の雌犬への存在を知らせる以外におしっこには自分の情報が詰まっていると言われ、マーキングすることで名刺交換をしているともいわれています。
心理的要因
犬は怒られてしまったり、不安を感じたりすると決められたトイレ以外で排泄をしてしまうことがあります。これは自分のにおいを嗅ぐことで落ち着く性質を持っているために生じる行動だといわれています。また、コミュニケーション不足により家族に注目してもらうために行うこともあるので、なぜマーキングをしてしまったのかよく観察して対応をしていきましょう。
ではどのように対処をすればいいのでしょうか?
一般的に犬も猫も性成熟により起こり始める行動のため早期の避妊・去勢手術を行うことで尿のマーキング行動が減るという研究結果が出ています。スプレー行動が始まってからだとマーキング癖が抜けず、治らないこともありますので早めの手術が推奨されます。
猫のマーキングの対処法
猫の爪とぎマーキングにおける対処法としては猫の好みに応じて十分に背伸びをした体勢でも爪がとげる高さのものや、水平に爪とぎが出来る場所に置き、動かないように固定をしてあげるとよいでしょう。
また、猫はきれい好きで排泄物が残っているとトイレに入らないでトイレ以外で粗相をしてしまうこともありますので、猫の頭数にプラス1つはトイレを設置してあげることが理想です。
エネルギーの発散として遊びの時間を増やすことで心因的ストレスを減らし、リラックスをさせてあげることもマーキング予防になります。
猫が不安感からトイレ以外の場所での排泄行動をする場合は、猫の頬から分泌される天然のフェロモンを人工的に作った「フェリウェイ」を使うと効果がある場合もあります。猫が何に不安を感じているのかを考え環境を整えてあげましょう。フェリウェイの効能についての詳細は以下のリンクをご覧ください。
前述していますが、トイレ以外の場所でする際に家族の関心を引こうとしてする場合もあります。たとえ違う場所にしたとしても構わずに無視をしてさっと臭いを残さないように片付けたり、物理的におしっこを出来ないようにしたり、トイレを増やしてあげたりとトイレの環境を整えてあげる事も大切です。環境整備においては次のリンクを参照してください。
病気予防のためにも重要!猫にとって快適なトイレ環境を整えましょう
犬のマーキングの対処法
犬がトイレトレーニングが完了しているにも関わらず、トイレ以外の場所でおしっこをしてしまう場合はなぜ失敗をしてしまったのかを考えないといけません。
家族に感心を示して欲しくてトイレ以外の場所にする場合は、猫と同じく叱るのではなく失敗した場所を静かに片付け、臭いをしっかりと消しましょう。叱ると構ってもらえたと思い、次から構って欲しい時にトイレ以外の場所に排尿する事がありますので注意が必要です。遊ぶ時間やトレーニングの時間を作るなどコミュニケーションの取り方を見直してみましょう。トレーニング方法の詳細は次のリンクをご覧ください。
犬も猫もトイレトレーニングは必須です!どのようにトレーニングするかコツをお教えします。
また運動不足などによる欲求不満でトイレをわざと違うところにすることもあります。エネルギーの発散はしっかり出来ているのか、要求は満たされているのかを考え散歩を長めにするなどの工夫をしてみましょう。散歩の詳細は次のリンクをご覧ください。
犬との楽しい時間をすごしましょう。散歩はこんないいことがあります。
ちなみに電柱へのマーキングは腐食の原因になりますのでペットシーツをしいて排尿させてあげることで社会的マナーを守ることに繋がりますのでお散歩の際はペットシーツも持ち歩くといいでしょう。
興奮性の排尿の場合は急に興奮しないように声のかけ方を工夫したり落ち着く練習をしたりして排尿の失敗を防いだり、オムツ等を使用して失敗を防ぐことも可能です。どのようにしてあげる必要があるのかを考えマナーウェアなどを上手に取り入れていくのもいいでしょう。オムツやマナーウェアについての詳細は以下のリンクをご覧ください。
病院へ行く必要性は?
病気が原因でトイレ以外の場所で排泄してしまったり、何度もトイレに行く様子が見られたりすることもあるため、いつもと様子が違うなと感じたまずは動物病院にご相談ください。
膀胱炎や尿石症などの泌尿器系の病気やホルモン異常などの内分泌疾患が関与していることもありますので、普段から排尿の様子、回数を見ておくと変化がわかりやすいので確認しておくとよいでしょう。病気の詳細は以下のリンクをご覧ください。
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最後に
犬や猫のマーキングにも様々な要因があることがお分かりいただけたのではないでしょうか?
トイレトレーニングの重要性や信頼関係の構築、欲求を満たしてあげて普段の様子をしっかり観察する事でマーキングをする要因がなにか見極めて対処することも出来ます。マーキングでの頻尿なのか病気が原因で頻尿なのかわからない等、お困りの場合はかかりつけの動物病院へご相談しましょう。