【獣医師が解説】犬の歯周病は放置すると全身に影響します。歯周病のサインや受診の目途とは?

「あれ?うちの子最近、口の臭いが気になる」と思った経験はありませんか?

気になってはいるけれど、「元気も食欲もあるし、まだ若いから…」と様子を見ているご家族も多いかと思います。その口臭、歯周病のサインかもしれません!

3歳以上の犬では、約80%以上が歯周病に罹患していると言われています。

今回は犬の歯周病のサインや治療、受診の目安、予防方法を獣医師が解説します。

\この記事を書いた人/
荻野 (獣医師)

荻野 (獣医師)

動物とご家族のため日々丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。日本獣医輸血研究会で動物の正しい献血・輸血の知識を日本全国に広めるために講演、書籍執筆など活動中。3児の父で休日はいつも子供たちに揉まれて育児に奮闘している。趣味はダイビング、スキーと意外とアクティブ。

犬の歯周病とは?

歯根まで細菌が入り込み炎症やよだれ、口臭といった症状がみられる状態を歯周病といいます。

歯石の付着具合や歯肉の炎症の程度によって、グレード0~4に分けられます。

歯根膿瘍の症状01

歯垢は食事をしてから6~8時間程度で歯の表面につき始め、そのまま放置しておくと歯石化します。人間ではおよそ20日ですが、犬では2~3日で歯石になると言われています。犬は口腔内がアルカリ性であるため石灰化が起こりやすく、人間に比べてはるかに短い時間で歯垢が歯石になるのです。

犬の歯の構造についてはこちらの記事をご参照ください。

犬や猫の歯はどうなっているの?正常な犬と猫の歯の構造について

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ただ歯石が付いていくだけなら問題はないように思えますが、歯石は細菌の塊である歯垢と唾液中のカルシウムやマグネシウムなどが結びついて石灰化したものです。表面はざらざらしているためさらに歯垢が付きやすく、歯周病になりやすい環境を作ります。その結果どんどん歯石も増えていき、歯石と歯肉の間や歯根まで細菌が入り込み増殖することによって、歯肉や歯根の炎症を起こします。

歯肉や歯根が脆くなってしまうと、細菌の塊が血管に入り込み口腔内の病気だけでは済まない可能性があります。

人でも高齢者の死因となっている誤嚥性肺炎の原因菌は歯周病菌であると言われており、犬も歯周病を予防することはとても重要であると考えられています。

犬の歯周病のサイン(症状)

歯周病の症状には以下のようなものが挙げられます。

  • ・歯垢や歯石の付着
  • ・口臭の悪化
  • ・よだれの増加
  • ・歯肉に腫れや赤みがある
  • ・歯肉から出血がある
  • ・歯肉が痩せている
  • ・歯がぐらついたり抜けてしまう

これらが進行していくと歯と歯肉の境目(歯周ポケット)が深くなり、歯を支える土台が溶けて歯が動くようになります。歯根に膿が溜まる「歯根膿瘍(根尖膿瘍)」になってしまった場合には抜歯の処置が必要です。

以下のような症状がみらた場合は重症度が高いことが予想されるため、なるべく早くに病院に相談しましょう。

  • ・眼の下や頬が腫れる
  • ・くしゃみや鼻血が出る(口腔から鼻腔にかけて穴が開く)
  • ・口の中や頬から膿が出る
  • ・下顎が曲がっている(顎の骨が溶けて骨折している)

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犬の歯周病が悪化する要因

犬の歯周病が悪化する要因には以下のようなものがあります。

  • ・乳歯遺残
  • ・不整咬合(咬み合わせ不良)
  • ・歯肉の痩せ細り

「乳歯遺残」とは通常永久歯と生え変わる乳歯が正常に抜けず、永久歯と重なり合って遺残して(残って)いる状態です。小型犬で多く見られ、咬み合わせが悪くなる「不整咬合」に繋がります。また不整咬合はフレンチブルドッグなどの短頭種でも多くみられます。

これらは歯垢が非常につきやすく、歯周病になりやすい環境であると言えます。

乳歯遺残についてはこちらで詳しく解説しています。

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犬の歯周病の治療は?

病院での治療

犬の歯周病治療としては抗生剤や消炎鎮痛薬の投与といった内科的治療と、全身麻酔下にて歯垢や歯石の除去、抜歯をする外科的治療が行われます。

一度付着した歯石は歯みがきでは除去することができないため、専用の機器を使ってきれいにします。

「無麻酔での歯石除去をやっていますか?」と度々お問い合わせいただくことがあります。全身麻酔には少なからずリスクを伴いますが、処置中に顔が動くと予期せぬ怪我をする恐れがあります。無麻酔での処置は無理な力が加わることで下顎が骨折する危険や、施術自体が恐怖感を植え付けトラウマになることでホームケアが困難になることもあります。また歯周ポケット内の歯石を除去は痛みを伴うことがあり、無麻酔下では除去が困難なため、ぱっと見じはきれいになったとしても見えないところで歯周病は進行してしまいます。

歯科処置を安全かつ隅々までしっかり実施するためには全身麻酔が必要なのです。

スケーリングなどの歯の処置に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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ホームケア

歯石の付着を予防する手段として、自宅でのケアがとても重要です。歯ブラシやデンタルクロスを使用して、継続したケアを心がけましょう。

ホームケアについては以下の記事をご参照ください。

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まとめ|歯周病かも…と思ったら病院へ!

歯のトラブルは食事や遊びにも影響し、わんちゃんのQOL(生活の質)低下にも繋がります。

口臭が気になる、遊びや歯みがきの時に出血しているなど歯周病と思われる症状がみられたら、まずは病院で口の中の状態をチェックしてもらいましょう!

すぐに治まったから、まだ若いからと放っておかずに早めに対処をするのが重要です。犬の歯周病は今やシニアの子だけにある病気ではありません。健康診断や定期的な診察の際に、歯石の付着や歯周病の有無をよくみてもらいましょう。より多くの歯を長く残すためにも、気になる症状やケアでお悩みの際はお気軽にスタッフにご相談ください。

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