【獣医師監修】薬浴療法とは?犬の皮膚トラブルに悩んでいる方へ、治療のひとつである薬用シャンプー

\この記事を書いた人/
野地(トリマー)

野地(トリマー)

丁寧なトリミングを心がけており、おかげさまでたくさんのご指名を頂いています。診察は苦手な子でもトリミングの時間は好きになれるような工夫をしていることで懐いてくれる子が多い。趣味は漫画読書で中でもスラムダンクがいち押し。一緒に暮らしているハムスターの「ハム吸い」をして日々癒されている。

薬浴ってなに?

薬浴とは治療を目的に薬用シャンプーを使って行う入浴方法です。

犬の皮膚疾患や外部寄生虫の治療、炎症の緩和や皮膚の清潔保持などに適用されます。動物病院で行う場合とご自宅やトリミングサロンで行う場合がありますが、いずれも皮膚の状態に合わせて獣医師の処方、指示が必要です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

薬浴はどんな症状に適しているのか?

薬用シャンプーは薬用成分がはいっており、皮膚症状に応じて使用します。

主に膿皮症、マラセチア性皮膚炎、脂漏症などの治療に使われており、犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも保湿シャンプーの併用が治療の一部として推奨されています。

近年は動物の治療においても耐性菌の発生を抑えるために、計画性のない抗生物質の投与を避ける必要があり、薬用シャンプーの使用が見直されています。

膿皮症や犬アトピー性皮膚炎に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

膿皮症

関連記事

膿皮症

【皮膚科認定医解説】犬のアトピー性皮膚炎とは?原因や症状、治療方法について解説します

関連記事

【皮膚科認定医解説】犬のアトピー性皮膚炎とは?原因や症状、治療方法について解説します

犬の薬浴頻度

シャンプーは皮膚のターンオーバーに合わせて行うことが理想です。

皮膚のターンオーバーは通常約3週間(約22日)とされていますが、脂漏体質(皮脂分泌が過剰)のアメリカンコッカースパニエルなどでは約7日と言われています。したがって犬種を問わず脂漏体質の強い犬ではターンオーバーが短い可能性があります。その子の体質や、その時の皮膚の状態によって薬浴(シャンプー)の頻度も変わります。

犬の薬用シャンプーの種類

犬の薬用シャンプーは大きく分けて『抗菌、抗真菌』『抗脂漏、角質軟化』『保湿』に分類されます。これらは皮膚の状態に合わせて使い分けが必要です。

薬浴の頻度や薬用シャンプーの選択に関しては、皮膚の症状に合わせて獣医師の処方や指示のもと使用しましょう。

シャンプー剤に関してはこちらも詳しく解説しています。

シャンプー剤ってたくさんあるけど、犬や猫には何を使えばいいの?

関連記事

シャンプー剤ってたくさんあるけど、犬や猫には何を使えばいいの?

抗菌・抗真菌シャンプー

クロルヘキシジンやミコナゾール等が含まれており、ブドウ球菌やマラセチア(酵母様真菌)といった皮膚常在菌が増殖している場合に選択します。

角質軟化・抗脂漏シャンプー

サリチル酸、二硫化セレン、硫黄等が含まれており、過剰なフケや脂漏感がある場合に選択します。

保湿シャンプー

保湿成分としてセラミド関連物質、乳酸ナトリウム、尿素、プロピレングリコール、グリセリン等が含まれており、皮膚に乾燥が認められる場合に選択します。

なぜ保湿が重要なのか?

犬の皮膚には体を様々な刺激から守るバリア機能があり、これを保つためには皮膚の水分が十分保たれている必要があります。

バリア機能はウイルスや細菌などの微生物や化学物質の侵入を防いだり、紫外線や乾燥から体を守る役割があり、体の内側にある水分や栄養分が、体の外に出ることも防いでいます。

皮脂膜、角質細胞間脂質、表皮の角化細胞など、もともと皮膚には保湿機能が備わっており、角質層(皮膚の一番外側の層)に水分が保てるように働いています。しかし、季節などによる湿度の変化(乾燥)やシャンプーによる洗浄、皮膚のトラブルなどにより水分を失ってしまいます。

乾燥した皮膚はバリア機能を失って感染が生じやすくなったり、花粉やダニなどのアレルゲンが皮膚に取り込まれやすく、アレルギー反応が起こるリスクが高くなると言われています。また、乾燥した皮膚では、皮膚表面近くまでかゆみを感じる神経が伸びてきて、かゆみを感じやすくなるということがわかっています。

保湿を行うのは皮膚の水分保持を助けるうえでとても重要な処置ということです。

ヒトでは赤ちゃんの皮膚を保湿することで、皮膚炎やアトピー性皮膚炎の発症を防ぐことができたという研究結果が報告されています。犬アトピー性皮膚炎の犬は、皮膚に含まれるセラミドが健康な犬と比べると少なく、保湿をすることでアトピー性皮膚炎の症状が緩和されたという報告があります。

したがって保湿をすることは皮膚炎の発症の予防、治療においてとても大切なのです。

脂っぽい子は、実は乾燥を防ぐために、より皮脂が分必されてベタベタしている可能性もあります。皮膚の状態が良くない子だけでなく、正常な皮膚の子でも保湿はとても重要です。

自宅での薬浴で注意することは?

薬浴を行う際はシャンプー剤の刺激性に注意し、効果が発揮できるように準備をする必要があります。

皮脂や汚れが多いと薬用シャンプーの効果が十分に発揮できないため、皮膚の皮脂や汚れが多い場合は、クレンジング剤を使用したり下洗いをしてから薬用シャンプーを使用すると良いでしょう。

薬用シャンプーの使い方として『〇分つけおきをする』といった内容が書かれていると思いますが、つけおき時間が長くなるほど皮膚が乾燥してしまうため、皮膚の状態に合わせて時間は調整する必要があります。

汚れを落とそうとゴシゴシしたり、すり洗いなどは摩擦により皮膚が悪化する場合があるため、なで洗いや毛の流れに合わせた洗い方を心がけましょう。シャンプー剤をしっかり泡立てて洗うことも重要です。泡立てることでシャンプー剤自体の刺激が緩和されたり、すすぎ残しの可能性も少なくなります。泡立てネットなどを使用し、しっかり泡立てて洗いましょう。

また、その時々の皮膚の状態に応じたシャンプー剤を使用する必要があります。

皮膚が改善してきたら、獣医師との相談のうえシャンプー剤の種類を検討し直したり、薬浴の頻度も変えることが必要になる可能性があります。適切でない薬用シャンプー剤の使用は接触皮膚炎や毛包炎を起こす可能性があるため十分注意が必要です。

まとめ|薬浴の療法とは?

犬の皮膚トラブルには薬用シャンプーを使った『薬浴療法』が治療のひとつとして効果的です。症状に合わせて、抗菌・抗真菌・保湿などシャンプー剤を使い分け、保湿もしっかり行いましょう。

自己判断での使用はリスクもあるため、洗い方や頻度に注意し、獣医師の指示をしっかり守りましょう。皮膚トラブルでお困りの際はお気軽に病院へご相談ください。

犬や猫の痒みや脱毛が治らない!などのお悩みは皮膚科診療をお勧めします!

関連記事

犬や猫の痒みや脱毛が治らない!などのお悩みは皮膚科診療をお勧めします!

記事一覧に戻る